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自動車の自動運転はどこまでできるのか?ビジネスモデルはどうなるのか?

 いつものスタートアップの飲み会で自動運転の話になりました。エンジニアの集まりなので「自動運転はすでに実用段階に入っているんだからとっととやれよ!」というのが結論でした。

 スタートアップエンジニアたちとビールを飲みながら話したことを元に今回は自動車の自動運転から今後のビジネスモデルまでランダムに考えたことを特にまとめずに殴り書きしてみました。

倫理的な問題?

 自動運転でよくある倫理的な問題に「人が目の前に飛び込んできた。右には壁がある。左にはたくさんの歩行者がいる。左にハンドルを切ればたくさんの歩行者が犠牲になる。右にハンドルを切れば運転手が死ぬ」というのがあります。

[A] 目の前に飛び込んできた人を守るために右にハンドルを切り運転手が死ぬべき

[B]運転手を守るために目の前に飛び込んできた人を轢き殺すべき

[C] 左にハンドルを切ってみんなまきこんじゃえ!

www.afpbb.com

 答えはどれも正しくありません。正しい答えは減速してブレーキを踏むですよね!人間だったら反射的にそうするはずです。機械に人間と違う行動を求めてはいけません。この記事のような強制二択はダメですよ。

 ただし人間の状況感知能力はまちまちで、パニックになって正しい判断ができないことがあります。それが機械だとセンサーなどの技術で周りの状況を判断して適切な行動を人間より早く行うことができます。正しい行動は減速してブレーキを踏むなんですから、エンジニア的にはそれが早くできるようにすればいいわけです。倫理の問題ではありません。

それでも事故は無くならない

 自動運転は車の事故を減らしてくれることが期待されています。事故の原因のほとんどは人間の不注意や危険走行、飲酒運転などなわけですから。交通ルールをちゃんと守っていれば事故は減るはずで、ルールを守ることは機械が最も得意とするところです。

ただ、自動運転になったとしても事故がなくなるということはないでしょう。

www.newsweekjapan.jp

 前回の人工知能についての記事でも書いた通り、機械はルールの外のことは苦手ですので、当分は半自動運転のような運用方法が現実的なのだと思います。

トラックを電車にしてしまう!

 半自動運転といえば、ヨーロッパではプラトゥーニングというトラックの集団自動走行技術の開発が進んでいます。5年前から長距離での実証実験が重ねられて、すでに実用に関しても問題ないと言われています。まあ、論より証拠。ビデオをご覧ください。


Platooning


Volvo self-driving truck platoon in the European Truck Platooning Challenge

 トラックの場合は長距離運転で運転手の負荷がとても大きいのですが、この技術は運転手の負荷を減らして、事故も減らすことが期待されています。線路に縛られない分、輸送の幅も広がります。

 プラトゥーニングは技術的には無線とセンサーでトラックを結びつけるという極めて単純なものです。ロジックも一定の距離と角度を保つ(差を縮める/差を広げる)シンプルなルールに基づいています。

 他の車が割り込んできたときどうするのか?離れすぎたらどうするのか?障害物があったらどうするのか?という至極当然な疑問もこのシンプルなルールで全て処理しています。割り込み車両があったらぶつからない程度に間を空ければいいし、離れすぎたら止まればいい。障害物は先頭の車が避ければいい。

今後の予想されるビジネスモデル

 車を所有する人が減ってきているそうです。実は車だけでなくハーレーダビットソンのような熱狂的なファンを持つバイクですら売り上げが下がってきています。

 これはUberやAirbnbのようなシェア経済が定着しつつあることやNetflixやSpotifが音楽や映画を所有するのではなくサブスクリプションに移行する動きと無関係ではないとボクは考えています。音楽や映画も車と同じ趣味的なもので、昔はレコードの所有が意味を持っていました。しかし、その意味は徐々に薄れてきています。

www.forbes.com

 車を運転する喜びは車を所有するインセンティブの一つですが、自動運転が実現したらこのインセンティブが少なくなります。プラトゥーニングが移動先自由な電車みたいなように、自動車も同様になるのかもしれません。

 アメリカではリースがすでに一般的な自動車の「所有」の形になっていますよね。ボクはこれは過渡的なものだと考えています。長い目で見ればこれがサブスクリプションに変わることや、Uberのようなオンデマンドになることは容易に想像つきます。

 ソフトウェア(マイクロソフトやアドビ)のようなアセットを簡単に転換できる商品は簡単に永続的ライセンスからサブスクリプションに移行できました。ボク自身がその転換期に現場にいたので、ソフトウェアですら大変な努力が必要だったのはわかります。自動車のような大きなアセットはもっと大変でしょう。ただ、この流れはもう変わらないんじゃないでしょうか。

 自動車だけでなくオフィスや住む家までもサブスクリプションになっていくとボクは考えています。固定のアセットに紐付いたリースやレンタルじゃないですよ。それだと今と変わらない。複数のアセットから自由に選べるサブスクリプションです。毎日違う車、違うオフィス、違う家でいいんじゃない?

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