カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

スタートアップのトリセツ!

ボク自身がスタートアップでなんだかんだ二年以上生き残ってきたというのもあって、起業したばかりの人や企業を目指す人からアドバイスを求められたりすることもあります。これだけアドバイスをしてくるとテンプレ化してきますので、それを「取説」としてまとめておきますよ!

そもそもスタートアップに向いているか?

これすごく大事だと思います。スタートアップは何もないです。地位も名声もお金もない。起業家にとって拒否されることや無視されることは日常の一部です。実は何もわかってない「エキスパート」の御託を延々と黙って聞かなければいけないこともあります。

ホリエモンとか「生意気だ!」とか言われますが、あれくらい図太い神経がないと生きていけないというのはあります。もちろん、ハッタリばかりかましていてもダメで謙虚さも必要です。とあるユニコーン起業家が「攻撃的な謙虚さ」と表現していましたが。これはすごくしっくりきます。

無視されること、批判されること、否定されること、拒絶されることに慣れることができない人は起業すべきではありません。

起業するために会社を辞めるべきか?

大丈夫だぜ!オレのパッションは燃えている!どんな困難だって立ち向かってやる!という姿勢は大事ですが、冷静になることも必要です。

起業家と無職のニートは紙一重です。スタートアップの成功率は10%くらいです。もし会社勤めをしているのであれば、会社を辞めて起業するべきではありません。副業としてやるのが一番いいです。「今の仕事が忙しすぎてそんなことできない!」という方もいるでしょう。だったら起業しない方がいいです。時間管理ができないのだから。

ただ、注意することが一つ。企業勤めをしている人は雇用契約で自分のIPの取り扱いがどうなっているかはチェックしておきましょう。資料とか会社のPCに残さないことは当然のこと、プライベートと会社の仕事はくっきりと分けられるようにしましょう。

どのタイミングで起業すべきか?

「攻撃的な謙虚さ」と「図太い神経」と「熱いパッションと現実を見つめる冷静さ」を併せ持つあなた!起業する資質はありますね!では、具体的な話をしましょう!

成功する上で一番大事で一番難しいのは「プロダクト/マーケットフィット」です。これなくして成功することはありません。起業家であればプロダクト/マーケットフィットの概念は知らなければいけません。

プロダクト/マーケットフィットが数字で見えたら起業するタイミングではないでしょうか。

わかったよ!具体的に何をすればいいのさ!?

  1. 本を読む
  2. 人と話す
  3. グーグルで検索する
  4. 紙でモノを作る
  5. それを計測する

この5つだけです。これをやるだけだったら会社を辞める必要ないよね?自分の会社もいらないよね、まだ。

まず、「1. 本を読む」と「5. 計測する」を説明します。計測するために本を読むので。

プロダクト/マーケットフィットってどうやって数字で測るの?

プロダクトとマーケットは以下の条件をすべて満たした時にフィットしてると言えます。これが「プロダクト/マーケットフィットがある」です。

  1. ターゲット層が定義されている(マーケット)
  2. ターゲット層の課題が定義されている(マーケット)
  3. ターゲット層の課題を解決する手段がある(プロダクト)
  4. ターゲット層の課題を解決する手段は他の競合する手段と比べて優れている(プロダクト)
  5. 上記を仮説として、その仮説を数字が数字で実証された

このプロダクト/マーケットフィットを数字で見るのに有効な手法が『リーン・スタートアップ』です。すべての起業家と起業を目指す人たちは『リーン・スタートアップ』を読むべきです。ボクのアドバイスで一番多いのがこれ。

『リーン・スタートアップ』を読んだことありますか?ない?じゃあ、それを読みましょう。(話はそれからだ)

 余談:ビジョンと計画は違うよ!

起業する上で準備は必要です。プロダクト大事です。マーケット大事です。フィットさせること超大事です。会社勤めの経験がある人はすごく長期のロードマップを作っちゃったりするんです。これダメです。ビジョンがあるのはいいです。でも、そこに至る道は誰もわからない。起業家自身もわからない。計画したとしても計画通りにはいかない。99.99%いかないです。だとしたらそんな計画を立てるのは無駄です。そんな夢想に時間を使うのはもったいないです。

まず最初のプロダクト計画。プロダクト/マーケットフィットの仮説を実証。これが全てです。それ以外はマスターベーションです。

人と話してマーケットを知る

初期段階ではとにかく人と話をします。知らない人にどんどん話しかけていきます。どんな人がどんな課題があるのか。これを知るためには会話が一番です。最初は恥ずかしいですよ。ボクも基本的には内向的でシャイな人間ですから。でも、その殻は破らないといけません。「製品開発のための調査をしてるのですが、ご協力いただけますか?」と言えば大丈夫です。断られ続けても心折れないように!

人を知り、己を知り、プロダクトを知る

最初からプロダクトを作ったらダメです。なぜか?プロダクトを知らないからです。

えーー!ちゃんと作りたいイメージあるんだけど!こんな製品はどこにもないよ!

そうあなたは言うかもしれません。でも、それはあなたが作りたい製品であって、ターゲット層が欲しがってる製品かどうかはまだわからないわけです。これが同じだったら最高に幸せですが、残念ながら最初から同じなものを作れるという幸せ者はそれほど多くありません。ほとんどいないんじゃないでしょうか。

既存の製品があるかグーグルさんに聞いてみる

革新的なアイデアはほとんど出尽くしています。世の中には頭のいい人たちがたくさんいて、限られた革新的なアイデアをどんどんと先に実現させています。もちろん、失敗して敗れ去った人たちはそれ以上います。何が言いたいか?あなたのアイデアはすでに誰かに実現されています。多くの場合、過去に何人も試して、あなたの歩もうとしている道には彼らの屍が転がっています。

彼らはなぜ成功しなかったのか?彼らのフィットしなかったプロダクトとマーケットとあなたのプロダクト/マーケットとどう違うのか?

ボク作っているBindlyやサービスジオラマだって似たような製品はたくさんあります。先人たちは残念ながら全く成功していません!

あなたは道を切り開くわけではありません。少なくとも誰かが入り口を作っています。残念ながら先人未踏の地はあまり残されていません。先人たちが切り開いたけど、どこにも辿り着かなかった道を軌道修正しながらどこかへたどり着くのです。

これを否定する起業家はたくさんいます。自分のアイデアに酔いしれてしまっています(本当はすでにあるアイデアなのにね!)。でもね、グーグルさんに聞くのはタダなんですから、その虚栄心をちょっと忘れて聞いてみましょうよ「攻撃的な謙虚さ」をあなたは持ってるんですよね?

先人たちがどのように失敗したのか?市場にすでにある似たような製品とどう違うのか?そして、それは決定的に違っていてより多くの人を引きつけられるのか?

紙でプロトタイプを作る

プロダクトを作る前にプロトタイプを作る必要があります。紙で作ったものでもいいですし、ビデオでもいいです(お金がかからないなら)。紙芝居でもいいです。とにかく安く早く作る!

まとめ的な何か

まず、心構えが大事です。心構えがあるのなら、最初にするべきはプロダクト/マーケットフィットを探すことです。製品をいきなり作ってはいけません。会社の設立とか資金調達は考えなくていいです。

起業する上で、自分の会社があるかどうかはあまり大事ではありません。お金が入ってこないですから。お金が入ってこないのに自分の会社いらないですよね?使うお金だってたいしたことないはず。

資金調達ですら考えるのはまだ早いです。Yコンビネーターのポール・グラハムも言っています。資金調達は二番目に難しいと。一番目はプロダクト/マーケットフィットで、これは資金調達より先にやらなければいけないことです。