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映画評|『インフィニティ・プール』ブランドン・クローネンバーグ監督(2023年)

ブランドン・クローネンバーグ監督によるSFノワール作品『インフィニティ・プール』の映画評です。

ブランドン・クローネンバーグ監督の前作『ポゼッサー』は「自分以外の何かへの変体」がテーマでしたが、「自分のクローンとの同化」がテーマだと受け取りました。

お父さんのデヴィッド・クローネンバーグ監督は「変身」や「人体改造」をテーマやモチーフにすることが多いですが、息子のブランドン監督にも同じような肉体性を感じます。子供の頃からおとーちゃんの映画をいっぱい観たんだろうなあ。

本作はヨルゴス・ランティモス監督の影響も感じました。『ロブスター』とか『聖なる鹿殺し』の不気味なホラー味の部分。ルールで縛られたホテルに監禁状態は『ロブスター』に通じる。『聖なる鹿殺し』のマーティン(バリー・コーガン)が本作ではガビ(ミア・ゴス)に近いと思う。


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前作ではアンドレア・ライズボローが作品の世界観を作る上での大きな鍵を握っていました。それが本作ではミア・ゴスでした。バリー・コーガンもそうですが、キャラが強い性格俳優を起用すると、作品を全部キャラに持っていかれる危険性がある。ヨルゴス・ランティモス監督もそうですが、ブランドン・クローネンバーグ監督も俳優のキャラクター性に負けない作家性を持ってるのはスゴいことだと思う。

それにしても主役のアレクサンダー・スカルスガルドはマッチョのイケメンなのにイジられ役が似合う。ミア・ゴスのツンデレSMプレイに翻弄される犬役を見事に演じきったと思う。

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