デザイン思考とかサービスデザインとかエクスペリエンス(体験)を重視する傾向が強くなってきています。これはこれでいいことなんですが、まだまだ裾野広くまで浸透していないんじゃないかという気がします。
デザインを本当の意味で理解してもらうにはなるべくシンプルに整理整頓して噛み砕いてみる必要があるんじゃないか。そう思ってこれを書いています。
まずは、エクスペリエンスってなに?デザインってなに?という「なに "What"」から説明してみようと思います。次になんでそれが大事なの?という「なぜ "Why"」を説明します。そして最後にじゃあどうすりゃいいの?という「どうやって"How"」を説明します。ゴールとしては高校生くらいの学生さんが読んで、理解して、自分で試せるです。
さて、うまくいくやら!?
- そもそもエクスペリエンス(体験)ってなに?
- エクスペリエンス(体験)をデザインするってどういうこと?
- なんでエクスペリエンス(体験)が大事なの?
- 「デザインシンプル」シリーズ一覧
- 過去のデザイン関連記事
そもそもエクスペリエンス(体験)ってなに?
いいエクスペリエンス(体験)を本当に簡単に言ってしまえば「うれしい!たのしい!大好き!」ってことなんだと思います。ドリカムの歌じゃないですけど。*1
なんでディズニーランドやユニバーサルスタジオに行くのか?なんでガラケーじゃなくてiPhoneを買うのか?なんで予約が取れないくらい人気のレストランがあるのか?何かを期待してるわけですよね。
そしてそれが期待通りだったり、期待を上回れば「うれしい!たのしい!大好き!」となるし、期待と違っていればガッカリということになるでしょう。本当にいいかどうかって体験しないとわからないんですよね。これすごく大事なので、もう一度書きますね。本当にいいかどうかは体験しないとわからないんです。
エクスペリエンス(体験)をデザインするってどういうこと?
デザインって実は工業の言葉なんですよ。日本語では「設計」ですよね。自分が作った商品やサービスが利用者にとって「うれしい!たのしい!大好き!」になるように設計すること。これをエクスペリエンス・デザイン(体験設計)と言います。Webとかアプリの場合はUXデザインですよね。そういう考えがモノのデザイン(商品設計)やサービスのデザイン(サービス設計)にも求められているということになります。
でも、実際のエクスペリエンス(体験)ってすごく範囲が広いんですよ。例えばケータイを買ったとするじゃないですか。すっごく見た目がいい(商品設計がいい)、アプリとかも使いやすい(UX設計がいい)、でも落としてスクリーンが割れちゃったとします。サポートに連絡しなければいけないんだけど、どうやって連絡したらいいのかわからない。色々調べて電話番号がわかった!電話したらすごく待たされた。しかもすっごくたらい回しにされた。これってすごく「あるある」じゃないですか?これはサービス設計がダメな例ですよね。
他にも料理は美味しいけど、店員が不愛想なレストランとか。逆に店員はすっごく親切なんだけど料理はイマイチとか。遊園地に行ってアトラクションに乗るのに1時間の行列を並んだとして、その行列の間にだけみれる特別なアトラクションとかあったら?それだったら待つこともあまり苦にならないですよね!列んで待つことだって「うれしい!たのしい!大好き!」にできるんです。むしろ列びたい!みたいな。
もちろん、「作り手の想い」で自然と「うれしい!たのしい!大好き!」になっていることもあるかもしれません。ただ、それはデザイン(設計)したとは言いません。エクスペリエンス(体験)をデザイン(設計)するというのは、ちゃんと計画して「うれしい!たのしい!大好き!」なモノなりサービスを作るということなんです。
なんでエクスペリエンス(体験)が大事なの?
好きになってもらうため
昔から大事だったのです。大きく分けて1)口コミによる新規顧客の獲得と2)リピーターの獲得があるでしょうね。
最初は誰も体験してないんです。リピーターになる前にまず使って体験してもらわないと。そして勇気ある新しモノ好きの誰かが試してくれるんです。マーケティングの世界ではこういう人たちをアーリーアダプターと呼んだりします。これは昔からそうなんですが、インターネットで体験を共有しやすくなりました。新しい人に「好きになってもらう」には誰かの体験を共有してもらうのが一番いい。
でも、嫌なサービスや不良品を買ったらソーシャルでシェアしますよね。そんな悪評は炎上にまで発展したりしますよね。だからちゃんと「うれしい!たのしい!大好き!」な体験ができるようにちゃんと設計しないといけません。
口コミは悪いことだけじゃなくていいこともたくさんあります。実は悪いニュースよりもいいニュースの方が広がるらしいです。口コミが広がる一番の要因は畏怖だと言われています。「おお、マジか?」ってやつ。"Contagious: Why Things Catch On"という口コミを科学的に研究したベストセラーからの受け売りなんですけどね!

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口コミが大事だというのは商売する人ならちゃんとわかっていて、だからこそ口コミマーケティングとかやるわけです。でも、プロモーションとかは一過性のものだし、続かない。「おもしろーい」と言ってもらえるかもしれないけど、「うれしい!たのしい!大好き!」にはならない。実際に使った人のリアルな口コミには敵わない。モノやサービス自体の体験がやっぱり大事なわけです。
ずっと好きでいてもらうため
リピーターが大事だって言いますよね。商売を伸ばすためにはリピーターがすごく大事なんです。リピーターがいないというのは穴の開いたバケツのようなものです。
例えばアプリをダウンロードして一回使ってすぐ削除されちゃったら?そのアプリは人気にはならないですよね。毎日新しい100人の人が使って10%の人がリピーターになったとします。毎日10人のリピーターですよね。一年365日ですから3650人です。これが0%だったら相変わらず毎日100人です。
これはアプリだけじゃなくてレストランとか多くのブランドにも言えることです。ユニクロが新商品をたくさん開発しますよね。あきられたらお客さんは戻ってくれないんです。「常に新しい商品がある」ってのも体験ですよね。多少お金を使ってもアマゾンプライム会員になるのもそのサービスの「体験」が欲しいからですよね。ガッカリしたら「うれしい!たのしい!大好き!」じゃ無くなってアマゾンプライム会員を辞めてしまいますよね。
長くなったので今日はここまで、次回は具体的にどうやってエクスペリエンス(体験)をデザイン(設計)するの?というHowの部分です!
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*1:悪いエクスペリエンスは『宇宙猿人ゴリなのだ』ですかね!わからない人は検索してみて!