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いまさら聞けない3Dプリントってなに?|プラスチックのコマ、自動車部品、食用プリントまで

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3Dプリントで起きていることはパソコンで起きたことに似ています。

コンピューターはIBMなどが製造する高価な産業向けコンピューターしかありませんでしたが、Appleが小さな個人向けのパソコンを作りました。Appleがコンピューターを作ったわけではありませんが、Appleがコンピューターを個人でも買えるくらい小さく、安くしました。産業用の高価なモノを個人向けにお手軽にした。これがパソコンのイノベーションでした。

同じことが3Dプリントでもおきました。

 

 

なぜ3Dプリントがそんなに話題に?

3Dプリント自体は1980年代からあり、3D SystemsStratasysが産業用の3Dプリンターを販売していました。3D SystemsとStratasysは3Dプリント界のIBMと言えます。産業向けの3Dプリンターはずっと前から存在してきましたし、成熟した分野でもありました。それを変えたのが個人向けの3Dプリンターの登場でした。

高価な産業用の3Dプリンターを低価格で個人でも使えるようにする取り組みはオープンソースからはじまりました。RepRapプロジェクトです。3Dプリンターを安く簡単に自作できる方法を開発し、多くの人に向けて公開することを目的としたオープンソースライセンスのプロジェクトです。

RepRapプロジェクトで採用していたのがプラスチックを使った熱溶解積層法です。この特許を持っていたのがStratasysでしたが2009年に特許の保護期間が終了します。MakerBotなどが登場して個人向けの3Dプリンターを発表します。そういう意味ではMakerBotは3Dプリント界のAppleと言えます。AppleはガレージからはじめましたがMakerBotはニューヨークのハッカースペースからはじまりました。

個人が簡単にモノを作れるようになるのってそんなにすごい?

ソフトウェアが世界を変えたのはパソコンによる個人のプログラマの力がとても大きいです。高価な産業用のメインフレームしかなかったらスマホすら生まれなかったでしょう。オープンソースだって生まれませんでしたし、インターネットも普及しませんでした。

個人がソフトウェアだけでなく、モノも簡単に作れるようになるとパソコンで起こったような革命が起きるのではないかと期待されています。実際に3Dプリンターで様々なものが作られています。生産を開始する前に3Dプリンターでプロトタイプを作ることで、生産コストを下げつつユーザーのニーズによりあった製品を作ることもできます。CADでデザインし、3Dプリンターでプロトタイプを作成してユーザーテストを繰り返します。そして、実際の製品は海外の工場で作ってもらうこともできます。

ただ、これも使う人によっていいことにも使われますし、よくないことにも使われます。コーディー・ウィルソンが設計して公開した3Dプリントの銃はあまり良くない例ですね。

3Dプリントの発展はプラスチックから金属、食用まで

レーザーで作る精密なプラスチックモデル

一般的に3Dプリントってプラスティックを上からウニョウニョ積み重ねていくいくイメージですよね。これが熱溶解積層法です。簡単ですぐに作れますが、それほど精密ではありません。しかし、3Dプリント自体は様々な材質を様々な方法で作ることができます。

同じプラスチックでもレーザーで固める方法であればさらに精度の高いモデルが作れます。Formlabsはより精密なプリントができる光硬化樹脂を硬化させる光造形(SLA)方式の3Dプリンターの小型化に成功しました。

金属の3Dプリント

3Dプリンターはプラスチックだけではありません。金属の3Dプリンターも当然ながらあります。金属の3Dプリンターは個人が買えるような小型のものを作るのがプラスチックの3Dプリンターより難しかったのですが、Desktop Metalが金属の3Dプリンターのデスクトップモデル"Studio System"を発表しました。金属粉末射出成型法という方法で、金属の粉末とポリマーを混ぜて整形します。整形した後に熱を加えてポリマーを溶かし、金属のモデルだけが残るという方法です。

小型化したのは素晴らしいのですが、それでも価格は12万ドル(1300万円)するので、個人向けとは言えないですね。

他にも、MarkforgedDigital Metalといった企業が小型の金属3Dプリンターを作っています。

食用3Dプリント

食べることのできる食用のプリントはすでにたくさんあります。手でデコレーションをするよりも、機械で印刷をした方が精密な絵が作れますからね。家庭用のプリンターに食用インクを使います。オブラートのような食べれる紙に印刷します。

そして、当然ながら食べれるモノを作る食用3Dプリンターもありますし、Marijn Rooversのような立体的なフードデザインを手がけるフードデザイナーも現れてきています。

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写真クレジット:Marijn Roovers

一番安い食用プリンターはノルウェーのPancakeBotの作るパンケーキの3Dプリンターですね。300ドルなので34000円くらい。

少し高価ですが、オランダのbyFlowなら本当に立体的な食べれるモデリングができます。3300ユーロなので43万円くらい。個人では使えませんが、レストランやお菓子屋なら悪くない投資ではないでしょうか。