ざっくり言うと
- この年からGOV.UKの各省庁への本格展開がはじまる
- その展開方式はイノベーションラボ方式。主体は各省庁のデジタルチームだけど、GDSが専門家集団として事業部門である各省庁にノウハウを提供。
- CTO室主導でアーキテクチャだけでなく調達も整理整頓。コスト削減効果が明確になってくる。
- アプリは行政サービスには不向き。(個人的にはPWAは向いてると思う)
- 検索できない「リッチテキスト」は追放
原文:"A GDS Story 2013"
2010/2011年|2012年|2013年|2014年|2015年
2013
1月6日
Mike Brackenがこれまでのデリバリータイムラインを解説しました。
1月13日
トランザクションエクスプローラツールは「政府が市民に提供する特に大きな44の公共サービスにおける1トランザクションあたりのコストに関するデータ」を含むように更新されました。当時の内閣府のFrancis Maude大臣は以下のようにブログで書いています
このデータを公開することは透明性の大きな前進です。英国政府にとって初の試みです。
1月15日
1月20日
GDSはロンドンでSprint 13を開催しました。政府のデジタル改革にフォーカスをあてたイベントで、これが第一回となり毎年行うことになります。Francis Maudeは2年間かけて行う改革プログラムを発表しました。これは特に大きな25公共サービスを更新するプログラムで、のちに手本となるプロジェクトとして知られるようになります。
その翌日に写真が公開されました。当時の最高経営責任者(CEO)だったStephen Kellyは「政府を改革する400日」を発表しました。(写真)
1月31日
司法省のRoger OldhamがMoJ Digitalの前身となるチームのためにGDSブログを通じて採用を呼びかけました。これはポジティブな前進でした。内閣府のモデルを通じて官公庁も同じことができる例を示しました。
2月22日
Abby PeelはGDSを訪問する国際的な訪問者を歓迎することについて書きました。
2月28日
Neil Williamsは前年度の初期ベータ版に入って以来はじめてInside Governmentの変更について書きました。
私たちが作り上げているものはワールドクラスというだけではありません。ワールドファーストです。ニュージーランド、クロアチア、スウェーデン、ノルウェーの各国政府がデザインからコードベース全体まで、私たちが作ったものを再利用してくれる予定です。
3月1日
歳入税関庁のコンテンツをGOV.UKへ移行することについて同庁のRobin Rileyが解説しました:
歳入税関庁はそのほかの官公庁と比べて長い時間がかかりました。どうして? 率直に言えば私たちは一番後方に位置していました。歳入税関庁サイトの違いを比べてみてください(現在/過去)。違いは劇的です。単なるお化粧直しではありません。歳入税関庁は情報をオンラインで公開する方法を再設計しました。
3月12日
Tom Loosemoreは政府にアプリの開発をやめるように呼びかけました。私たちはアプリっぽくない。
アプリはゲームやソーシャルメディアを変えているかもしれません。しかし、公共サービスをWebサイトを通じてさまざまなデバイスで効率的に利用できるようにするアプローチの方が現在では最適と言えます。その方が改善のための実験を繰り返し簡単に行うことができます。市場インパクトを最小化して、サポートするのもはるかに安いです。
3月14日
Mike Brackenが政府全体のITガバナンスを大幅に変更したと発表し、CTOのLiam Maxwellがリードしてきたプロジェクトが表面に浮かび上がってきました:
私たちは予算を多く持っている人たちの間で行われる調達に関する議論を少なくするべきです。立席ではない立ちながらクイックに行うスタンドアップミーティングでユーザーニーズに応えるべく日々のリリースを増やすべきです。私たちはウェブ、デジタルツールとサービスを政府内で活用することによりもっと素早くコラボレーションができるようになります。
要するに、Maxwellと彼のチームはこれまでの古い政府のITガバナンス体系を以下のように変えました。
…このように。
同日、GDSはデジタルが基本(Digital by Default)のサービススタンダードとサービスマニュアルのベータ版を公開しました:
このスタンダードは2014年4月よりすべての大規模サービスに適用されます。スタンダードのポイントはGOV.UKで公開されているすべてのサービスが利用者にとってわかりやすく便利なのでそれを好んで選択することを確かなものにすることです。そしてAssisted Digitalがオフラインで適切な支援をします。
私たちは新しいマニュアルとともに映画シリーズも作りました。
Welcome to the Service Design Manual
3月20日
私は紳士閣下がおっしゃることすべてのことに同意します。私たちがまだやっていないという彼の仮説を除いて。私は彼が優れた出版物を生み出したデザイン委員会のメンバーであることを知っています。実際にGDSの創設を含む、政府が取っているいくつかのイニシアティブについては非常に敬意を払ってくださっている。GDSは公共サービスの提供を改革する際に、ユーザーのニーズに合わせてデザインすることにコミットしています。これまで頻繁にそうであったように、政府の利便性を優先するのではなく。
3月21日
Richard Popeはサービスマニュアルを作成する過程について書いています:
最初は私たちはマニュアルを作っていること意識していませんでした。やろうとしていたのは新しいデジタルサービスがどのような基準で判断されるのかを描くこと。政府のデジタル戦略で掲げられているデジタルが基本(デジタル・バイ・デフォルト)とは何か。官公庁のサービスオーナーとそのチームが優れたデジタルサービスを提供するのに役立つ豊富な詳細を提供する必要があることは認識していました。そして優れたデジタル公共サービスがどのようなものなのかシンプルな定義を共有する必要性を。
3月25日
Inside Governmentに44の言語をサポートする新しいワールドワイドセクションが追加されました。これは、外務・英連邦省、国際開発省、貿易投資総省、国防省などの省庁にとって大きな一歩でした。
3月26日
後のCommon Technology Servicesチームになる仕事の最初の公での発表。こちらがそのIT改革グループのTariq Rashidのブログ記事。
3月28日
GOV.UKにおいて各省庁はあたらしいHTMLのフォーマットを使うことが推奨される。「HTMLがPDF / RTF / Word添付ファイルに代わるデフォルトとしてのデジタル」としてデザインされる。
4月16日
Mike Brackenのポスト:
...このマニュアルは過度な官僚的な考えから政府を解放するようにデザインされています。このブラウザベースのサービスは意思決定を加速し、多くの委員会や会議や扱いにくいプロセスの必要性を排除します。公共サービスがデジタル化されるにつれ、私たちが使用するツールとガバナンスにに反映されるべきです。
4月17日
GOV.UKは「よく考え抜かれた控えめなデザイン」が認められ、この年のDesign of the Yearを受賞しました。
Daily Telegraphの評論家Deyan Sudjicのコメント:
これは政府が実際に有効なコミュニケーションを理解していることの表れです。シンプルで直接的で礼儀正しい。このような政府から当然受けたいと思っているすべてのことは官僚主義と専門用語の海に沈み、実際に実現されることはありませんでした。GOV.UKはエレガントでほのかな英国らしさがあります。これは1960年代にMargaret Calvertがデザインした古典的なフォントのデザインのおかげかもしれません。それはウェブサイトのポールスミスです。世界は深く感銘を受けています。複数の公共サイトを合理化したため、税金を大きく節約できます。嫌いになる理由がありますか?
タイポグラファー/デザイナーのMargaret Calvertは上の写真(一番上の列、右から五番目)にいます。彼女は2011年以降、GDSデザインチームに不可欠なアドバイスを提供してきました。GOV.UKは彼女とJock Kinneirが作成したNew Transportフォントを使用します。
4月30日
イギリスにある24すべての省庁、No 10と副首相オフィスのサイトがGOV.UKへ移行しました:
...今日は政府と国民にとって新しい時代のはじまりです。私たちが仕事を正しく行えたのであれば、ほとんどの人はどれほどの大きな変化が起こったことに気付かないでしょう。しかし、プロジェクトを近くで見てきた私たちは、そのインパクトが深いものなのかを理解しています。これから国民(そして国民と政府を取り持つ専門家や仲介業者)は政府が何をしてこれから何をしようとしているのか全体を見渡すことができます。国内で、そして国外で。一つの場所に一貫性があり、整理された、簡単に理解できる形で情報が集まっています。
5月1日
Tom LoosemoreがこれまでのGOV.UKの歴史を写真とともにまとめました。
5月17日
GOV.UKの1,000 回目のリリース。
5月21日
Liam Maxwellが新しいITガバナンスの形について概要を紹介しました。「プラットフォームとしての政府」についての最初の言及となりました:
ユーザーニーズに焦点を当てること、サービスをコモディティー化すること、組織の壁を破りサービスを共有することにより、私たちは納税者のためにコストを節約できます。更に技術革新により公共サービスの改善を後押しします。
5月30日
6月
G-CloudはGDSに移行されました。これは後にDigital Marketplaceの大きな一部となります。
6月3日
政府は「事業の基本的改革」により100億ポンドの節減したことを発表しました。 翌週にGDSは5億ポンド以上の貢献についてブログを掲載しました。また、支出をコントロールすることとTechnology Code of Practiceの重要性についても言及しました。
6月7日
Richard Sergeantは最初のサービスの評価について発表しました。サービス基準にデジタルサービスがどれくらい達しているかを測るものです。
6月13日
Neil Williams がトランジションツールについて説明しました。
6月18日
デザイナーのGuy MoorhouseGOV.UKで使われていたアイコンをどうして削除したのかを説明しました:
最初にアイコンを導入したときユーザーデータはありませんでした。そのため、推測として正しいことをするしかありませんでした。しかし、時間の経過と共に多くのユーザーテストを実施しました。そしてアイコンが意図した結果を達成していないことが明らかになりました。ユーザーはしばしばアイコンをクリックすれば「何か起きる」と勘違いしてしまいました。
GDSではこのケースについてその後も言及し続けました。これこそまさに反復的改善の実例だからです。
7月2日
典型的なプロジェクトの1つである"Lasting Power of Attorney"がパブリックベータに達しました。
コンテンツデザインの責任者であるSarah Richardsが「私たちは2週間前に"黒い鉛筆"を手にしました」とブログで書いています。D&AD Black Pencilはデザインで最も賞賛される賞の1つです。それは最も特筆すべき作品だけ一年に一つか二つのプロジェクトしか受賞できません。何年か受賞者がいない年もありました。
7月9日
最初のDigital Services Frameworkのローンチ。これも最終的にはDigital Marketplaceの一部になります。
7月17日
Sprint AlphaのイベントでMike BrackenがTransformation Programmeのこれまでの進捗を報告しました。そして新しいダッシュボードであるgov.uk/transformationを発表しました。これにより誰でも発見>アルファ>ベータ>ライブのステージを確認することができます。
Mike Beavenが翌日そのフォローアップをブログで書きました:
改革とはWebサイトではありません。全てです。一貫性があり質が高い「デジタル・バイ・デフォルト(デジタルが基本)」のビジネスプロセス全てです。
7月23日
GOV.UKの見た目を若干アップデートしました。
同じ日にGDSのチームと王室土地登記所が共同でアルファを公開しました。
7月25日
Sarah RichardsがFAQsを使わない理由を説明:遅すぎるし重複の原因となります。
7月26日
ニュージーランド政府がGDSのデザインテンプレートを使った新しいWebサイトのベータ版のリリースを発表しました。
8月6日
Tom LoosemoreがA/Bテストについて書きました。A/BテストがどのようにNHS Organ Donor Register(イギリスの臓器移植ネットワーク)のプロジェクトの助けとなったか:
このGOV.UKにおけるたった一つの小さな変更により臓器提供者が毎月一万人増えました。このたった一つのページはイギリスで三番目に大きな臓器移植の登録サイトです。
8月8日
GOV.UKがどのようにデザインされているかを説明するブログ記事。これにより特定の組織や個人のページが削除されることはありません:
歴史的に見て政府のWebサイトは歴史家にとって簡単ではありませんでした。省庁や政府機関が政府の機械的な変更により閉鎖、統合、分割、改名されると全く削除されたり、完全に別のページになっていました。GOV.UKではすぐに使いやすいデータを提供し変更が理解できるようになります。後のために保存され、再利用されます。
9月1日
GDSがデザイン原則のポスターを作りました
(日本語版はカタパルトスープレックスデザインで入手できます)
9月4日
9月20日
9月27日
オープンスタンダードを選択して利用することは私たちのサービスをよくするだけでなく、サービス提供者の選択肢に柔軟性を与えます。火曜日に二つのユーザー課題を解決するために四つのオープンスタンダードを採用するようボードの提案がありました。
10月1日
数ヶ月の準備の後、最初の300の政府機関のWebサイトがGOV.UKへの移行を開始しました。これは「トランジション」プロジェクトの一部となります。
10月6日
GOV.UKチームによるナビゲーションの改善についての解説。
10月14日
GOV.UKのローンチから一年が経過して、Tara Stockfordがモバイルからのアクセス増加に気がつく。
10月17日
GOV.UK一歳の誕生日。Martha Lane Foxの訪問。当然ケーキあり。(More photos.)
データアナリストのPeter Jordanがデータの洞察について書く:「GOV.UKは一週間平均600万のユニークビジターがいる」
当時のGOV.UKの責任者James Thornettが一年の進捗について書く。
Mike BrackenがワシントンD.C.で開催されたCode for Americaサミットでスピーチ。
10月18日
10月25日
Lisa Scottが新しい内部ツールMaslowについて書く。ユーザーニーズを把握して、そのニーズがWebサイトであっているかパフォーマンスを追跡する。
10月29日
GDSがCabinetに参加。iPadと大きなスクリーン。内閣府のメンバーが私たちの仕事を明確にわかるように望んだ。
Mike Brackenはのちにこう述べています:
とても励まされたのは大臣たちが私たちの仕事の背景にあるプリンシプルに共感してくれたことです。彼らの質問は全て一つの観点から発せられていました:これはユーザーにとってどんな意味があるのか?どのようにユーザーのニーズを満たすのか?です。ユーザーニーズから始めることは公共サービスを根本的に変える原動力となります。これは大きい。
10月30日
Identity Assuranceチームがhubのベータ版をリリースしました。これはのちにGOV.UK Verifyとなる重要なコンポーネントの一つです:
The hubはユーザー、サービス提供者、公共サービス提供者の間のコミュニケーションを管理します。ユーザーはIDプロバイダーとして登録しているサービス提供者を選ぶことができ、デジタルサービスが利用できることようになります。
10月31日
Pete Herlihyがデジタル政府を作る上でGDSと関係が深いエストニアを訪問:
おそらくソビエト連邦からの独立のタイミング(1991年)もあって、エストニアは国を運営する上で技術を決定的な要素としてみていた。彼らはビジョンと決意を持った政治的にも公共的にも抜け目ないリーダーグループであり続け、技術の活用を積極的に活用する決意を持っている。
11月1日
Kathy Settleが各官公庁とのデジタル戦略の展開についてアップデートを書きました:
私たちは人事と採用に集中していました。そして正しくデジタルサービスを調達するフレームワークを作っていました。私たちはさらにデジタルを支援するためのリードの仕方、調整の仕方、技術の展開の仕方を変えました。CTO室は政府から参加したTechnology Leadersネットワークと共に戦略的な方向性とデジタルを展開する上でのベストプラクティスを推進しています。
11月6日
韓国の未来創造科学部長官の崔文基がGDSを訪問し、Francis Maudeと対面しました。Liam Maxwellが韓国訪問について書いています。
同日、GOV.UKチームは“When do the clocks change?”ページにおける“Test your smoke alarm”のリンクをテストしていました。Paul Cronkはその結果について書いています。
11月7日
GDSはバーミンガムでのSprint Shareを開催しました。政府のトランスフォーメーションプロジェクトに関わる人たちにとって一同に集まり経験を共有する機会です。
11月12日
11月13日
内閣府Technology Transformation (COTT) プロジェクトの開始。Tom Readがこう書いています:
私たちの目的は少なくとも人々が普段家で使うのと同じくらいモダンで柔軟性の高いテクノロジーサービスの提供です。これらのサービスは現在のサービスよりコストが安くなります。
11月14日
デザイナーのGuy Moorhouseがスタートページの進化について語っています。
11月28日
後にDigital Marketplaceの一部となるDigital Services Storeが公開されました。
11月29日
Martha Lane Foxが「英国デジタルチャンピオン」を退任しました:
このブログをよく読んでくれている読者であれば私たちがよくMarthaのレポートに言及していることを知っているでしょう。それはGDSにとってどれだけ評価しても足りないくらいです。それは政府にGDSを招集する弾みをつけ、ワールドクラスの「デジタル・バイ・デフォルト(デジタルが基本)」のサービスを作るミッションと任務を与えました。
12月12日
アナリストのAshraf ChohanがパフォーマンスチームによるGOV.UKのリアルタイムデータについて説明しました。
12月20日
ローンチから500億人がGOV.UKに訪問しました。
この記事はイギリス政府のGovernment Digital Service(略称:GDS)が自らの組織とGOV.UKの成り立ちをブログ記事にした"A GDS Story"の翻訳です。
2012年にローンチしたGOV.UKですが、まだ全てが完了したわけではありません。各省庁に同じプラットフォームでコンテンツを構築してもらわなければいけないし、継続的にアップデートをしなければいけない。
大規模構築から大規模運用への移行期が2013年となります。これを世界で初めてやってしまったGDSは本当にすごい。
カタパルト式スープレックスなかむらかずや
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