原文:"First official registration of a Zug citizen on Ethereum"
2017年11月15日にプレスが見守るなか、スイスのツーク市*1にてブロックチェーン上で最初のデジタルIDによる住民登録が行われました。ツーク市はクリプトバレーとしても知られています。
この夏にツーク市とパートナーシップを結んでからブロックチェーンに住民IDを登録するパイロットプログラムを開始しました。これにより投票や住民登録など公共サービスのデジタル化が大きく前進します。
2017年6月からuPortプラットフォームを改善し、スイスのパートナーであるti&mとこの公式なローンチに向けて作業をしてきました。政府がブロックチェーンを使うことで市民に対してデジタル認証を提供できることを実証するとても大きな第一歩となります。
デジタル市民は市民と政府機関との間の信頼を高めるだけでなく、公共サービスを大幅に改善する機会となります。ツーク市では2018年の春に電子投票を提供する予定です。非常にエキサイティングな時期です。
では実際にツーク市での最初の公式な電子認証がどのように行われたかを見ていきましょう。
ステップ1:ツーク市民はuPortアプリをダウンロードし、uPort IDをイーサリアムのブロックチェーンに登録します。この世界的にユニークな識別子はパブリックアドレスになります。パブリックアクセスはuPort Proxy Contractと呼ばれるスマートコントラクトです。
ステップ2:QRコードをスキャンすることで新しく登録したuPort IDを使ってツークデジタルIDのウェブポータルにログインします。
ステップ3:ツークデジタルIDでログインした後に個人情報と既存のツークID番号を入力します。個人情報はまだ未確認のuPort IDから登録されているため、ツーク市役所での対面による個人確認が必要になります。
ステップ4:登録した人は14日以内にツーク市役所のレコードオフィスで公式なIDを持参して登録を確定します。
ステップ5:レコードオフィスではツーク市の職員がuPort IDを使用して管理ポータルにサインインします。承認されればuPort IDに市民としてのデジタル証明が発行されます。このデジタル証明はツーク市により公式に認められ、ツーク市の市民であることが公式な証明となります。こちらがそのプロセスをまとめたビデオです。
これはイーサリアムコミュニティーにとっても重要なイベントです。ここ2年間に力を入れてきたことが実現しはじめています。uPortで技術的知識に関係なくすべての人がブロックチェーンIDを利用できるようにするために使いやすさの向上に努めてきました。
ツーク市とのパートナーシップは自己管理ができる真にグローバルなIDシステムの実現に向けた大きな第一歩です。そして、その最初の日を迎えられたことにとても興奮しています。
解説
インターネットはデータのネットワーク。ブロックチェーンは価値のネットワークです。ブロックチェーンを中心とした新しい波をWeb3.0と呼ぶのはこの大きな違いのためです。
価値をネットワークでやり取りするわけですから、送る先が本当に本人なのかという認証はすごく大事なんです。ただでさえ「振り込め詐欺」みたいなことがあるわけですから。企業だけでできることではなく、行政や金融機関などを巻き込んでいかなければいけません。DIFのような標準化団体もできてきています。
uPortはそんなブロックチェーンの個人認証でも最先端を走っている企業の一つです。クリプトバレーと言われるスイスのツーク市で最初のブロックチェーン上の住民登録を実現したのはさすがとしか言いようがありません。この記事は具体的な方法を説明したブログ記事"First official registration of a Zug citizen on Ethereum"の翻訳です。
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*1:スイスのツーク州の基礎自治体。税率が低いために多くの多国籍企業が本部を置いている。最近はクリプトバレーとして 知られている。