カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

勉強は料理に通じる:頭のいい人の効果的な勉強の習慣

 ボクは高校生のころまで勉強が大嫌いで、実際に成績もよくなかったです。あまり学校にも行かなかったです。担任の先生には「お前みたいなやつがろくでなしになるんだ」と言われました。あ、これは当たってたのかもしれませんが!

 ボクが勉強が好きになって、いろんな知識を吸収できるようになったのはアメリカの教育方法に触れてから。アメリカの学校ではエッセーという小論文をとにかく書く。そのためには文献となる本をたくさん読んで、それを論理的に整理して、エッセーとして形にしなければいけない。この量が半端でなく、ボクはいまでも夢でうなされるくらいです。

 とはいえ、その根本となる考え方ってあまり難しくない。料理とちょっと似てる。原材料を用意して、調理して、お皿に盛って料理として出す。知識という材料を頭の中に入れて、それを自分なりに考え、自分の意見として出す。つまり勉強というのは「入れて、調理して、出す」というプロセスなんです。周りをよく観察すると、頭のいい人ってこれができていることが多い。単に本を読むだけではなく、自分の知識としてきちんと吸収している。

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勉強とは「入れて、調理して、出す」こと

 この「入れて、調理して、出す」は学校の勉強だけでなく、すべての勉強に通じることなんだと最近になって気が付きました。そして、それはちょっとしたコツさえつかめば習慣化して持続的な学習ができるんだとわかりました。

 「入れる」は頭の中に情報を入れることです。文字の情報だけでなく、耳で聞いたこと、目で見たこと、鼻で匂いを嗅いだこと。口で味わったこと。心で感じたこと。すべて「入れる」です。

 「調理する」は考えて整理整頓することです。授業を受けて、黒板に書いてあることをそのままノートに写すのは「入れる」であって「調理」ではないです。後でノートを見返して自分なりに整理整頓しなおすのは「調理」です。入ってきた情報はすべて正しいわけではないので、それを取捨選択するのも「調理」のまえの下ごしらえですね。

 「出す」は頭に入れて考えて整理整頓した情報を出すことです。たとえば科学の実験とか。いろいろと調べて仮説を立てる。そしてそれを実験で実証するのは「出す」ですよね。読書感想文とかも「出す」です。プログラミングの勉強をして実際にコードを書いてみることも「出す」です。砕いて整理整頓したことをブログを書いたり、Slideshareにスライドをアップしたりするのも「出す」です。

「入れる」は効率化できる

 「入れる」「調理して」「出す」のなかで一番効率化できるのは最初の「入れる」です。インターネットってすごい!いろんなところに情報が転がっています。ツールもそろってます。何も考えずにとにかく頭の中に突っ込む。

文章からの情報

 ボクの場合は通勤の電車の中でFeedlyを使って気になる記事のタイトルだけチェックします。そして気になった記事はPocketに保存する。帰りの電車ではPocketに保存された記事を読む。あとはKindleで本を読みます。

イベントに参加して五感を使って情報を入れる

 人との出会いも大事ですよね。そんなときはイベントに参加するといいです。海外ではMeetupEventbriteが強いのですが、日本だとPeatixConnpassEventregistあたりにイベント情報が多く集まっています。そして一番イベントの情報が集まっているのはなんだかんだ言ってFacebookイベントです。

 イベントの開催者たちはイベントの登録自体はPeatixやConnpassで行っていますが、告知はFacebookイベントを使うことが多い。だから個別のチケットサイトの情報がFacebookイベントにすべて集まっていることが多いです。

二つ以上の五感を組み合わせる

 これは語学に特に有効なのですが、視覚と聴覚を同時に使うと効果が高いと感じます。たとえば音読しながら書く。聞きながらシャドウイングをする、映画の字幕(日本語ではなくその国の言葉)を見ながら聞く。ボクはカエルライフの中国語教材でかなり中国語が話せるようになりました。HTML、CSS、JavaScriptはドットインストールで学びました。ビデオって視覚と聴覚を使うから効率的なんですかね。

入ってきた情報を「調理して」自分のものにする

 多くの情報は他人の情報です。記事も本も他人が書いたことです。イベントで聞いた話も他人の情報。自分の情報は自分自身が経験した情報だけ。たとえば実際に目で見たこととか、食べたものとか、触ったもの。自分の情報も磨かれる前の原石みたいな状態です。

 実際の料理でも生のままでおいしいものもありますが、手を加えたほうがおいしいですよね。刺身だって生の魚をそのまま出すわけでなく、さばかないといけないわけです。情報も自分なりに整理整頓して調理しないといけません。

本当かウソか?

 フェイクニュースとか話題ですが、その情報が本当かどうかを確認するのって大事です。比較的簡単な見分け方は参照文献があるかどうか。なかったらかなり怪しい。これはインターネットのニュースだけじゃなくて、一般に売られている書籍でもそうですからね。ちゃんとした本は参考資料をちゃんと巻末に載せています。一時期流行った「江戸しぐさ」なども書籍はたくさん出ましたが、参考文献がないため今ではかなり怪しいものだというのが通説になっています。

江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)

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正しく覚えたか確認する ーサウンドボード

 「ウソか本当か?」を確認するには、実際にやってみるというのもあります。実際に確かめられるのであればこれが一番確実。情報は本当でも、誤解してることもありますし。正しく覚えているか確認するのも大事。英語ではサウンドボード(Sounding Board)と言ったりします。思いついたアイデアを確認したり、ちゃんと覚えているかどうか確認したり他人に頼むときに使います。Can you be my sounding board?って感じに。どう聞こえる(サウンドするのか)のか確かめる。

 これが語学であればネイティブの人に使ってみるというのもできますよね。間違えて覚えていたら通じない。正しく覚えていたら通じる。学校の勉強、例えば数学であれば練習問題をいくつかやってみるというのもありますよね。

議論をする

 ウフルの八子さんが続けている「八子クラウド」も「入れる・料理する・出す」のフォーマットで行われています。最初にトピックに関連のあるスピーカーからのプレゼンテーションがあり参加者はそれを聞く。そして、次にグループに分かれてディスカッション。これが「料理する」にあたります。 八子さんのコメントをそのまま引用します。

人と議論して正しいかどうか、他に考え方がないか、別の見方がないか、自分がちゃんと理解できているかどうか確認する。八子クラウド座談会がまさにそう。議論する勉強会って意外とないんですよ。あれをやらないと自分の身にならないし、ギャップが埋まらない。

話として筋が通っているか?

 アメリカの学校の小論文では必ず「筋が通っている」ことを求められます。そのため、論文の書き順まで決まっています。日本では「起承転結」ですよね。アメリカを含む英語圏では……

  1. 導入(仮説の提示とその論拠1から3の概要)
  2. 仮説を証明する根拠その1
  3. 仮説を証明する根拠その2
  4. 仮説を証明する根拠その3
  5. まとめ

……です。これを徹底的に叩き込まれます。仮説を証明する論拠は三つ以上。それぞれ事実である必要があり、参照できる文献が必要です。「自分はそう思う」とか「みんなそう言ってる」みたいなあやふやな推測はダメです。経済に関してであろうが、政治に関してあろうが、哲学に関してあろうがこの体裁です。

 「入れた」情報が仮説を証明する根拠一つ一つになるわけですね。それらをうのみにせず、かみ砕いて自分なりにどういう仮説を作るのか。それが「自分の意見を持つ」ということです。他人と同じ必要はないですし、正しいかどうかもわからない。ひょっとしたら間違ってるかもしれない。仮説ですから。仮説が正しいかを確認できる強度を持っていることが大事なんです。

頭に入れたものは出さないと使えない

 入れて自分なりにかみ砕いて整理した知識や経験を「出す」のは二つの意味で大事です。

 まず自分なりに砕いたのは仮説でしかない。本当かどうかわからないですよね。それを確かめるには他人に確かめてもらうしかない。サウンドボードもそのやり方の一つです。「じぶんはこういう理由でこう考えたんだけどどう思う?」と確認することって大事。

 そしてせっかく頭に入れたものは使わないともったいないというのもあります。使わない知識は残念ながらいつかは失われます。英語や中国語を勉強しても、使わなければ忘れてしまうのと同じ。

 出すのはいろいろなやり方がありますよね。代表的なところをざっと箇条書きにしてみましょう。個々のリストはネットサービスが中心ですが、当然ながら物理メディアでもいいし、イベントとかそういう場所でもいい。