カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

ゴールを追いかけると幸せになれない三つの理由

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原文:"Forget About Setting Goals. Focus on This Instead." by James Clear

 私たちは人生で達成したいことがあります。いい体型になりたい、起業で成功したい、いい家庭を築きたい、ベストセラーを書きた、チャンピオンになりたい、などなど。

 そして、最初にやることは具体的で実行可能なゴールを設定すること。少なくとも、それが私のこれまでのやり方でした。学校の教室でもゴールを設定して、ジムに通ってどれくらい減量したいのか決め、自分のビジネスで獲得する顧客を決め。

 私が気がついたのは、実行して前に進むにはもっといいやり方があるということです。

 それはゴールとシステムの違いです。説明しましょう。

 

ゴールとシステムの違い

 ゴールとシステムの違いはなんでしょうか?

  • もしあなたがコーチなら、あなたのゴールはチームを優勝に導くこと。あなたのシステムはチームの毎日の練習。
  • もしあなたが作家なら、あなたのゴールは本を書くこと。あなたのシステムは毎週の執筆スケジュール。
  • もしあなたがランナーであれば、ゴールはマラソンを走ること。あなたのシステムはその月のトレーニングスケジュール。
  • もしあなたが起業家なら、あなたのゴールは100億ドルのビジネスを生み出すこと。あなたのシステムは営業とマーケティングのプロセス。

 そして質問です。

もしゴールを完璧に無視してシステムにフォーカスしたら結果を出せるでしょうか?

 例えば、あなたがバスケットボールのコーチだとして、大会で優勝するというゴールを全く無視して、チームの日々の練習にフォーカスをしたとする。結果を出せるでしょうか?

 私は結果を出せると思います。

 例えば、私が書いたブログ記事の文字数。過去12ヶ月で私は11万5000文字以上書きました(ここに全てあります)。一般的な書籍は5万から6万文字です。つまり、私は二冊の書籍と同程度の文量を書いたことになります。

 これは非常に驚くべきことです。私は書くことに関してゴールを設定していないのですから。私はベンチマークを使って私の進捗を測ったりしません。特定のブログ記事の文字数のゴールもありません。「今年は二冊本を書くぞ」などといったこともありません。

 私がフォーカスしたのは毎週月曜日と木曜日に一つのブログ記事を書くこと。そしてそのスケジュールを11ヶ月続けた結果が11万5000文字でした。私はシステムとタスクを実行するプロセスにフォーカスしました。そして私は同じ(またはそれ以上の)結果を楽しむことができました。

 それでは、ゴールではなくシステムにフォーカスするべき三つの理由を見ていきましょう。

1. ゴールは現在の幸福感を少なくする

 ゴールに向かっている時は基本的に「今は十分じゃない、でもゴールを達成すれば良くなる」という状態です。

 このマインドセットの問題は次のマイルストーンに達成するまで幸福感と成功を脇に置いておこうとすることです。「ゴールを達成したら幸せになる。ゴールを達成すれば成功したことになる」

解決方法:ゴールではなくプロセスにコミットする

 ゴールを決めると精神的な負担が増えます。もし自分が今年二冊の本を書くと決めたら?そのゴールを書くだけでプレッシャーを感じるでしょう。

 でも、私たちはいつもそうしています。減量するため、ビジネスで成功するため、ベストセラーを書くために不必要なストレスを抱えます。大きな人生を左右するゴールではなく、毎日のプロセスにフォーカスしてそれを続けることでモノゴトをシンプルにしてストレスを減らすことができます。

 パフォーマンスではなく作業にフォーカスすることで、現在を楽しみながら改善することができます。

2. ゴールは長期的なやる気を生み出さない

 ゴールを設定することで長期的にやる気を維持することができると考えるかもしれません。それは必ずしも正しくありません。

 ハーフマラソンのためのトレーニングを考えてみましょう。多くの人は数ヶ月ハードなトレーニングをするでしょう。しかし、大会が終わると練習をやめてしまう。ゴールはハーフマラソンを走りきることだから、それを達成したら練習を続ける「やる気」が持続できない。もし特定のゴールを達成するためにすごく努力したとして、それを達成した後には何が残りますか?

 これはゴールに向けてやったりやらなかったりという「ヨーヨー効果」に繋がります。このようなサイクルは長期的な習慣を作りにくくします。

解決方法:直前のゴールから解放される

 先週ジムでトレーニングをして最後から二番目のクリーン&ジャークのセットをやっていました。セットの最中にかすかなズキっとする痛みを感じました。すごく痛いわけでもないですし、怪我をしたわけでもない。ワークアウトの後半にある疲れのサインです。ちょっとの間、最後のセットをやるかどうか考えました。私はこれを生涯やることと決めていたので、今日はやめておくことにしました。

 ゴールを基本とした考え方ではワークアウトを完了してゴールを達成する気持ちになるでしょう。ゴールを設定して達成しなければ、失敗したと感じてしまうからです。

 しかし、システムを基本とした考え方では、続けることに問題はありません。特定の数字を達成することが目的ではありません。プロセスを続けてワークアウトし続けることが大事なのです。

 もちろん、ワークアウトをし続ければ、長期的にはより重い重量を持ち上げることができることを知っています。そして、それこそがシステムがゴールより価値が高いことなのです。ゴールは短期間の結果です。システムは長期間のプロセスです。そして最終的にはプロセスが常に勝つのです。

3. ゴールは管理できないことを管理できると錯覚させる

 失敗を予測することはできません。はい、ショックですよね。

 ゴールを設定するとそれを達成したくなります。自分たちがいつ、どこまで、何を達成するのか計画を立てます。どれくらい早く達成できるか予測します。どのような状況や環境がその先にあるかもわからないのに。

解決方法:フィードバックの仕組みを作る

 毎週金曜日、自分のビジネスにとって重要な数値をスプレッドシートに15分使って埋めます。例えば、一つの列にコンバージョン率(Webサイトの訪問者がニュースターの購読者になってくれる割合)を埋めます。この数字について考えることはありません。しかし、数字を入れ続けることで自分のビジネスの状況を理解するためのフィードバックの仕組みを作ることができます。コンバージョン率が落ちたらもっと品質の高いトラフィックをWebサイトに誘導する必要があるということです。

 フィードバックの仕組みはよいシステムを作るために重要です。現在の状況に関する情報をトラッキングでき、全てを予測する必要がなくなります。そして、そのプレッシャーからも解放されます。予測などせず、何かを調整しなければいけないサインを捉えることに注力しましょう。

システムに恋をする

 ゴールが無意味だと言っているわけではありません。ゴールは計画するのに適していて、システムは実際に実行するのに適しているというだけです。

 ゴールは方向性を与えてくれ短期的な動機も与えてくれます。しかし、よいシステムが常に勝ちます。システムを持つことが重要です。プロセスにコミットすることが結果に繋がります。