個人投資家たちがヘッジファンドを中心としたウォールストリートに攻撃を仕掛けた2021年の「ゲームストップ株騒動」を題材としたノンフィクションの映画化。
キース・ギル(ポール・ダノ)は「ローリング・キティ」という名で動画を配信しゲームストップ社過小評価されていると訴えかける。彼の主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買いはじめて株価が上昇し始める。一方でヘッジファンドは同社の株を空売りして一儲けを狙っていて、所詮は個人投資家(ダム・マネー:Dumb Money)の動きだと見くびっていたのだが……という話です。
「ゲームストップ株騒動」や投資アプリのロビンフッドは一時期話題になっていたものの、「へえ、話題になってるなあ」くらいでちゃんと理解していませんでした。あまりフィンテックに興味がないので。でも、本作を観てその背景とかが理解できてとても面白かったです。その10年前におきた「ウォール街を占拠せよ」にも通じる運動だったんですね。
「ウォール街を占拠せよ」もSNSを中心とした運動だったけど、「ゲームストップ株騒動」はRedditやYouTubeといったSNSはもちろんのこと、モバイルアプリが大きな役割を果たしているのが面白い。単なる抗議行動ではなく、お金で勝負する。一般人をナメるなよと。
本作のキャラクター造形は主人公ローリング・キティことキース・ギルが中心になっている。ポール・ダノのキャラクター性で一点突破するのがいい。こういうクセの強い俳優はほかの要素があるとクドくなることが多い。ウォール街側のスティーブ・コーエン(ビンセント・ドノフリオ)、ケン・グリフィン(ニック・オファーマン)、ゲイブ・プロトキン(セス・ローゲン)は困惑するばかりで動きが少なくあまり描かれない。これがいい。