ティム・バートン監督の出世作『ビートルジュース』の36年ぶりの続編である『ビートルジュース ビートルジュース』(2024年)の映画評です。ホラーコメディ。ボクは前作を観てからの鑑賞。本作は前作を観ておいた方が世界観にすんなり入れていいでしょうね。
前作はシンプルなストーリーだったけど、本作はいろんなプロットが絡み合っている。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)からだと思うのだけれど、最近は色々詰め込んで複雑な設定の作品が多く、消化不良気味で苦手意識があります。でも、そこは流石にティム・バートン。ちゃんとまとまりがあるストーリーになっていた。
ストーリーの中心が母親リディア(ウィノナ・ライダー)と娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)の関係なので、二人のキャラクターはしっかり描かれています。いろんな要素やキャラクターはストーリーを動かす舞台設定となっている。ストーリーの芯がしっかりしてるから、とっ散らかった印象がないんでしょうね。
それでも前作のほうがすっきりしたストーリーだった分、メイトランド夫妻とディーツ家を中心としたキャラクター造形も丁寧だったと思う。ビートルジュースというきわめて個性的な主人公がいるにもかかわらず、わき役たちにも個性が与えられてちゃんと仕事をしていた。バランスの問題でもあり、好みの問題でもあるとは思うけど。
前作を観た人は相変わらずのアナログな特殊効果や特撮が嬉しいし、キャラクターの成長も見れて満足。そういう意味では、前作を観てない人は面白さが半減するんだろうか。笑いの要素も前作に引き続き沢山ある。ちゃんとコメディーになっている。でも、前作のハリー・ベラフォンテ級の大笑いがない。そこはもうちょっと頑張って欲しかったなあ。