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次世代のブロックチェーンの最有力、IOTAとTangleとは

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 今回から数回にわたり、ブロックチェーンに関わる海外の人たちのインタビューをお送りします。最初はIOTAとその基盤技術のTangleを初期から追いかけているブロガーのLimoことStephen Vogtさん。IOTAもTangleもまだできたばかりの技術で英語でもあまり具体的な情報はありません。ただ、そのコンセプトは魅力的でマイクロソフトをはじめとした様々な大手企業と提携しています。今回のインタビューでもう少しIOTAについて理解できればなと。

Limo

 今回はこのインタビューに声をかけてくれてありがとう。私の名前はStephen、またはLimoです、IOTAエコシステムの中ではLimoと名乗っています。最新情報を伝えるためにThe T▲nglerというブログと、Sunday BanterというYouTubeチャネルを運営しています。初期からのサポーターとしてIOTAとIOTA Foundationをボランティアとして支援しています。

 個人的には電気技師で経済と環境地理学を学びました。そのため地球規模の生態系や経済の問題やその解決方法に関して幅広い興味を持っています。そのような興味の中でIOTAも独学で学びました。

カタパルト式なかむら

 ありがとうございます。まずはリモさんが関わりの深いIOTAとその基盤技術のTangleについて教えていただけますでしょうか。

Limo

 IOTAの創始者たちはブロックチェーン特有の問題だけでなく、次の進化のステップのためにもっと良いものが必要だと考えました。世界経済フォーラムで言われている「第4次産業革命」はウェブに接続され自動化されたシステムです。これが機能するための十分なバックボーンが必要です。さらには価値とデータの取引をゼロコストで行う必要があります。マイニング、取引手数料や負のスケーラビリティのようなものは無駄です。この問題をブロックチェーンではなく有向非周期グラフで解決しようとする試みがTangleです。

カタパルト式なかむら

 ブロックチェーンとTangleの具体的な違いは何でしょうか?

Limo

 Tangleのエコシステムのルールはシンプルです。ノード側で無視できる量の計算能力を持つ2つの他のトランザクションを確認すること、そのための計算能力を提供すること。それだけです。取引手数料はありません。ブロックもマイニングも中国や他の安い国の巨大なマイニング設備も必要ありません。

  インターネットではウェブサイトやピアは常に接続されています。しかし、IoTの場合は必ずしもそうではない。オフラインの状態がある。Tangleはメインネットに常時接続されていない「オフラインクラスター」を作成することを可能にします。情報はネットワーク接続があるときに同期されます。IoTはメッシュのような接続で様々な接続方法があります。5G、blutooth、TCPにLoRaWanのように。これをサポートするには既存のブロックチェーン以外の技術が必要でした。マイクロトランザクション、データマート、ペイオンデマンド、ストリームオンデマンド、スマートコントラクト新しいエコシステムを構築できるソリューションです。

カタパルト式なかむら

 Limoさんの視点から見て、IOTAとTangleはどのような問題を解決すると思いますか?多くの人はブロックチェーンはコストがかかりすぎるし、パフォーマンスが悪すぎると考えています。

Limo

 ブロックチェーンは銀行の中央集権からの解放の必要性から生まれた素晴らしい技術です。世界中で様々なブロックチェーンが運営されています。その最大のものはビットコインであり、それに続くイーサリウムなどです。イーサリウムはスマートコントラクト、Dash、ZcashやMoneroは匿名性、データストアのMaidsafeなど革新的なアイデアがどんどん生まれています。しかし(個人的には)ブロックチェーンはすでに古いエンタープライズシステムに属していると考えています。ブロックチェーンを考え出したサトシ・ナカモトはブロックチェーンがこれほど大規模なものになると思っていなかったのではないでしょうか。ビットコインもブロックチェーンもスケールしないからです。

 ブロックチェーンはスケーラビリティーの問題を抱えていると一般的に考えられています。トランザクションのためのスペースが限られており、デジタル通貨を作成する方法は高くなり続けます。使用する人が増えればマイニングの必要が増える。サトシ・ナカモトは人々の中央集権からの開放を目的としていました(と私は考えています)が、あまりに多くの人が使いすぎるとその目的が達成できません。取引の価格などサービスが高価になるという意味でビットコインやイーサリウムは伝統的な銀行とよく似ています。それだけでなくマイニングのためにの電力は環境にあまりいい影響を与えません。

 もちろん、その解決のために多くの提案がされています。IOTAとTangleもその一つです。

カタパルト式なかむら

 IOTAとTangleはイーサリアムとブロックチェーンのように分散アプリの基盤になるのでしょうか?

Limo

 ベルリンのスタートアップのNakamo.toがpeak.ioという新しいプラットフォームを発表した。これによってIOTA上でのトークン化が期待できる。イーサリアム上のブロックチェーンプロジェクトの多くはERC20という規格を使ってトークン化してるけど、IOTAで近い将来それができるようになる。 IOTAの開発チームはあまり多くを明かさないけど、このほかに匿名性、外部からのデータ取得をサポートするOracle、Flash Channelsなど計画している。これらのトークン化されたシステムはカラードコインにも似ている。

カタパルト式なかむら

 IOTAとTangleはIoTで想定されるようなデバイス同士の取引を前提にデザインされています。クルマはセンサーのカタマリみたいなものだし、家もスマートスピーカーのようなスマートデバイスがたくさん入ろうとしています。自動運転が可能になったクルマはスマートカーになるだろうし、家はスマートホームになる。IoTでいうエッジでの処理がすごく大事になってきます。

Limo

 いまのIOTAとTangleの一般的なユースケースはご近所のシェアリングエコノミーになります。10世帯あったとして、その中の3世帯がソーラーパネルを設置する。それを残りの7世帯にIOTAトークンを通じて最も安価で公正な価格でシェアするとか。その地域のフルノードサーバーその地域世帯のエッジサーバーとなって冷蔵庫や電気自動車の充電ステーションと接続してデバイスでできない重い計算を行う。デバイスの肩代わりにプルーフオブワーク(POW)を行う*1

 将来ビジョンとしてはデバイス同士の価値の取引ができるようになること。デバイスがウォレットを持つ。フルノードで動作するためにはストレージなど機器的な要求が大きい。データ量も大きくなるから、開発者はデータの一部だけを使うSwarmノードのシステムを開発する必要がある。そういうシナリオもIOTAのロードマップにはある。

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*1:IOTAでは参加しているノードがPOWを行う