カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

デザインはそろそろアップデートが必要だよ!

デザイン思考やサービスデザインはとてもいいのですが、どこか腹に落ちない部分もあるのも確か。デザインは人を中心に置いた考え方やアプローチだと言われてるんですが、本当にそうでしょうか?いや、マジで。

例えば、ペルソナ。ペルソナってアーキタイプであって実際の人ではないわけですよ。Growth Hackerで「製品開発の上でペルソナは絶対に必要か?」と言う質問があって、全員が判を押したように「必要」と答えてたわけですが、本当ですか?人間ってそんな単純じゃないですよね。ボクだっていろんなペルソナを持ってます。ボクのTwitterアカウントのペルソナとLinkedInアカウントのペルソナって全然違う。アーキタイプだから本当の人格ではないと言ってしまえばそれまでなんだけど。ボクはアンチペルソナではないけど、ペルソナをそれほど万能なものだとも思ってないし、人間中心のアプローチだとも考えてないです。

カスタマージャーニーマップについてもそう。あんなリニアなエクスペリエンスなんてないっすよ。途中でトイレも行くし、やっぱやめて家に帰って、翌日また戻ったり。その粒度をもう少し荒くしたのがAdaptive Pathがはじめたカスタマーエクスペリエンスマップだけど、それでもプロセス志向であることは変わりないですよね。人間の行動ってプロセスじゃないですよ。もっとオーガニックなものです。

そもそもデザインという言葉自体が工学的ですよね、実は。自然にあることに何かしらの意図を加え、設計しようというのがデザインじゃないですか。それが人間中心的な考え方だと言い切ってしまい何の疑問を抱かないところに胡散臭さを感じてしまうんですよね。デザインのカンファレンスではプレゼンテーションにすごく小さい文字が使われることが多くて、すごく見づらい。おいおい、それのどこが人間中心のデザインなんだい?と言いたい。

こういうことをデザインコミュニティーの中でいうとすごく鬱陶しがられる。でもね、何かを批判的に見るのってすごく大事だし、現状に満足していたら進歩なんてないです。例えばIDEOがやることがすべて無批判に賞賛されるって、ちょっと宗教っぽくて気持ち悪いわけですよ。

実際にここ10年くらいデザイン思考に関して重要なイノベーションってないですよね。これといったアップデートがない。アラン・クーパーはペルソナというアプローチを考え出して、それはすごいイノベーションだと思う。でも、それからもう10年以上経ってますよ。

このままだとデザイン思考も単に流行のファッションで終わってしまうんじゃないかという危惧があります。なんてことをデルフト大学の教授と話をしていたら意気投合しまして、デザインに関して批判的になんでも言えて実験ができるサンドボックス的なものが欲しいよねという話になりました。まずは少ない人数でデザインサンドボックスを作っていくことになると思います。ご興味のある方はボクあてにツイートしてくださいませ!

こちらからは以上です。

蛇足ですが、フレデリック・ラロックスの『Reinventing Organizations』とかデイブ・グレイの『Connected Company』はデザイン畑ではないですが人間の複雑でドロドロした部分を理解した上で次のステップに進もうという姿勢。それこそ本当のデザインなんじゃないかと思うんだよねえ。