2023年公開の『BAD LANDS バッド・ランズ』は、原田眞人監督によるノワール作品です。底辺から抜け出そうとする姉妹を描いた本作は、独特の世界観と演出が特徴的で、観る人の好みによって評価が分かれる作品です。
- あらすじ|底辺からの脱出を目指す姉妹の物語
- テーマ|貧困と裏社会、そして絆
- キャラクター造形|ネリとジョーの姉弟関係
- 映画技法|演出と音響に対する評価
- まとめ|独特な世界観がハマる人には魅力的なノワール作品
あらすじ|底辺からの脱出を目指す姉妹の物語
舞台は大阪・西成地区(劇中では英語風に「ニシナリ」と表現)。姉のネリ(安藤サクラ)と弟のジョー(山田涼介)は、貧困や暴力に直面しながらも、底辺から抜け出すために奮闘します。
犯罪や裏社会の中で生き抜く彼らは、さまざまな試練や陰謀に巻き込まれながらも、次第に成長し、それぞれの運命に向き合っていきます。物語はファンタジー的な要素を含みつつ、ノワール独自の暗い雰囲気を漂わせています。
テーマ|貧困と裏社会、そして絆
本作のテーマは、貧困と裏社会で生きる人々の姿と、そこで描かれる家族や絆です。ネリとジョーが直面する現実は厳しく、それぞれの生き方を選択する中で、愛情や葛藤が浮き彫りになります。
一方で、舞台となる「ニシナリ」の描写は、リアリティというより監督独自の解釈を強く反映しており、ファンタジー的な要素も含まれています。この点が、観る人の好みによって評価が分かれる要因の一つでしょう。
キャラクター造形|ネリとジョーの姉弟関係
本作では、ネリとジョーの関係性が物語の軸となっています。
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ネリ(安藤サクラ)
姉として弟を守り、底辺から抜け出そうと奮闘する強い女性。安藤サクラの演技がキャラクターに深みを与えています。 -
ジョー(山田涼介)
姉とともに困難に立ち向かう弟。ジョーの描写は物語の進行とともに成長が感じられますが、そのキャラクター造形は観客の好みによって評価が分かれそうです。
映画技法|演出と音響に対する評価
ボソボソ声のセリフと聞き取りにくさ
本作では、邦画特有のボソボソ声のセリフが多く、Netflixの字幕付き視聴が正解でした。滑舌や録音の問題か、あるいは演出意図なのかは不明ですが、セリフの聞き取りにくさが冒頭からストレスを感じさせる要因となっています。
聞き取れないセリフに重要な意味がないのであれば、会話をカットし、その後の展開で観客に想像させるような演出にしてもよかったのではないかと感じます。
構図やカットのダサさ
原田眞人監督の独特な構図やカット割りが、全体的に「決まらない」印象を与えています。緊張感を高める場面でも、ビジュアル的な完成度に欠けるため、物語の盛り上がりを阻害していると感じました。この点も、観る人の好みによって受け取り方が変わる部分です。
まとめ|独特な世界観がハマる人には魅力的なノワール作品
『BAD LANDS バッド・ランズ』は、原田眞人監督の独自の世界観が色濃く反映されたノワール映画です。底辺から抜け出そうとする姉弟の物語や、監督ならではの解釈が込められた舞台設定が、観る人によって好みが分かれるポイントとなっています。
ボソボソ声のセリフやビジュアル面の演出が気になる方にはややストレスがあるかもしれませんが、原田監督の世界観や演出が好きな方には刺さる作品となるでしょう。