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興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

シリコンバレーから見たクルマの自動運転

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ソース:a16z Podcast: Self-Driving Cars — Where Are We, Really? by a16z

ざっくり言うと

  • a16z Summitsの自動運転のセッションサマリー。モデレーター:Frank Chen(a16z)、パネル:Qasar Younis, CEO of Applied Intuition、James Wu, CEO and co-founder of DeepMap、Taggart Matthiesen, head of product at Lyft
  • 自動運転のクルマはいつ実現する?
  • 何が実現を遅らせる?
  • 利便性と安全以外にクルマの自動運転のメリットは?何が変わる?

自動運転のクルマはいつ実現する?

  • 2、3年という近い将来ではない。メジャーなOEM(いわゆる自動車会社)がレベル4の自動運転のクルマを出荷すると発表しているタイムラインは2020年、2021年。ただ、13年もかからないとは思う。
  • 少しづつイノベーションが起きて徐々に自動運転に近づいていく。

参考:

  • トヨタの例で言えばOEMがトヨタで完成品としてのクルマを作る会社。Tier 1サプライヤーがデンソーとかアイシン精機とか。その下にTier 2以降のサプライヤーが存在。
  • 自動運転の定義(Wikipedia)レベル4は高度自動運転でレベル5は完全自動運転

何が実現を遅らせる?

  • レベル4やレベル5を大規模で実現するには経済的なメリットがまだない。例えば雪の日や雨の日の対応や地域的に制限がある地域などをどのようにカバーするか。
  • インフラの問題が大きい。ソフトウェアなどのインフラがまだ整備されていないのと、実際のプロダクトのリリースをするインフラも準備ができていない。
  • 人材不足が深刻になる。特にロボティック分野の人材。

利便性と安全以外にクルマの自動運転のメリットは?何が変わる?

  • 犯罪発生率は下がる。クルマは移動センサーのようなものだから、犯罪の監視には最適。
  • 不動産の価格に影響する。これまで駐車場に必要だった土地が、住宅のために使うことができる。
  • Tier 1のサプライヤーよりもクルマに関連する既存のソフトウェア企業にとって壊滅的なダメージを与える可能性がある。既存のソフトウェアサプライヤーにとっては危機だし、新しいプレーヤーにとっては機会となる。
  • クルマの自動運転によって時間の無駄が削減される。浮いた時間をどのように使うのかが機会となる(Netflixのようなパーソナライゼーション)。
  • クルマのリモートコントロールのサービスが生まれる。そのようなスタートアップがすでにいくつか出てきている。クルマが状況を把握できずに立ち往生をしているときに、何をしていいのかクルマが理解できるようにリモートから助ける。
  • データセンターのDevOpsのようになる。クルマのDevOps。B2Bでは輸送管理のシステムにおける応用は大きい。

自動運転のクルマを進めるために自分が州知事だとしたら何をする?

  • アリゾナ州、ネバダ州、ミシガン州、フロリダ州などすでに自動運転に積極的な州がある。例えばソフトウェアのアップデート一つをとったとしても1万台ではなく100万台の自動運転のクルマを管理するというのはどういうことなのか。これはクルマだけでなくインテリジェントなロボット全般に言えること。イノベーションを阻害することなく、市民の安全も確保するにはどうしたらいいのか。
  • フィンテックに関わる銀行取引や証券取引に規制があるように、シャトルや運送など人の命に関わることに関して政府が関わる意味は大きい。
  • 政府はデジタルインフラのためにコラボレーションを促進する役目を担える。もう一つは自動運転でできることとできないことの境界線を設定すること。例えば自動運転のクルマの専用レーンを設定するとか。

クルマの愛好家の中には自動運転に反対する人もいます。どうやってその反対に反論する?

  • これは個人の趣味嗜好の問題ではなく、社会全体で考えないといけないこと。好むと好まざるに関わらず、クルマの自動運転化は進んでいく。
  • クルマの愛好家からクルマを取り上げるわけではなく、クルマをレーストラックのようなところで運転しようと思えばできる。
  • クラシックカーが好きだったり、スポーツカーが好きな人がある日突然にクルマに乗れなくなるなんてことは起きない。この変化は徐々にやってくる。あとは、自動運転のクルマが多くなった時、安全性を考えていつまで人間が運転できるようにするかとという問題。今の時代に馬で通勤している人があまりいないのと同じ。乗馬をしたい人は乗馬ができる場所が今でもある。
  • あまりクルマの出入りがなくデータがない土地では人間が運転する必要があると思う。

安全性の問題について。監視できるようオープンソースにすべき?ハイジャックをどう防ぐ?

  • Webと同じで問題は起きる。インフラが整うまでに痛みを伴うし、一歩下がって二歩下がることもある。
  • ここにいる誰もその答えは持っていないと思う。これは大きなチャレンジ。
  • クルマにはたくさんのデータが集まる。個人情報やデータのセキュリティーは大きな課題であり、スタートアップにとっては機会だと思う。

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