カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

リモートオフィスで大事な三つのこと!

ボク自身はアムステルダムにいますが、開発はベトナムだし多くのバックオフィス業務はシンガポールにあります。チームはひとつのオフィスにまとまっていないので、コミュニケーションは必然的にオンラインになります。

そんなボクの個人的な経験をもとに、リモートオフィスやテレワークで大事な三つのことをまとめてみたよ!

1. 言葉を定義する

シンガポールの会社は毎年Annual General Meetings(AGM)という株主総会を行う必要があり、そのため経理上の書類を沢山準備する必要があります。当然ボク一人でそんなことはできないので会計事務所やCompany Secretaryと作業をします。

AGMの書類をすべて準備して期日までにAccounting and Corporate Regulatory Authority(ACRA)という会計企業規制庁に提出することがゴールになります。

シンガポールのAGMの資料は本来であればHelloSignなどを使った電子署名でもいいはずです。ただ、Company Secretaryが電子署名を使ったプロセスがわかっていません。仕方がないのでアムステルダムでPDFの資料を印刷して、サインをしてそれを国際宅配便で送ることにしました。ツールってのは相手が使えないと意味ないですよね!

この書類は期日までに間に合ったのですが、Company Secretaryから追加書類が必要な旨の電子メールが届きました。

Please arrange the attached to be signed and scanned to me immediately for our further action.

添付された書類にサインをしてスキャンして私まで早急に送ってください。

scanned to meなので紙の書類を郵送するのではなく、電子ファイルとしてメールで送ればいいはずですよね!そこでHelloSignで電子署名をして送りました。念のためにHelloSignで生成された私宛のメール(サインされたPDFが添付されている)も転送しました。そして返信があったのですが…

Thank you for your reply.
Do you refer that you have sent to us the original signed documents?

返信ありがとうございます。

オリジナルの署名された書類を送ってくれましたか?

この返信には多くの問題があります。まず、元々のリクエストであるscanned to me immediatelyが受け取られたかどうかがわかりません。そしてoriginal signed documentsが何を指すのかがわかりません。電子署名されたものですのでオリジナルも何もありません。おそらく何か足りないのだということはわかるのですが、それが具体的に何かが「オリジナル」という一言では推測ができません。

今はわかりませんが、ボクがいた頃のマイクロソフトは世界をAmericas、Asia、EMEAの三つのタイムゾーンに分けて、AsiaをAPAC、Greater China、IndiaとJapanという四つのRegionに分けていました。ただアメリカ人でAsiaをAPACと呼ぶ人がいて、売り上げのデータの話をしているのに全く話が通じないということがありました。そりゃそうですよね。マイクロソフトの定義ではAPACとは中国、インド、日本を除いたアジア地域のことなのに、その人は定義を無視してアジア地域全体を指してAPACというんですから。このように言葉をチーム内で定義しておくことは非常に重要です。

2. プロセスを定義する

オランダに移住して1年以上仕事をする場合、Residential Permitが必要になります。そして本格的に暮らすんだったら住む家も必要だし、銀行口座も必要だし、インターネットも必要ですよね!

オランダにも移住のためのコンサルタントのような方がいらっしゃって、お金を払えば色々とお手伝いをしてくれます。ただ、こういったコンサルタントの方は一つのタスクで料金を請求するケースがほとんどで、すべてのプロセスをオープンにしません。ただ、そうするとエンドレスにお金を支払わなければいけなくなる不安感に苛まれることになります。

多くの仕事(=タスク)には順序があります。まずAを完了させて、それを元にBをする。例えば、オランダに引っ越して暮らす場合、まず住所を決める必要があります。住所がないとBSNという日本で言うところのマイナンバーを取得できません。この時点で200ユーロ請求されました。これはたまらんと思い、ここからはすべて自分で調べました。サービスに対する対価を支払うことは悪いことだはなく、むしろ推奨されることですが、見通しが悪いと人は不安になります。ちなみに、BSNがないと銀行口座を開くことができません。銀行口座がないと電話の契約ができません。

オランダ移住の例は事務的なプロセスですが、これはすべての仕事(=タスク)に言えることだと思います。全体のスコープがどうなっていて、どういうプロセスでそこに至る予定なのか。タスクの見渡しの良さは大事です。こういったプロセスがチーム内で共有されていないとチームは混乱します。例えばモバイルアプリの場合、オランダ移住ほど厳密に定義する必要はありませんが、それでも何をまずすべきで、そこでどういう結果が出たら次に進むという約束事を決めておくと個々人がそれぞれ別の場所で働いていたとしても混乱することは少ないです。

3. そしてやっぱりツールは大事!

ボクのところではチームのコミュニケーションは基本的にSlackに集約しています。理由は前に説明した通り!さすがに元々開発のためのツールだっただけあって、ベトナムにいる開発のメンバーはすんなりとSlackに移行してくれました。

ただ、どうしてもシンガポールのデザインチーム(グラフィックデザインとUIデザイン)がSlackに慣れてくれるまで時間がかかりましたね。例えば画用紙に描いたラフなスケッチでも写真に撮ってSlackでアップロードしてくれれば随分とイメージできるわけですよ、いろんなことが。

ツールってやっぱり使ってナンボなんですよね。使い始めるのはそれほど大変じゃないんですが、チームがそれなりの成熟度でツールを使いこなすまでには時間がかかります。これが10人未満のチームでもそうなんですから、100人以上だと相当な努力になるかと思いますよ!