カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

書評

書評|ラガードのためのイノベーション 入門|"The Future is Faster Than You Think" by Peter Diamandis

イノベーター理論はイノベーションがどのように波及していくか説明しています。最初にイノベーターと言われるアンテナの感度がよくって、新しいものにすぐ飛びつく人たちがいて、次にアーリーアダプターに伝播します。そして、最後に渋々受け入れるのがラガ…

書評|新自由主義批判に対する保守からの回答―大きな政府は大きな腐敗を生む?|"Profiles in Corruption" by Peter Schweizer

ピーター・シュワイザーは調査報道記者です。そして、ルネッサンス・テクノロジーズのロバート・マーサーらとともに保守系シンクタンクの政府説明責任研究所を設立した一人です。更に、オルタナ右翼を代表するメディア『ブライトバート・ニュース・ネットワ…

書評|ニューヨークとサンフランシスコの間の「不気味の谷」|"Uncanny Valley" by Anna Wiener

オンライン版の雑誌『ニューヨーカー』で記者をやっているアナ・ウェイナーの初著書である"Uncanny Valley"は日本語で「不気味の谷」です。不気味の谷は最近はロボットへの嫌悪感を表す心理現象です。ロボットっぽいロボットには特に嫌悪感は感じないのだけ…

書評|人間と動物の優しい共存のための豆知識|"Animalkind" by Ingrid Newkirk

今回はどうやって紹介したらいいのか、なかなか迷った本です。単純に「動物好きにおすすめの本!」とも言えるし、もっと社会的に「ヴィーガンや動物愛護を理解するための本!」とも言える。更に「文明発展の中における動物の位置づけ!」みたいに大きな括り…

書評|進化は野蛮で自然は優しい|"Civilized To Death" by Christopher Ryan

世の中には楽観主義者と悲観主義者の両方いて、楽観的な意見と悲観的な意見を喧々諤々やっています。スティーブン・ピンカーが楽観主義者の代表だとしたら、今回紹介するクリストファー・ライアンは悲観主義者の代表かもしれません。どちらかの意見が決定的…

書評|ダークサイドを飼い慣らす|"The Power of Bad" by John Tierney, Roy F. Baumeister

社会心理学者のロイ・バウマイスターとジャーナリストのジョン・ティアニーのコンビは以前にも『WILLPOWER 意志力の科学』がベストセラーになりました。その後に「意志力」系の本がたくさん出ましたが、この二人の仕事が出発点です。彼らの新しい著書"The Po…

書評|「使いやすさ」の歴史と未来|"User Friendly" by Cliff Kuang

「デザインが大事」と言うのは言葉では簡単なんですが、実際にはとても難しいです。なぜ難しいのか?それは「なぜ大事なのか」のWHYの部分をまず理解しないといけないからです。そして「何が大事なのか」のWHATの部分を理解しないといけません。おそらくほと…

2019年和書ベスト3冊(または『映画秘宝』讃歌)|ベスト・オブ・2019

このブログのコンセプトは「イノベーションに効く世界の情報を日本語で」だったので、日本の情報は取り扱いませんし、日本語で書かれた和書も取り上げませんでした。それでも、ボクは日本人なので日本語で書かれた書籍も買いますし、読みます。英語の本に比…

2019年洋書ベスト5冊|ベスト・オブ・2019

2018年のベスト5冊を振り返ると「シリコンバレー的な生き急ぐようなスタイルではなく、もっと人間らしくやろうぜ」というメッセージの本が多かったです。あと、ジェンダーに関してもエミリー・チャンの"Brotopia"のように、より深い議論が起きましたね。そ…

書評|もう、はじまっている新しい戦争|"Sandworm" by Andy Greenberg

戦争のイメージって飛行機や戦車が実弾を撃ったり、ミサイルが飛んで街を破壊したり人を殺したりですよね。もちろん、そういう戦争が起きる可能性はゼロではないですし、物理的な破壊兵器は今でも作られ続けています。物理的な攻撃の主なターゲットは相手の…

書評|死にゆく民主主義のための処方箋|"They Don't Represent Us" by Lawrence Lessig

何かを議論するとき、何を原理原則とするかが重要です。何が目的で、何が手段なのか。例えば、日本は衆議院と参議院の二院制をとっています。何を目的として衆議院と参議院が分かれているのでしょうか。衆議院は何を代表して、参議院は何を代表しているので…

書評|経済学が信用されない理由とそれでも信用すべき理由|"Good Economics for Hard Time" by Abhijit V. Banerjee

経済学が苦手なのは経済予測です。これは皮肉でもなんでもなく、経済学は未来を予測する学問ではないのです。当然ながら経済学者の経済予測は外れるので、一般の人たちから信頼されなくなる。経済学の得意分野は経済予測という誤解は経済学者にとっても不幸…

書評|金融市場の謎をアルゴリズムで解いた男|"The Man Who Solved the Market" by Gregory Zuckerman

一般的なイメージとして金融や経済はお金を扱うのだからデータ中心で科学的なのではないかと思われがちです。しかし、一般的なイメージとは裏腹に、経済学は「科学」だと認識されていません。ノーベル経済学賞も通称であってノーベル賞ではありません。金融…

書評|デザイナーのための気の利いた豆本|A Book Apart

ボクの社会人としての原点はサービスデザイナーです。その前にマーケティングもやっていましたが、自分のプロフェッショナルとして定義をする根っことなったのはサービスデザインでした。いまはさすがに自分自身ではデザインをしませんが、それでも出来上が…

書評|アシモフ的なAI三原則|"Human Compatible" by Stuart Russell

人工知能(AI)に関して大きく分けて二つの派閥があります。人間のに脳を超えるとき、人間にとって脅威になると主張する派閥と、人間にとって脅威にならないと主張する派閥です。スチュワート・ラッセルは人工知能は人間にとって脅威になると主張する派閥の…

書評|ベン・ホロウィッツの期待の新著は企業文化について|"What You Do Is Who You Are" by Ben Horowitz

ベン・ホロウィッツの前著『HARD THINGS』は自らのスタートアップで出会った困難を赤裸々に描き、多くの人に絶賛されました。すごくいい本ですので、スタートアップや経営に興味がある人にはオススメします。そのベン・ホロウィッツの二作目なのですから、期…

書評|キックスターター創業者の考える新自由主義の罠と日本的経営哲学|"This Could Be Our Future" by Yancey Strickler

成功したスタートアップ創業者には海外でも日本でも新自由主義の権化のような人が多いですよね。勝ち組なので、勝ち組の理屈を信じるのは理解できます。一方で、成功したにも関わらず、全く違う価値観を持つ成功したスタートアップ創業者もいます。代表的な…

書評|クソ野郎、キチガイ、変態と戦う法律事務所|"Nobody's Victim" by Carrie Goldberg

イブラム・X・ケンディの人種主義に関する本"How to Be an Antiracist"を読みながら、レイシズムが人種主義で、レイシャル・ディスクリミネーションが人種差別ならば、セクシズムが性別主義で、セックス(ジェンダー)・ディスクリミネーションは性別差別と…

書評|人種の違いを「お笑い」にしないための反人種主義(アンチレイシズム)|"How to Be an Antiracist" by Ibram X. Kendi

人種主義(レイシズム)って日本人にとっては馴染みが薄いと思うんですが、国連では日本はしっかりと人種主義的な国と認識されてしまっています。2005年の国連人権委員会特別報告で「日本社会に人種差別および外国人嫌悪が存在することを正式にかつ公的に認…

書評|新しい独占企業GAFAを理解するのに必要な、伝統的な独裁企業とエネルギー業界の話|"Blowout" by Rachel Maddow

インターネットの世界ではGAFAの驚異とか色々言われてます。中国ではBATや次の世代が台頭とか。もう、世界はインターネットやモバイル企業が牛耳ってるんじゃない?と。まあ、もちろんGAFAやBATの影響力は絶大ですし、超巨大企業ですよ。でも、Fortune 500の…

書評|ブロックチェーンと法律|"Blockchain and the Law" by Primavera De Filippi

法律は国によって定められています。国によって法律は違います。そのため、国をまたがる場合は合法と非合法、正義と悪の境界線が非常に曖昧になります。その曖昧な世界が大きければ、大きいほど法による管理は難しくなります。海の世界がその代表例ですね。…

書評|絶対防衛線としてのデザイン|"Ruined by Design" by Mike Monteiro

「デザイン」はむやみに使われすぎていて、ボク自身、最近は避けてきた言葉です。デザインは数多くある手法の一つであって、目的ではない。目的に合った手法を使うべきであって、デザイン原理主義にハマりたくない。それでも、ユーザー中心に考える思想とし…

書評|ロジックの罠にはまらないためのマジック|"Alchemy" by Rory Sutherland

いま世界の広告代理店のトップはイギリスのWPPグループですね。そのグループの一員であるオグルヴィの母体は1890年に創業して、ローカルな諺だった「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」を世に広めたりしました。しかし、オグルヴィが本当に世界的に有名になっ…

書評|データとプライバシーにまつわる企業と政府の関係|"Tools and Weapons" by Brad Smith

楽しみにしていたエドワード・スノーデンの自伝"Permanent Record"があまりにそのまま「自伝」で肩透かしにあってしまいました。核心部分だけ知りたい人は映画『スノーデン』を観れば十分でしょう。"Permanent Record"はスノーデン個人にとても興味ある人向…

書評|映画監督ケヴィン・スミスの自宅からの実況中継|"Tough Sh*t" by Kevin Smith

ボクがインディー映画を好きになったのは80年代からで『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』とか『ニュー・シネマ・パラダイス』とか『八月の鯨』とかを岩波ホールとかミニシアターで観ていました。しかし、インディー系の映画が本当に市民権を得たのは90年代か…

書評|アメリカ新自由主義の象徴であるコーク兄弟はいかに富を築いたか?|"Kochland" by Christopher Leonard

アメリカのお金持ちといえばビル・ゲイツやウォーレン・バフェット、最近だとアマゾンのジェフ・ベゾスを思い浮かべる人が多いと思います。チャールズ・コークとデイビット・コークのコーク兄弟を思い浮かべる人は少ない(世界長者番付でそれぞれ八位と九位…

書評|失敗を予測するフレームワークとは|"Meltdown" by Chris Clearfield

日本には『失敗の本質』という素晴らしい失敗学の書籍があるにも関わらず、同じ過ちを繰り返してしまう性質があります。「うん、そうなんだよ。そうそう、それが悪いんだ」と病気の症状がわかっていても、具体的な解決方法というか、処方箋がないからなんで…

書評|ハマるしかけの次は、ハマらない時間管理|"Indistractable" by Nir Eyal

集中したい、でも集中できない。悩みは古今東西同じです。特に最近は「アテンションエコノミー」などと言われるように、人の注意力を引きつけることがビジネスにとっても重要になってきているため、あの手この手で誘惑してきます。人の注意を引きつけて虜に…

書評|人工知能はパロディではなくオリジナルを作れるか?|"The Creativity Code" by Marcus du Sautoy

前回紹介した"Possible Minds"では「人工知能は人間の知能を超えるのか?(技術的にはAGIまたは強いAI)」を様々な観点から考察していました。インテリジェンス(知能)とはどういうことなのか?具体的にどのような状態になればシンギュラリティに到達したと…

書評|知的好奇心を刺激する触媒としての人工知能|"Possible Minds" by John Brockman

宇宙旅行に空飛ぶ自動車。昔から未来予想は夢がありますが、実現するかどうかはわかりません。ある種の思考実験ですよね。人口知能がどこまで人間に近づくのか、人間を超える存在になるのか。人工知能に関する議論も同じです。昔の少年雑誌の未来予想と現在…