木村聡志監督による独特の間がおもしろい会話劇『違う惑星の変な恋人』の映画評です。どことなく初期のジム・ジャームッシュ監督作品を彷彿させる「間」の面白み。
むっちゃん(莉子)とグリコ(筧美和子)は同じ美容院で働いていて、趣味も合い仲が良くなる。二人はナカヤマシューコのライブに一緒に行くのだが、そこで出会ったベンジー(中島歩)にむっちゃんが一目惚れしてしまうのだが……という話です。
まず、キャラクター造形が見事。主人公の四人のキャラクターがしっかりと描かれている。四人それぞれに感情移入できる。これって、なかなかすごいことですよ。むっちゃんとモー(綱啓永)の会話のズレもそうだし、ベンジーの打算もそうだし、グリコの距離感もそう。わかっちゃう。そして、ボーリング場のカップルとか、みらん演じる歌手もちゃんとキャラクターが立ってる。
ストーリーは他愛ないんだけど、個性的なキャラクターが動く舞台装置としては十分。そして、コメディーとしてちゃんと笑える。映画で「笑える」とか「爆笑した」って心のなかでのことが多くないですか?だって、劇場でそれほどゲラゲラ笑ってる人を見たことないもの。でも、本作は自分は声を出して何回も笑ったし、劇場の人たちもたくさん笑ってた。心の中の話ではなく、文字通り笑った。
本作にこれといったテーマを見出すことはできなかったのだけど、コメディだと思えばまあいっかって感じ。