カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

プロダクト開発の優先順位のラディカルでシンプルな付け方

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原文:"A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization" by Richard Banfield

「すべきことを終わらせる」ための最大の課題は「何をすべきかを知る」ことなのは皮肉なことです。私たちの本の『Product Leadership』でこのトピックにまるまる一つのセクションを費やしました。最近では、この課題を確認するためにいくつかの調査を実施しました。100人以上のプロダクトプロフェッショナルを対象としたアンケート調査で、TwitterとLinkedInで投票をしましたが、結果は同じでした。プロダクト担当者の最大のチャレンジは優先順位付け。

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Source: Twitter Poll

なんで優先順位づけは難しいのか?

 プロダクトのクリエイターは多くの責任がありますが、そのタスクを遂行するために必要な権限はありません。役員たちはチームに多くの要求し、顧客や営業はカスタム機能やバグ修正を依頼してきます。これらを断るのは難しい。

 ほとんどのプロダクトマネージャーやリーダーは優先順位づけに必要な手法を持ち合わせていないことがわかりました。どのアイテムが重要で、どのアイテムは後回しにできるかを分別する簡単な方法。売上の圧力、偉い人の意見、組織内の合意で優先順位づけをしている場合が多すぎます。彼らには助けが必要です。

 必要なのは概念ではなく具体的な方法です。

どのように優先順位づけをするのか?

 優先順位付けは明確なビジョンとそこに到達する道のりを明確にすることからスタートします。幸いにそのためのシンプルで洗練されたソリューションがあります。私の同僚のGeordie Kaytesと友人のRadhika DuttとNidhi Aggarwalが非常に便利なソリューションを作りました。

「プロダクトが魅力的なビジョンから生まれることは非常にまれです。今までのキャリアを通じて私たちみんな素晴らしいプロダクトを作る努力をしてきました。しかし明確な道筋はありませんでした。私たちは自分たちの見識を比較し、ビジョンからプロダクトを作るためのプロセスを考え出しました」 - Radhika Dutt

彼らはそれをラディカルプロダクトと呼んでいて、それは私はスゲエと感じました。

ステップ1:プロダクトビジョンを作る

 彼らのビジョンデベロップメントワークシートを使うと簡単なステップでクリアで明瞭なビジョンに近づくことができます。あなたがスタートアップの創業者であれ、プロダクトリーダーであれ、チームと一緒にこの作業を行うことを勧めています。

 ワークシートを使うって最初のビジョンを作り、チームとともに反復作業をします。これがそのワークシート...

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ビジョンデベロップメントワークシート

 これがその穴埋め問題式のフォーム…

 現在、[カスタマーセグメント]が[行動や結果]したいとき、彼らは[現在のソリューショ ン] します。これは非常に耐えがたいことです、なぜなら [現時点でのソリューションの欠点]だからです。私たちは [課題が解決された世界]を望みます。私たちは[技術やアプローチの概要]で実現します。

ステップ2:ビジョンとプロダクトストラテジーを結びつける

 このラディカルプロダクトモデルでは優れたプロダクトストラテジーのための4つの要素が定義されています。ペインポイント、デザイン、機能とロジスティックです。

ペインポイントとは「誰のため?」と「彼らの痛みは何?」です。

デザインとは「ユーザーが目にする最も重要なフィーチャーやコンポーネントは何ですか?」と「それはどのような感情をユーザーにもたらしますか?」という問いに答えるものです。

機能とは「どのようにそのフィーチャーをユーザーに届けますか?」と「どのような技術、専門性、データ、パートナーシップや機能を開発する必要がありますか?」にあたります。

ロジスティクスは「その製品はどのようにユーザーに届けられますか?」や「どのようにサポートしますか?」といったチャネルに関することです。

 これにより作業を明確にして優先順位をつけるためのロードマップが準備できます。

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RDCLストラテジーキャンバス

 Radical Productの作者はこのシートを定期的に見直すことを進めています。

ステップ3:ビジョンに当てはめて優先順位を決める

 下にある2x2マトリックスを使ってどのニーズにチームがフォーカスすべきかを評価することができます。どれを無視して、どれを後回しにするか。ビジョンを基準としてフィルターすることで何が必要で何が不必要なのか優先順位を決めます。

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ビジョン/事業継続性テスト

ビジョンのフィットと事業継続性から優先順位を決める

 資金が潤沢にあればビジョンに投資すべきです。投資家や顧客を説得できるのであれば特に。資金が足りない場合は「ビジョンの負債」を取ることもできます。しかし、「技術的負債」と同様にこの負債は将来的に返済する必要があります。

難しいのはビジョンとフィットするけど事業継続性が低い場合や、ビジョンはフィットしないけどビジネスの心配をせずによく寝れる場合です :) - Nidhi Aggarwal

ステップ4:プロダクトビジョンを計測する

 実行は計測しなければいけません。優先順位がどのような結果を生むかを知る必要があります。計測することで改善ができます。残念ながら、ほとんどのプロダクトチームは顧客の価値や満足の結果に紐づかない自己満足の指標を使いつづけています。

 この最後のトピックはもっと詳細な説明を必要とするでしょう。このトピックに関してはNate WalkingshawのMind The ProductプレゼンテーションとDuttの製品分析と測定に関する考えを読むことを強くお勧めします。

ここで紹介されているRDCLツールキットの日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

この記事はFresh Tiled SoilのCEOであるRichard Banfield氏による"A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization"の翻訳です。