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興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

映画評|『ドリーム・シナリオ』クリストファー・ボルグリ監督(2024年)

クリストファー・ボルグリ監督の不思議なサスペンススリラー作品であり不条理劇でもある『ドリーム・シナリオ』の映画評です。制作はアリ・アスター、主演はニコラス・ケイジです。

大学教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)はある日を境に何百万人という人々の夢の中に現れるようになった。どちらかといえば地味な暮らしをしていたが、一躍有名人になってしまう。夢の中のポールは何もせずただ傍観者としてそこにいるだけだったのだが、あることをきっかけに狂暴化する。そのことで大炎上してしまう。ポールはどうなってしまうのか……という話です。

ニコラス・ケイジは不思議な雰囲気のある作品に出ることが多いですが、これもそのひとつ。最近だと『マッシブ・タレント』(2022年)、『PIG ピッグ』(2021年)、『ウィリーズ・ワンダーランド』(2021年)、『カラー・アウト・オブ・スペース』(2019年)や『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018年)とか。「ニコラス・ケイジ」という一つのジャンルがあるといっても過言ではありません。これにアリ・アスターの雰囲気が合わさった感じに仕上がったのが本作です。


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テーマは「ニコラス・ケイジ」といいたいところですが、「インターネットの理不尽さ」が伝えたいメッセージなのかなと思いました。ポール・マシューズは突然に人気者になり、突然に憎むべき相手になってしまった。インターネットでは人気も悪評も一気に広がり、様々な方面から攻撃にさらされてしまう。それに「なぜ」と問いかけることは意味がなく、ただ「そういうものだ」と受け入れるしかない。このテーマは承認欲求をテーマにしたクリストファー・ボルグリ監督の前作『シック・オブ・マイセルフ』(2023年)にも通じるものがありますね。注目を集めるためには何でもやった『シック・オブ・マイセルフ』の主人公と注目を集めてしまったがゆえに振り回される本作の主人公は合わせ鏡のようなものだと思います。

マッシブ・タレント

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