カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

経営

書評|グロースハック本の決定版|"Hacking Growth" by Sean Ellis【2018年夏休み読書週間】

エリック・リースはリーン・スタートアップを書籍の形で世に出しましたが、グロースハックという言葉を2010年に生み出したショーン・エリスこれまでグロースハックの本を書いてきませんでした。グロースハックはショーンがコンセプトを発表した後に、アンド…

書評|大人ためのリーンスタートアップ『スタートアップ・ウェイ』|"The Startup Way" by Eric Ries【2018年夏休み読書週間】

イノベーションの実現を助ける手法としてリーン・スタートアップは有名です。用語としてMVPとかピボットとか聞いたことがある人もいるでしょう。『スタートアップ・ウェイ』は『リーン・スタートアップ』を書いて世の中にリーン・スタートアップを広めたエリ…

書評|クソくだらなくて意味のない仕事が増えている|Bullshit Jobs by David Graeber

本来必要ない仕事があったら?そして、その仕事をしている人はそれに気づいていたら?これが今回紹介するデビッド・グレーバーの"Bullshit Jobs"の主題です。様々な調査によると37%から40%の人が自分の仕事がなくなっても何も世の中に影響がないと考えていま…

書評|コープのソーシャルプラットフォーム|"Ours to Hack and to Own" by Trebor Scholz and etc

注目されるスタートアップの歴史を書こうと考えた時、どうしても食指が動かなかったのがUberです。そもそもビジネス自体に共感が持てない。創業者たちがどのような社会を作ろうとしているのかわからないですが、便利と搾取の等価交換な気がしてならない。社…

中国のヨドバシカメラ JD.comが日本企業から学んだこと

中国のスタートアップはすでに巨大プラットフォーマーとなったアリババ、テンセント、バイドゥのBAT(Baidu, Alibaba, Tencent)の他、それに続くユニコーンのトウティアオ、メイトゥアン、ディディチューシンのTMD(Toutiao, Meituan-Dianping, Didi) につ…

はじめての中国Fintech:モバイルペイメント編【赤盤】

モバイルペイメントというのはモバイルとペイメントが合わさった言葉です、あたりまえですが。つまり、モバイルとペイメントの両方の発展を見ていくことによって、より理解が深まるのですね。中国のモバイルペイメントについて様々な記事を見かけます、その…

アップルから学ぶベンチャーキャピタルの役割

今回取り上げるのはアップルです。アップルは「資金を提供する人のメリットは何か」と「いつ外部から資金調達をするべきなのか」と「創業者が資金以外に必要なもの」を理解するのに最適な事例だからです。 資金を提供する人のメリットは何か そもそもベンチ…

スロースタートアップ|第四回:GoPro|ハスラーのブートストラップ

ニック・ウッドマンは他のスタートアップ創業者と少し違います。スタートアップにはハッカー(開発者)、ハスラー(ビジネス)、ヒップスター(デザイナー)の三種類の人が必要だと言われています。頭文字をとって3H (Hacker, Hustler, Hipster) 。多くのス…

スロースタートアップ|第三回:MailChimp|選んだ道じゃないけれど

スタートアップといえば急速な成長のためにベンチャーキャピタルからガツンと資金調達をするイメージがあると思います。しかし、ベンチャーキャピタルから資金調達をせずにずっとブートストラップ *1 しながら成長するスタートアップも存在します。日本だと…

スロースタートアップ|第二回:dribbble|おじさんたちのサイドプロジェクト

スタートアップといえば急速な成長のためにベンチャーキャピタルからガツンと資金調達をするイメージがあると思います。しかし、ベンチャーキャピタルから資金調達をせずにずっとブートストラップ *1 しながら成長するスタートアップも存在します。日本だと…

スロースタートアップ|第一回:Github|スポーツバーとラーメン利益

スタートアップといえば急速な成長のためにベンチャーキャピタルからガツンと資金調達をするイメージがあると思います。しかし、ベンチャーキャピタルから資金調達をせずにずっとブートストラップ *1 しながら成長するスタートアップも存在します。日本だと…

テンセント(腾讯)に学ぶ自己破壊による成長の仕方

スタートアップは創業者のビジョンをプロダクトなりサービスを具体的な形にして提供する企業だと思います。マイクロソフトのビル・ゲイツの場合は"Infomation on fingertips"ですよね。手のひらに情報を。パソコンはその手段。 しかし、企業はそのビジョンを…

バイドゥ(百度)のロビン・リー|Googleに勝った男が苦しんでいる理由

バイドゥ(百度)は中国のプラットフォーマーであるBAT(バイドゥ/アリババ/テンセント)の一角にも関わらず、アリババやテンセントほど話題に上がりません。 アリババやテンセントといったライバルに大きく後れを取っているというのが現在の評価です。ど…

中国版食べログのメイトゥアン(美团)が「O2Oのキング」となるまで

中国のプラットフォーマーであるBAT (Baidu:百度/Alibaba:阿里巴巴/Tencent:腾讯)に続く中国ユニコーンがTMD (Toutiao:头条/Meituan-Dianping:美团点评/ Didi:滴滴出行) ですね。今回は美团(以下メイトゥアン)です。 トウティアオ(头条)が中国…

蘇りつつあるシャオミー(小米)から学ぶ「モノづくり」から「コトづくり」への変革

日本は製造業が強く、「モノづくり」が得意でした。これが過去形になってしまうのはアメリカ(アップルなど)や台湾(シャープを買収したホンハイなど)、韓国(サムソンなど)が日本の製造業を追い越してしまったからです。おそらく作るモノの品質自体はま…

Tik Tokのトウティアオ(头条)から学ぶ中国コンテンツビジネス

アメリカの影響力のある大手テクノロジー会社をまとめてGAFA (Google/Apple/Facebook/Amazon)と言います。ドットコムバブルを生き残ってプラットフォーマーとなった世代ですね。これに続くのがリーマンショック以降に生まれたUber、Airbnb、WeWorkなどの…

書評|世界最大のヘッジファンドが提唱するAIによる「意味のある仕事と意味のある関係」|Principles by Ray Dalio

今回の書評はレイ・ダリオの"Principles"です。レイ・ダリオは世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者です。この本はいろんな意味で注目されています。一つは多くのファンドが損出を出したリーマンショックでも利益を出し…

Oculusから学ぶハードウェアスタートアップのはじめ方

20世紀のスタートアップ(AmazonやGoogle)と21世紀のスタートアップ(UberやAirbnb)にはいくつか違いがあります。 ドットコムバブルやリーマンショック以降の成熟(リーンスタートアップやグロースハックなどの方法論の確立) サービスのスタートアップの…

WeWorkの誕生と成長|自分がやりたいことを実現できるコミュニティーを作るということ

WeWorkは資産評価35億ドルのユニコーン企業です。彼らのビジネスはコワーキングスペース。なぜWeWorkはそれほど資産評価が高いのでしょうか?コワーキングスペースを提供する企業は山ほどありますし、WeWorkがコワーキングスペースのコンセプトを生み出した…

ジャック・マーとアリババ誕生と成長|長江のワニ

アリババ(阿里巴巴)はジャック・マーと17人の共同創業者とともに1999年に設立されました。そして当時の動画映像はかなり多く残っています。なぜかと言えば、2000年に国際マーケティング担当役員として参加して十年間アリババで働いたポーター・エリスマン…

Instagramの誕生と成長|爆速エグジットの秘密

Instagramのエグジット *1 はアメリカで八番目に早い記録になります。資金調達と同時に起業し、その七ヶ月後に製品ローンチ。起業から一年後に更に700万ドル(約7億円)の資金調達をし、その一年後にFacebookに10億ドル(約1000億円)で買収されます。ちなみ…

Airbnbの誕生と成長|借金から3兆円企業への道

Airbnbは日本では「エアビー」という愛称までついて、それなりに知られる存在になってきました。そして、スタートアップを目指している人にとって、Airbnbがどのように生まれたのか、どのように成長したのかかなり研究されている分野かと思います。 よくある…

Spotifyの誕生と成長|二年半の赤字から音楽市場V字回復の立役者に

音楽市場は2014年まで15年続けて縮小を続けていましたが、2015年から回復して今も売上を伸ばし続けています。この音楽市場のV字回復に最大限の貢献をしているのが音楽ストリーミングで、Spotifyはその最大手です。日本の音楽市場だけ、未だに回復できていま…

Dropboxを成長に導いたショーン・エリスのグロースハック

「ソースにあたれ!」って大事ですよね。何かを本質的に理解したければソースを探す。グロースハックに関しては「ソース」は間違いなくショーン・エリスです。そしてショーン・エリスをここまで有名にしたのはDropboxでの成功です。では、ショーン・エリスは…

エストニアがスタートアップ国家としてデジタル政府を推進する理由

これまでアメリカとイギリスのデジタル政府に踏み出した背景を説明してきました。なかなか評判がいいようなのでエストニアの資料も作ってみました。全ての国家はそれぞれ歴史があり、大きさも様々です。アメリカ、イギリスや日本とエストニアを単純に比べる…

世界にサービスデザインを広めるアダム・ローレンスのサービスデザイナーとしての原動力

アダム・ローレンス(Adam Lawrence)さんはサービスデザインの世界を牽引しているキーパーソンの一人です。エージェンシーの設立者というだけでなく、Global Service Jamという世界的なコミュニティーイベントを運営したり、サービスデザインの実用書『This…

Facebookのような大企業をトークン化する方法

ざっくり言うと キッカケはMark Zuckerbergが2018年に暗号化通貨の可能性を探ることを示唆したFacebookでの書き込み(【全文和訳掲載】マーク・ザッカーバーグ「仮想通貨は権力... | News | Cointelegraph)。実際に親和性が高そうなことから、インターネッ…

2018年は次のプラットフォーマーになる準備をはじめるべき年|カタパルト式アンリーディング

ざっくり言うと プラットフォームが変わるタイミングが近づきつつある そのプラットフォームにふさわしい新しいエクスペリエンスを作り上げる企業が次の勝者になる それをはじめるべきは今年 またプラットフォームが変わる時がきた パソコンの時代はOSがプラ…

日本の企業や組織が抱える根本的なWHYの問題|カタパルト式アンリーディング

日本はイノベーションをもっと推進しないといけない。日本は従来の製造業から脱却して新しい価値を生まないといけない。日本はもっと働き方改革を進めて効率的にならないといけない。いろいろと「しなければいけない」事は多いのですが、その解決策はまだ見…

書評|仕事の戦略には「いい仕事戦略」と「悪い仕事戦略」がある|The Good Jobs Strategy by Zeynep Ton

「サービスデザイン」はその名の通り「サービス」をデザインします。プロダクトデザインと大きく異なるのは人との関わり。たとえばホテル(コンシェルジュやベルキャプテン)、小売業(店員)、コールセンター(カスタマーサービス)に飲食店(ホールスタッ…