塚原あゆ子監督のサスペンス作品『ラストマイル』の映画評です。野木亜紀子脚本。の独占的なショッピングサイトの物流問題を背景とした犯罪ドラマです。ドラマ『MIU404』と『アンナチュラル』と世界観を共有するシェアードユニバースの作品ですが、ドラマを観ていなくても大丈夫。
繁忙期であるブラックフライデー。外資系の巨大ショッピングサイトのデリファスから配達された宅配便が顧客のもとで次々と爆発。物流センターの新センター長として赴任した舟渡エレナ(満島ひかり)は部下の梨本孔(岡田将生)と共に対応に追われるが……という話です。
ボク自身もIT業界の人間なので、本作で描かれている外資系企業の対応は業界あるあるで面白かったです。本社と日本支社の関係性とか。本作ではカスタマーセントリックでしたが、元ネタの「リーダーシップ・プリンシプル」ではカスタマーオブセッションですよね。色々とよく調べてるなあと思う。
一方で「いくら外資でもその展開はないだろ?」と首をかしげる点は核心的な部分でいくつかあった。まず事件のきっかけになるようなことは起きない。そんなことになる前に辞めますよ。ヤバいと思ったら辞める。外資では転職なんて当たり前のことなんだから。核心的な部分で無理があるので、ストーリー的には飲み込めなかったです。映画なんだからリアリティは不要ですが、演出だとしてももっと上手く騙してほしかった。
それにしてもキャストの豪華さはスゴイ。よくこれだけ集まった。そこは流石に野木亜紀子って感じ。主役級のキャストがこれだけ見れるだけでも本作には価値があるとは思う。自分は満島ひかりが好きなので、彼女が主演というだけでいい。