ガレス・エドワーズ監督がメガホンを取り、デヴィッド・コープが脚本を手がけた2025年のアメリカのサイエンス・フィクション・アクション映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は、シリーズの新たな一歩を踏み出しました。製作総指揮としてスティーヴン・スピルバーグも深く関与しており、ユニバーサル・ピクチャーズが配給を担当しています。デヴィッド・コープは、『ジュラシック・パーク』シリーズの最初の2作の脚本にも携わっており、本作ではスピルバーグとともに、第一作目のトーンを復活させることを目指しています。

本作の製作は、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)の評価が賛否両論だったことを受け、フランチャイズの再活性化を目的としています。過去の作品から再登場する俳優が一人もいない、シリーズ初の作品であり、全く新しいキャラクターとロケーションで物語が展開されます。1億8000万ドルから2億2500万ドルの予算が投じられ、約1年半というタイトなスケジュールで制作されました。
あらすじ|恐竜が蔓延る孤立した島での、命懸けのミッションと予期せぬ出会い
物語は『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の3年後、あるいは5年後を舞台としています。この時代には、ほとんどの恐竜が地球の気候に適応できずに絶滅し、一部の恐竜が赤道付近の「立ち入り禁止区域」で生き残っているという設定です。
本作の主なストーリーは、かつて恐竜が生息していた島にある研究施設に派遣されたチームのミッションを中心に展開します。彼らの目的は、大型恐竜に心臓病の発生率が低いという事実に基づき、新薬開発のために残された3つの巨大生物から生体サンプルを採取することです。サンプル採取には、恐竜が生きていなければなりません。
ミッションは、難破した民間人家族が島で孤立し、調査チームと遭遇したことで予期せぬ展開を迎えます。彼らは恐竜の脅威に晒されながら生き残りをかけて奮闘するなか、島に何十年も隠されてきた不吉な発見に直面することになります。
これまでのシリーズとの一貫性と相違点|原点回帰と刷新のバランス
本作は、これまでのシリーズとのつながりを持ちつつ、複数の点で明確な相違点を持っています。最も顕著な相違点は、過去の作品から再登場する俳優が一人もいないという点です。これは、これまでの三部作がそれぞれの物語を完結させたため、「全く新しいキャラクターを全く新しい場所で登場させる」という意図的な選択です。
一方、本作はシリーズの原点である『ジュラシック・パーク』との強い一貫性を意図的に追求しています。脚本家のデヴィッド・コープと製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグは、「オリジナル『ジュラシック・パーク』三部作、特に第一作のトーンを復活させる」ことを目指しました。物語の中心となるコンセプトも「恐竜が人々の間に生きる」というテーマから、「恐竜の環境にいる人間」という原点に戻ることを目指しています。監督のガレス・エドワーズも、スピルバーグの撮影スタイルを模倣し、35mmフィルムで撮影を行うなど、ノスタルジックな雰囲気を出すことを意識しています。
また、本作は『ジュラシック・ワールド』シリーズで導入された要素も引き継いでいます。心臓病治療のための生体材料抽出という科学的な目的は、これまでの作品の恐竜の脱走や人間社会での共存というテーマから変化した新たな焦点です。また、「ミュータント恐竜」のアイデアは、これまでの『ジュラシック・ワールド』作品に登場したハイブリッド種から着想を得ており、「遺伝子実験は常にうまくいくとは限らない」という考え方を踏襲し、さらなる恐怖をもたらす要素となっています。
キャラクター造形|それぞれの動機が織りなす、人間ドラマ
本作のキャラクターたちは、物語のテーマを多角的に表現する役割を担っています。極秘任務を率いる熟練の秘密工作員ゾラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)と、ミッションに協力する古生物学者ヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)は、最終的に新薬を特許なしでオープンソースとして配布することを選択し、公共の利益を優先する姿勢を示しています 。
これとは対照的に、製薬会社の代表であるマーティン・クレブス(ルパート・フレンド)は、企業の貪欲さを象徴する存在です 。彼は人間の命よりもミッションの秘密を優先します 。彼のキャラクターは、科学的進歩の裏に潜む人間の悪意の危険性を強調しています 。
また、難破した民間人家族であるデルガド一家は、極限の危険下での家族の絆、レジリエンス、そして恐竜が蔓延る世界での一般人の脆弱性を描く上で重要な存在です 。特に末娘のイザベラは、小さな体格が脱出に不可欠な役割を果たし 、多様な能力が生存に貢献するというメッセージを伝えています。
映画技法|ノスタルジーと新たな恐怖を融合させる視覚体験
ガレス・エドワーズ監督は、本作の撮影に35mmフィルムを使用し、ノスタルジックな雰囲気を演出することを目指しました 。これは、オリジナル『ジュラシック・パーク』の撮影スタイルを模倣するという意図的な選択であり 、長年のファンにとって懐かしさを感じさせる要素となっています。
本作の視覚効果は、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)が担当しており、シリーズ最多となる1,500以上のCGIショットを制作しました 。プリプロダクションの時間が限られていたためアニマトロニクスの使用は限定的でしたが、実物大の恐竜パーツを製作し、デザインの一貫性を保つ工夫が凝らされています 。
本作の恐竜のデザインにも注目すべき点があります 。新たなミュータント恐竜「ディストルタス・レックス」や「ムタドン」は、これまでのシリーズにはない新たな恐怖をもたらします 。また、スピノサウルスは最新の研究を反映して再デザインされ 、恐竜をよりリアルな動物として描こうとする製作者の姿勢がうかがえます 。
まとめ|安全策と革新性がもたらす、新しいジュラシック体験
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は、オリジナル『ジュラシック・パーク』三部作の脚本家であるデヴィッド・コープと、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグが深く関与し、原点回帰を目指した意欲的な作品です 。監督のガレス・エドワーズは、35mmフィルムの使用やホラー要素の強調など 、過去のシリーズへの敬意を払いつつ、新たな視覚体験を追求しています。
しかしながら、本作は過去の作品から再登場する俳優を一人も起用しないという刷新的な試みを行いました 。これにより、シリーズの疲弊に陥ることなく、新しい観客層にアピールすることに成功しています。良くも悪くも鉄板の「ジュラシック・ワールド」シリーズのテンプレ的な展開に沿っていて、家族でも安心してみることができます。賛否両論の批評家評価は 、この作品が普遍的な傑作として認識されたわけではないことを示していますが 、堅調な興行成績は 、このシリーズのブランド力が依然として強力であることを証明しています 。結果として、観客を楽しませることに成功した、新しいジュラシック体験を提供する作品だと言えるでしょう。