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本のエクスペリエンス|「本のない本屋さん」で一生モノの本と出会う

 ボクは本屋に行って本を探すのが好きでした。レコード屋に行ってレコードを探すのも好きでした。でも、いまはあまりいきません。レコードやCDはもう買ってもいません。全部ストリーミングです。

 それでもまだ本は読んでいます。ただ、Kindleで読むことがほとんどで、あまり本屋では買いません。もうボクらは本屋さんは必要ないのでしょうか?これからの時代の本屋をデザインしたい。本をエクスペリエンスを根本的に変えたい。この記事はそのプロジェクト「本のない本屋さん」について書きます。

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本のエクスペリエンス

 ぼくたちはなんで本を読むのか。そのカギを探すため、まずは本の出会いについて分析していきます。本の種類はデジタル(Kindleなど)と紙があります。そして流通はオンライン(Amazonなど)と書店があります。今回は「紙の本」と「書店」についてです。比較対象としてデジタルとオンラインについても触れます。結論から先に書いてしまうと、書店で本を購入するのはデジタルで本を購入するよりもかなり多くの意思決定が必要になります。これから本のジャーニーを見ていき、それを確認しましょう。

本のジャーニーとコンバージョンポイント

 本のジャーニーのはじまりはいま自分がいる場所(A地点)です。本のジャーニーの終わりは自分がこれから行きたい場所(B地点)です。あれ?終わりは書店じゃないの?いやいや、ボクの場合はわざわざ本を買うためだけに出かけることはありません。だから終わりは書店ではありません。書店は途中で立ち寄る場所(C地点)です。

 これを読んでいる人はこう思うかもしれません。「友達や知り合いに勧められて本を買うことが多い。本屋に行くときは買いたい本はもう決まっている。そんなコンバージョンは必要ない」と。本当でしょうか?ボクは買いたい本が決まっているのであればAmazonで買ってしまいます。なんでわざわざ書店に行かなければいけないのでしょうか?

 この「なんでわざわざ出かけるの?」問題は書店に限ったことではありません。レストランなどの外食でも同じことが海外では起きています。UberEatsなどのデリバリーサービスがあるのになんでわざわざ食べに出かけなければいけないの?CDショップは軒並み潰れています。これもAmazonなどオンラインで買ったほうが楽だからだし、Spotifyなどストリーミングで聞いたほうが簡単だからです。実店舗のあるビジネスはオンラインになれた消費者の「なんでわざわざ?」という疑問に回答を持っていないといけない。

店の前:入るか入らないか(コンバージョンポイント1)

 ボクはA地点から歩いて書店の前を通りかかりました。まず何が見えるでしょうか?蔦谷書房のような地方の大きなロードサイド店であればその建物と看板でしょう。商店街にある本屋であれば雑誌のディスプレイが見えるかもしれません。大きな町の中ではビルの中に入っているでしょう。その場合はもっと本に関する情報が視界に入ってくるかもしれません。まずここが意思決定ポイントとなります。マーケティング的に言えばコンバージョンポイントです。ボクはその本屋に入りたいか、素通りするか。

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店の中:雑誌コーナー(コンバージョンポイント2)

 話を進めるために、ボクは本屋に入ることに決めたとします。入口で何が見えるでしょうか?たいていの場合は平積みのエリアだと思います。新刊やおすすめ書籍が平積みになっています。多くの場合は雑誌の平積みだとおもいます。書籍はおそらく雑誌より奥にあるのではないでしょうか。ここが次の意思決定ポイントとなります。その先に進むかどうか。

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店の中:本の平積みエリア(コンバージョンポイント3)

 ボクは雑誌よりも何か本を読みたい。だから先に進むことにします。書籍のコーナーにつきました。そこで目にするのは書籍の平積みです。ひょっとしたらおススメの書籍については書店の店員さんが書いたポップもあるかもしれません。その時に目に入る情報は何でしょうか。本の表紙(タイトル、表紙のグラフィック、帯など)とポップ情報ですね。ここが次の意思決定ポイントです。本を手に取ってみるか。

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店の中:本の平積みエリア(コンバージョンポイント4)

 何か興味がある本があって、実際に手に取ってみることにします。気になる作家だったのかもしれない、タイトルがよかったのかもしれない、表紙の絵が気に入ったのかもしれない。ポップに書いててある情報が気になったのかもしれない。個々が次の意思決定ポイントです。裏表紙を見るかどうか?ほとんどの人は表表紙だけ見て本を買わないと思います。

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店の中:書籍コーナーからレジ(コンバージョンポイント5)

 ラッキーであればこれが最後のコンバージョンポイントです。裏表紙にはどのような情報があるでしょうか。裏表紙には最後の意思決定に役立つ二つの大きな情報が隠されています。ひとつは価格です。値段がわからないのにレジに商品を持っていく人はあまりいません。もう一つは本の解説です。たいていの本は裏表紙に簡単な本の解説があります。これで大まかな本の内容を把握することができます。これで納得いけば買うし、納得いかなければ買わない。

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 ただ、本当を言えばもっといろいろ調べると思います。手元のスマホでその本について検索するかもしれません。やっぱりほかの人の評判は気になるものです。ひょっとしたらAmazonのレビューを読むかもしれません、書店の中で。

 さらに言ってしまえば、その本をレジまでもっていって、財布を出してお金を払って、お釣りをもらって、お釣りを財布にしまわなければいけません。え?そんなことまでカウントするの?当然ですよ。デジタルではそんなこと必要ないです。

なぜこんなにコンバージョンが必要なのか?

 デジタルの場合はもっと意思決定しなければいけないコンバージョンポイントが少ない。デジタルで購入まで5回もコンバージョンしないといけないとなると、かなりUX的に問題があると言えます。Uberでタクシーを予約するのに3タップしか必要ありません。Slackで他の人を招待するのは2クリックだけです。

サービス化したエクスペリエンスブックストア「本のない本屋さん」

中に入ってみたい本屋

 まず、最初のコンバージョンについて。これは大きなコンバージョンポイントです。なんでわざわざ本屋に入るの?つまり中に入ってみたいという本屋でないといけませんね。それはひょっとしたらフォトジェニックでインスタ映えのする外見なのかもしれない。「ここなら必ずいい本に出合える」というブランディングなのかもしれない。ああ、ここは入ってみようと思える何か。

ほしい本にすぐに出合える

 コンバージョンポイント2から4まではかなり無駄です。現在の書店は本が多すぎる。情報量が多すぎる。だから意思決定をしなければいけない。このコンバージョンポイントはできればゼロにするべき。たとえば本が全くない本屋はどうでしょうか?

 本のコンシェルジュがカウンターであなたを待っている。そしてあなたと本の話をする。あなたの好みを理解してさりげなく本を紹介してくれる。もしこんな本屋があったらどうですか?ありとあらゆるビジネスはサービス化しています。本屋もきっとサービス化したほうがいいと思うんですよね。

本を持ってそのまま外に出れる

 UberやAmazon Goの素晴らしいのはお財布を出して支払いをしなくてもいいこと。ビジネスをサービス化すると支払いも簡単になります。だって、あなたはもう会員サービスに入会してクレジットカード情報も入力してるんですから。なんでわざわざ財布を出して支払いをしなければいけないのでしょうか?気に入った本を持ってそのまま外に出ればいい。そうすれば自動的に支払いは完了。

「本のない本屋さん」はクラウドファンディング準備中

 こんな本屋を作るため「本のない本屋さん」のクラウドファンディングの準備中です。メンバーになりたい人、コンシェルジュになりたい人、一緒に運営したい人を募集中です。メンバーが500人を超えたらクラウドファンディングをはじめる予定です。