イギリスのデザインエージェンシーであるRawnetがイギリス三大銀行の一つでクライアントのバークレイズ銀行のサービスデザイン部門のディレクターであるClive Grinyer氏へのインタビューをYouTubeで共有していました。企業におけるサービスデザインの事例は海外では多いのですが、日本で紹介されているものは少ないので、ここでアウトラインをご紹介します。
ボク自身もシンガポールやオランダの銀行のサービスデザインのプロジェクトに関わったことがありますが、このインタビューで語られていることはそのままどの国のどのプロジェクトにも当てはまることだと思います。
あなたにとってサービスデザインとは?
- エンドトゥーエンドのカスタマーエクスペリエンス
- 全てのタッチポイントの組み合わせ
- 厳格な顧客中心アプローチ
バークレー銀行ではサービスデザインを取り入れる上で組織的に難しかったことをどうやって乗り越えた?
- サービスデザインを取り入れると、組織の構造的な課題に挑戦することになる
- 組織は基本的に縦割りで、顧客のエクスペリエンスはその縦割りを横ぐしで通り抜けるもの
- サービスデザイナーの仕事はカスタマーエクスペリエンスは組織横断的なもので、組織の壁をまたいで働くことだと理解してもらうこと
- そのためのツールの一つがビジョンづくり
- ビジョンを作り、組織間のコラボレーションをファシリテートし、最終的には組織文化を変える
サービスデザインは部門でリードしたほうがいいのか、または全従業員で理解するべきことなのか?
- 企業内におけるサービスデザインのポジションは様々な議論がある
- 最終的なゴールはサービスデザインの考え方は全ての人に浸透すること
- 最初はスキルセットのフォーカスポイントが必要。つまり、一箇所に集約する。それが私個人のバークレーでのアプローチでもある
- これまでの銀行職員とは違う考え方を雇い入れる。サービスデザインはこれまでの銀行とは全く違う考え方
- これまでに触れたことのなかったデザインのツールやメソドロジーを展開する
- まだまだ最終ゴールにはたどり着けていないが、たどり着いたとしても期待値はどんどん上がっていく
伝統的な部門の壁をどうやって乗り越えて協業ができる環境を作る?
- サービスデザインを取り入れるということは伝統的なやり方を変えていくといことで、それを理解しないといけない
- 例えば2週間のスプリントで機会や課題を集中的に扱う。それはこれまでの金融機関では数ヶ月、数年かけていた
- そういう意味では参加する部門にちゃんとフォーカスして時間を取ってもらうことがチャレンジでもある
- サービスデザイナーは一緒に仕事をする。それによって部門のオーナーシップや自分たちで成し遂げたというプライドが生まれる
- 課題を探すだけでなく、一緒に解決する
具体的な事例は?
- 顧客がやりたいことを実現するための知識やプロセスに詳しい詳しいチーム(Super Hero)の設立
- バークレイズの社員が顧客のやりたいことをどう実現するかわからないときに、誰でもアクセスできる
- このような取り組みは顧客にも社員にも喜ばれる
- 誰もたらい回しにされたくないし、したくもない
- デジタルだけがサービスではないし、このような小さな取り組みがインパクトを生むこともある
バークレーではどのようにサービスデザインの価値を測っている?
- 顧客満足度やNPSが尺度になっている
- 蓄積的な変化ではなく、トランスフォーメーションとしての変化
- 特にバークレーで行なっているのは小規模の内部や外部でのテストを重ね、リスクを最小限にすること
- 大きな投資をいっぺんに行うのではなく、少しずつ変化を確認する
サービスデザインはどんな産業に適している?
- すでにプロダクトをデザインする余地はあまりなく、デザインのメソドロジーだけが残った
- そしてデザインを形のないものに当てはめることが様々な産業で起きた
- 特にコモディティー化して差別化が難しい産業でサービスデザインは活きてくる
- しかし、公共サービスでの可能性は大きいし、GDSの仕事は素晴らしい。金融業界でも見習うことが多い
サービスデザインのビジネスにおける将来は?
- ビジネスに対してサービスの説明をしてきて、それは見えてきた
- 形のあるプロダクトから形のないサービスのデザイン。それらを全て包括したエンドトゥーエンドのデザインになる
- デザインはもっと戦略的に、将来を見渡せる力をリーダーシップに与える
- イノベーションはテクノロジーだった。しかし、みんなテクノロジーのイノベーションを目指している
- それを人間を中心にまとめ上げることができるのがサービスデザイン。
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