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アメリカ政府機関「18F」から学ぶプロダクトオーナーの役割

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原文:"So, you’re a Product Owner..." by Hannah Kane

18Fで官公庁のパートナーとのプロジェクトでデジタルプロダクトを開発するときの最大のゴールは最終的に官公庁パートナーがそのデジタルプロダクトとその結果のオーナーシップを完全に持つことです。これこそ私ちが政府の技術的プロジェクトにおけるトランスフォーメーションにおけるミッションの実現につながっています。

このオーナーシップの意識を醸成する方法の一つがプロダクトオーナーを初期の段階で決めることです。プロダクトオーナーは官公庁のメンバーで、18Fと一緒に働きプロダクトを初期段階から最終的なデリバリー、さらにその先へと導いていきます。プロダクトオーナー(PO)は18Fとのエンゲージメントが終了した後にプロダクトの全責任を持ちます。

18Fプロジェクトにおけるプロダクトオーナーの役割とは?

私たちのパートナーシッププリンシプルに記述されているように、エンパワメントされたプロダクトオーナーは「所属する官公庁や部門の仕事や課題に関して理解していて、共に開発するプロダクトの普及支援ができる人物。ユーザーリサーチに基づきプロダクトの長期的ビジョンを確立し、戦略を実行に落とし込み、進捗をリードしていく」という役割を持っています。

POがプロジェクトに使わなければいけない時間はそのプロダクトの性質に依存しますし、時間と共に変化します。POは初期の段階ではプロダクトとの責任を18Fのメンバーと共有します。しかし、18Fのメンバーはプロジェクトが進むに従ってその責任をPOに移管していきます。データを多く扱うWebサイトやインタラクティブなアプリケーションの場合は、最終的にPOはフルタイムの仕事となる可能性があります。

私たちは官公庁のPOに戦略的なやり方と戦術的なやり方の両方を求めます。POはプロダクトのビジョンを持ち、これは解決する問題の深い理解に基づきます。18Fとの仕事では、ユーザーとプログラムが必要とする戦略を作るためにユーザー中心のアプローチをとります。また、プロダクトの成功を組織の内側と外側の両方に位置づけます。

戦術的なレベルにおいてPOはソフトウェア開発におけるバックログの改善からスプリント計画といった会議やタッチポイントに参加し、場合においては主導的な役割を果たします。これらの専門用語がわからない場合(多くの官公庁POははじめての人が多い)、これらがソフトウェアプロジェクトの具体的で戦術的なタスクを定義して計画するため定期的に頻繁(多くは毎日)に訪れる機会だと覚えておいてください。

プロダクトオーナーは技術的なバックグラウンドが必要?

POはソフトウェア開発チームの重要な一員ですが、技術的なバックグラウンドは必要ありません。多くの場合、潜在的なユーザーやユーザーが持つ課題についての理解、そして課題に着実に近づいていく姿勢の方が技術的知識より決定的に重要になります。 複雑なステークホルダーとの関係を調整し、ビジネスとプログラムのゴールを理解し、難しい決断をし、時には妥協点を探ることもプロダクトオーナーの仕事です。

プロダクトオーナーが顧客やユーザーの声を代表していると考えるのであれば、POは技術的なバックグラウンドがない方が望ましいことが多いです。もちろん、対象とするユーザー層が非常に技術的でなければ、技術に疎いPOはユーザーニーズを理解しやすいでしょう。

大きなインパクト

それではプロダクトオーナーはソフトウエア開発においてどのように大きなインパクトを与えるのでしょうか?以下はプロセスにおいてあなたのスキルや経験を活かすヒントです:

  • ユーザーのニーズを常に前面に打ち出し、ほかのメンバーにも同じ姿勢を求めましょう。よくあることですが、チームやステークホルダーは自らの仕事を機能で説明する習慣に戻ってしまいます。機能やバグなしのコードのためではなく、人々が持つ具体的な問題を解決するためにここにいるのだと思い起こさせましょう。プロジェクトの成功をユーザーニーズの解決と位置付けましょう。
  • プロダクトを使うユーザーとできる限り頻繁に繋がりましょう。構造化されたリサーチ活動(インタビューやコンテキストインタビュー)、ユーザーテスト(ユーザーがプロダクトを使う様子を観察)、スプリントレビュー(ステークホルダーに定期的にデモをしてレビューを受ける)や共創活動(デザインスタジオなど)多くの機会があります。全ての機会を利用してユーザーのニーズを理解する努力をしましょう。ユーザーが使う言葉や、苛立ち、混乱、驚き、喜びのポイントをノートに残しましょう。
  • ステークホルダーと繋がり情報をアップデートしましょう。定期的なアップデートのデモへ招待したり、プロダクトの様々な部分における専門家として話を聞いたり、プロダクトのビジョンや戦略について話をするために時間をとってもらいましょう。
  • 柔軟的でいましょう。最近、18FとのプロジェクトでPOの役割を果たしたAmber Sprinkleは「POのビジョンはチームを導くのに役立ちますが、そのビジョンにたどり着く道筋に関してはオープンマインドでいることが必要です。そして、ビジョンは変わることも理解しておかなければいけません」と語っています。
  • 簡潔な言葉を使いを意識し、ほかの人にも簡潔な言葉を使うことを求めましょう。簡潔な言葉は一般の人たちにとって読みやすく、理解しやすく、政府の公共サービスを理解しやすくなります。専門用語に注意をし、シンプルでストレートな言い方を推進しましょう。
  • 難しい決断をしましょう。POは相反する優先順位に関して戦略的に選択をすることでチームの成功に大きな貢献をすることができます。POはプロダクトバックログの完了に責任を持ちます。その優先順位は常に現在の優先順位に反映されなければいけません。
  • チームの推進力と士気を上げましょう。チームメートが問題解決にフォーカスして結果を出すことを助けましょう。成功を積極的に称えましょう。失敗やつまずきから学ぶことにリーダーシップを発揮しましょう。開発のプロセスの中でチームは見失いがちで、POの仕事はチームを前に進めることです。

プロダクトオーナーの仕事に興味があるのであれば、米国森林局のオンライン許可プロジェクトにPOであるAaron Burk氏のインタビューを読んでみることをお勧めします。Aaron氏はPOについて大事なことを指摘しています。POは技術ではなく、課題を解決して価値を提供することが仕事だと述べています。 このような価値観を持っているのであれば、POの仕事はとても意味のあるものとなるでしょう。

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