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映画評|『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』リドリー・スコット監督作品(2024年)

リドリー・スコット監督作品『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』の映画評です。前作は観ていないのですが、特に問題なく楽しめました。リドリー・スコット監督といえば前年の『ナポレオン』(2023年)がコケて、今年に制作に回った『エイリアン:ロムルス』がスマッシュヒットして面目躍如。さてさて、監督作品としてはどうですか?という感じの本作です。

舞台は引き続き帝政ローマ時代。戦いで捕らえられ、奴隷の身分で剣闘士として戦うルシアス(ポール・メスカル)。ルシアスの正体はだれなのか?自由を勝ち取ることはできるのか?という話です。典型的な英雄譚です。普通に英雄譚なのでテーマもありきたりです。むしろ古臭い。古臭さがいい方向に作用すればいいのだけれど、今回は単に古臭いだけ。ネタバレしたくないので、具体的にどう古臭いのかは言えないのですが。リドリー・スコットも衰えたなあ……という印象です。


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キャラクター造形は役者頼み。『アフターサン』(2022年)でめきめきと頭角を現してきたポール・メスカルを主役に据える。どこか陰のある演技が得意な印象だったけど、マッチョな役も演じることができるのねと。その対象として描かれるのが富豪で剣闘士のスポンサーでもあるマクリヌス(デンゼル・ワシントン)。ローマ時代に黒人の富豪がいたのかかなり疑問だけど、デンゼル・ワシントンは『マクベス』(2021年)でスコットランドの将軍マクベスも演じているからまあいいか。この二人がキャラクター造形の中心に据えられ、対立構造で話は進む。確かに個性的な俳優ではあるのだけれど、「仏作って魂入れず」の印象がぬぐえない。なぜなら二人があまりにも典型的なキャラクターだから。

エンターテイメントとしてはそれなりに楽しめたけれど、わざわざ劇場に足を運ぶまではなかった。