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書評|チンパンジーより世界を正しく認識する方法|"Factfulness" by Hans Rosling

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まずは13の質問に答えてください。この質問はGoogle Formで作成され、回答は全ての質問に答えた後に表示されます(一人一回しか回答できないためGoogleのログインが必要です)。多くの答えが間違っていても、ガッカリする必要はありません。ダボス会議の参加者を含む多くの人たちがチンパンジーより悪い成績だったのですから。

 

Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think

Factfulness: Ten Reasons We're Wrong About The World - And Why Things Are Better Than You Think

 

 

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チンパンジーは何も考えずに答えを選ぶからほぼランダムです。つまり、三つ選択肢があれば33%の確率で正解します。なぜ多くの人がこの質問に関してチンパンジーより成績が悪いのか?というのが今回紹介する書籍『ファクトフルネス "Factfulness"』の主題です。

なぜ人は正しい世界認識をしていないのか?

簡単に言えば人の世界認識は70年代や80年代からアップデートされていません。昔のイメージの世界観でいまの世界を見てしまっている。これは教育やメディアが悪いわけではなく、高学歴で社会的にも大きな影響を与えているダボス会議の参加者もチンパンジーより悪いスコアだったそうです。それには様々な理由があって、多くの場合はバイアスで正しいデータを間違った見方をしてるからです。なるほど、ダボス会議に参加しているビル・ゲイツがこの本を勧めるわけです。

そして、そのバイアスを矯正して正しい見方ができるヒントを「ファクトフルネス」として紹介しています。ここでは全てを紹介できませんが、代表的な「ファクトフルネス」を紹介します。

世界は悪いけど良くなっている

悪いことほど目につきやすい。そして、「世の中は悪くなっている」と考えてしまう傾向にあります。「昔はよかった」と懐かしむのはいいのですが、「昔は悪かった」ことはあまり覚えていません。

実際にデータを見ると多くの悪いことは良くなっています。最貧国に住む人は半分に減りましたし、女性も教育が受けられるようになりました。もちろん、パーフェクトな状態ではない。「悪い」かもしれない。けど、「良く」なっている。

世界は二つに分かれていない

最近は発展国と発展途上国という区別をしません。富める国と貧しい国。実際に多くの人が住んでいるのはどちらでもなく、中くらいの国です。二つに分けるのはシンプルでわかりやすいですが、間違っていては意味がありません。

多くの人は世界は二つに分かれていて、その間に大きなギャップがあると考えています。しかし、その考えは大抵間違っていて、多くの人は実は真ん中にいるのです。貧しい人と裕福な人の間にある中間所得者層が多いのです。

国連では発展国と発展途上国という二つの区切りではなく、レベル1(徒歩)、レベル2(自転車を所有)、レベル3(バイクを所有)、レベル4(クルマを所有)という四つの区分を使っています。日本やアメリカはレベル4です。そして、レベル4から見るとレベル3以下は貧しくみえる。

「富める国と貧しい国の二極化してその差は広がっている」という世界観は正しくない。実際はレベル1だった国はレベル2に上がり、レベル2だった国はレベル3に上がってきている。一番多いのはレベル2とレベル3の国なんですね。そして、レベル4の国も増えてきている。

線は直線とは限らないし、曲線もいろんな形がある

このまま人口が増え続けたら地球は人間だらけになってしまう!と心配したことありませんか?それは人口が直線的に増えると考えてしまうからです。実際には子供の数は全く増えないので、人口の伸びも徐々に鈍化していくと予想されています。

これは前に紹介したジェフリー・ウエストの"Scale"でも指摘されていましたが、人間はどうしても直線的に考えてしまいます。線は直線とは限らず、曲線にも色々な形があります。

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