サービスジオラマはまったく手のかからないいい子です。イベントをやれば人が集まってくれる。「ロンドンでワークショップやりませんか?」とか声をかけてもらえる。それほどプロモーション活動って必要ない。このまま続けていけばそれなりに普及する気がする。プロダクト・マーケット・フィットって素晴らしいなと。
それに比べてバインドリーは困ったちゃんです。なかなかユーザーが増えない。桶に穴が空いている状態なので、それをふさがないといけない。プロダクト・マーケット・フィットがないとどんなプロモーションをしても無駄ですね。そこでグロースハックをしていく必要が出てきます。
グロースハックは二段階ロケット
グロースハックって二段階あります。最初はプロダクト・マーケット・フィットを探すグロースハック。ここの部分はリーンスタートアップとかなりかぶります。そして、バインドリーは今この段階にあります。プロダクト・マーケット・フィットというのはオーガニックな成長ができる状態ですね。特に何もしなくても成長してくれる。
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次がトラクションチャネルを探すグロースハック。サービスジオラマはこの段階にあります。どういうチャネルを使えばより早く成長するのかを探る段階です。ソーシャルメディアを使うのか、イベントを使うのか、広告を使うのか。
プロダクト・マーケット・フィットがない中でトラクションチャネルを探っても、ザルで水をすくう如しです。自分がどの段階にいるのかはしっかり見極めましょう。
- 作者: ガブリエル・ワインバーグ,ジャスティン・メアーズ,和田祐一郎
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フェイスブックも使った公式!オーガニックな成長ができる条件
自然増ができる状態にするには幾つかの条件があります。まず活用率を高めないといけない。活用されないアプリは使われなくなってしまいますからね。そして離脱率を下げないといけない(定着率を上げないといけない)。離脱率が高いといくら頑張ってユーザーを獲得してもザルで水を汲むようにどんどんとユーザーが離れていってしまいます。これではプロモーションをするのも無駄な努力というものです。
有名な話ですがFacebookも最初に力を入れていたのは定着率(Retention)をあげることです。そしてその公式がDAU/MAUですね。その月に利用したユーザー(MAU)が1日に使う(DAU)割合です。例えばMAUが10だとしてある日のDAUが2だとする。その場合の定着率は20%です。そして翌日のDAUが3だとすると定着率は30%にあがったことになります。新規ユーザーがいてMAUが11でDAUが3だったら27%ですね。
集計にはGoogle AnalyticsやYahoo!のFlurry Pulseなど使ってもいいのですが、ボクの場合はログやデータベースから集計してElasticsearchとKibanaを使った独自のダッシュボードで表示しています。分析サービスはそれぞれ独自のDAUの定義があるんですよ。何を持って「アクティブ」とするかという定義ですね。ボクのDAUの定義の方がGoogleさんより厳し目ですよ!
活用率を高める
バインドリーはビジュアルノートを作るアプリですから、ノートを作る=活用されるということになります。最初のバージョンでは明らかにノートが作られていませんでした。月ベースでみると1ユーザーが平均6ノートを作っていました。1週間に1回以上使うって感じですかね。これではちょっと少ないです。
そこでアップデート版ではノートを作りやすい工夫を幾つかしました。そしてノートを作る動機付けとしてシェア機能を追加しました。これにより月ベースで1ユーザー当たり15ノートを作るようになりました。倍に増えました。幸いにして今回のアップデートでは「シェアをすることによりビジュアルノートを作る動機が強化される」という仮説が検証されました。
離脱率を下げる
しかし離脱率はまだ下がりません。ユーザーが一ヶ月後に使い続ける率は10パーセント未満です。これはちょっと褒められた数字ではありません。活用率を高める改善はまだまだしないといけませんが、離脱率は別の要因があるような気がします。
そこで次回のアップデートでは離脱率を下げる工夫をする予定です。具体的には見た目をよくします。離脱率が高い原因は「見た目が悪いから使い続けたくない」です。まあ、最初のリリースはあまり見た目重視ではなかったので改善点はたくさんあります。次回のアップデートでは見た目がよくなりますよ!
グロースハックのコツ
グロースハックとはとどのつまり製品の改良をしながらプロダクト・マーケット・フィットを探ることであり、トラクションチャネルを探ることです。そのコツを解説します。
仮説を作り、数値ゴールを決める
まず、仮説を作る必要があります。バインドリーならば「シェアをすることによりビジュアルノートを作る動機が強くなる」という仮説に対し「一人当たりに作られるビジュアルノートの月平均数」という数値を見ることにしました。そして次の仮説が「見た目が悪いと使い続けたくない」という仮説を「離脱率」で測ることにしました。
仮説に対する数値ゴールを設定するコツなんですが、絶対値よりも割合がいいと思います。ビジュアルノートの作成される数(絶対値)ではなくてDAUあたり作られるビジュアルノート(割合)という具合です。離脱率や定着率も同じですね。離脱する絶対数を下げるのではなく、離脱する割合を減らす。
一つの数値、一つのカタマリに集中する
グロースハックで大事なのは一つの数値(One Metric That Matters)に集中することです。そしてその改善を徹底的にやることです。DAUだったらDAUを徹底的にやる。離脱率だったら離脱率に集中する。
そして改善点は一つのカタマリに集中する。これは誤解される場合が多いのですが「一箇所しか改善しない」のではなくて「一つの分野に集中」するということです。例えばバインドリーの場合はカメラの1)撮影から2)保存、3)シェアまでの流れを次のアップデートでは改善する予定です。さらに1)ホームスクリーンから2)一つのイベントの詳細を見て3)シェア。これを「撮影」部分だけ変えても全体のUXとしては改善しないので仮説の検証にならないんですよ。
もちろん、見た目としては友達リストやお気に入りの場所リストも改善しないといけないのはわかっているのですが、今回の仮説検証には関係ないので手付かずです。まずは一つのカタマリに着目して仮説と数値目標を作り、それが改善できるかどうかを見ることが大事です。
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