オイディプス(Oedipus Brewing)は2010年代を代表するオランダのクラフトビール。コミュニティー活動やYouTube、さらにはクラウドファンディングで資金調達とまさに今時のビールスタートアップ!
創業者の一人Rick Nelsonさんにオイディプスの生い立ちを聞いてきましたよ!
−−どうしてクラフトビールをはじめようと思ったんですか?
「アレックス、ポール、サンダーとボクは四人ともBeerTempleという同じクラフトビールのバーで働いてたんだ。アメリカのクラフトビールを中心にいろんなビールが飲めるんだ。そこで働くうちに自分たちで作りたくなったのさ」
−−もともとビールは作ってたんですか?
「自分たちの台所でね。いろんな原材料を試して、それを記録する。毎週違ったレシピで醸造するんだけど、それぞれのバッチを別々の発酵槽を使うんだ。こうした実験を通じて原材料、スタイル、発酵や醸造のテクニックを学んでいったよ。
もちろん、自分たちでわからない問題もあったけど、家庭でビールを作るホームブリューのコミュニティーがあってそこに参加したり、彼らのYouTubeビデオを見ることがすごく役に立ったよ」
−−昔は原材料を手に入れることが大変だったらしいですが、今はどうなんですか?
「ボク達の場合はホームブリュー用のオンラインショップだよ。SBIというビールの原材料を取り扱うオンラインショップがあって、そこから簡単に入手できるよ」
−−今はどんなチャレンジがあるのでしょう?
「いつの時代もどこにでもチャレンジはあるさ。ボクたちの場合は最初の頃は近所や市役所と問題があったね。それで随分と計画が遅れたよ。想定していなかった問題って起きるものなんだ。
でも、ビールスタートアップ全体の問題を大きな視野で見ないといけない。今まさにクラフトビールは流行しているよね。去年だけで90以上のクラフトビール醸造所がオランダだけで生まれたんだ。でも、こんな状態はずっとは続かない。はっきりと際立った存在にならないといけない。そのためには強いブランドを確立させて、愛される品質の高いビールを作らないといけない。
ボクらにとってのチャレンジはそこに投資をして学んでいく。そして、その結果として毎日いいビールを作り続けることだね。レシピをあまりすぐに決めつけてしまわないことが大事だ」
−−作ったビールをどうやって広めていったんですか?
「いろんなフェスティバルで出店したんだ。フードフェスティバルはもちろんだけど、アートとか音楽とかね。いろんな人からフィードバックをもらえる機会があったよ。
−−オイディプスが作るビールの特徴を教えてください
「モネリフデ(Mannenliefde="男性の愛"という意味)がボクたちの最初のビールなんだけど、これは宣言でもあるんだ。ビールってマッチョな男がソファーで他の男たちと一緒にフットボールを見ながら飲むイメージだよね。男の、特にスポーツが好きな男のビール。ワインやカクテルは女性向け。なんで女性がビールを楽しんだらいけない?この性別に関するステレオタイプはなんなんだ?だから性別に関係なく楽しめるビールを作りたかったんだ。
ラベルは胸毛をハートの形に脱毛した男性。彼はオープンでいつでも君を包み込む準備がある。モネリフデは男たちによって作られた性別を超えた全ての人のために愛を込めて作られたビールだからね!
ボクたちにとってクラフトビールは単なるビールを超えた意味がある。人と繋がり、自分たちのアイデアや想像力を表現する手段なんだ。だから「ビールよりライフだ」とボクらはよく言うんだ。自分たちが作るビールやブランドを通じて彩りあふれる面白い世界を作っていきたい。単にスタイルや風味だけでなく、ビール自身が持つコンセプトで既存の価値観に挑戦していきたいんだ。一目見て最初は笑うかもしれないけど、後になってそのコンセプトについて考えるんだ。
−−ビアデコーニングでSalty Dickをオススメされたんですよ。とても美味しかったです。Salty Dickにはどんなコンセプトがあるのですか?
「Salty Dickはオランダでは初めてのゴーゼスタイル(Gose)のビールなんだ。ずっと完璧なビーチで飲むビールを作りたかったんだ。ゴーゼはそれにぴったりのスタイルだったんだよ。19世紀後半にライプツェヒあたりで人気があったスタイルなんだけど、そこの水は若干塩味がしたらしいんだよね。
Salty Dickはオランダで有名な漫画家のHans Glockが考えたキャラクターでアンチヒーローなんだ。風変わりなおっさんで、どちらかといえば負け犬。一緒にいれば楽しいという以外にこれといったスーパーパワーもない。これってリフレッシングだよね!ボクらが作るGoseにはファンキーなキャラクターが欲しいと思っていたんだ。というわけで、Salty Dickがラベルに採用されて、いつも飲む人と一緒にいてくれるってわけ」