カタパルトスープレックス

イノベーションに効く世界の情報を日本語で

いまさら聞けない世界をリードする中国eコマース事情:ライブコマース編(その4)

f:id:kazuya_nakamura:20190713222411p:plain

今回のライブコマースの特集では主にファッションを起点に紹介してきました。しかし、中国でストリーミング+eコマースの文脈で語られるのは主にゲームだったりします。そこで、最後にゲーム文脈でのライブストリーミングを紹介します。日本だとプレイステーション・ナウ(PSN)とかNintendo Switch Onlineとか特定のゲームコンソールに紐づいていることが多いので、あまりピンとこないかもしれません。英語圏ではアマゾンに買収されたTwitchがありますね。中国でこれに当たるのがドウユー(斗鱼)やフーヤー(虎牙)です。マーケットシェア的にはYYやインク(映客)がそのあとに続きます。

まず、この傾向を理解するためには中国ではそもそもストリーミングがミレニアル世代(リンリンホウ:00后とジウリンホウ:90后)を中心にしてインターネット利用のかなりの部分を占めていることを理解する必要があります。Tik Tok(科音)やクアイショウ(快手)の人気がそれを裏付けていますよね。

大きな枠組みでのビデオストリーミングのトップ3はバイドゥーのアイチーイー(爱奇艺)、テンセントのテンシュンシーピン(騰訊视频)とアリババのヨウク(优酷)です。Tik Tokもゲームストリーミングもこのビデオストリーミングという多くな枠の中のサブカテゴリーのひとつで、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)のシェアに食い込んで行こうとしているスタートアップです。この辺りがファッション文脈のライブコマースと違うところです。これらトップを走る中国のビデオストリーミングといえば、昔は海賊版の温床だったんですが、随分と世の中は変わりました。

闘魚ドウユー

ストリーミング市場にゲームで切り込んでいるドウユー(2015年5月設立)やフーヤー(2016年8月設立)ですが、ともに非常に若い会社です。それでもう米国ナスダックに上場してるんだからすごいですよね。日本のDeNAやサイバーエージェントとは比べられないスピード感です。

ドウユーの創業者であるチン・シャオジエ(陈少杰)も他のストリーミング系スタートアップの創業者と同様に1980年代生まれのバーリンホウ(80后)なのですが、ドウユーをはじめるきっかけは他の若い創業者たちと少し違っています。創業前はゲーム会社のビエンファングループ(杭州边锋公司)の社長でした。このゲーム会社はストリーミングをはじめて人気が出始めてきたのですが、9158と係争になり負けてしまいます。9158ストリーミングデートサイトで、色情経済なんて言われたりします。そこで、ニコニコ動画風の段幕型ストリーミングを別会社でやることにしょうとはじまったのがドウユーでした。

チン・シャオジエは大学卒業後すぐにビエンファンを起業して友人のジャン・ウェンミン(张文明)とともにゲームを作りはじめます。ヒット作もあったようですが、持続可能なビジネスにはならなかったようです。その当時に個人的にはまっていたのがニコニコ動画インスパイア系の弾幕動画のエーシーファン(AcFan)で、ゲームとライブストリーミングの融合というTwitchのモデルがイケるのではないかと思ったのがこの頃だそうです。

最初のエンジェル投資をしてくれたのがゲーム会社のオウフェイ(奥飞)で2000万人民元(日本円で約3億円)を投資してくれ、2014年に起業することができました。その後にシリーズAで2000万アメリカドル(日本円で約21億円)を調達しました。ビデオストリーミングはお金がかかりますが、スタートアップとしては十分すぎる額です。

虎の牙フーヤーとYY

中国ゲームストリーミングのもう一つの雄であり、どーゆーを追い上げているのがフーヤー(虎牙)です。フーヤーの創業者であるリー・シュエリン(李学凌)はバーリンホウ(80后)より前の世代で1973年生まれ。それもそのはず、様々なスタートアップを中国で立ち上げた連続起業家です。

リー・シュエリンは元々はメディア出身で、中国インターネットメディアの黎明期を作り上げた一人です。メディア時代に多くの起業家にインタビューを実施したことが人脈を築く一助になったそうです。リー・シェンリンはシャオミ(小米)のレイ・ジュン人脈の一人とみられていますが、レイ・ジュンとの出会いもメディア時代だそうです。

そして、メディア業界を離れて立ち上げたのがゲームメディアのドウワン(多玩)とグーグー(狗狗)というRSSサービスを立ち上げます。これらを売却し、その売却益をもとに2008年にYY(欢聚时代)を設立します。そう、中国のライブストリーミング大手のYYの創業者なのです。

YYは順調に成長して、テンセントからも買収の提案を受けたのですが、それを断って米国ナスダックに上場しました。YYはライブストリーミングですが、フーヤーはゲームストリーミングの位置付けとなります。つまり、YYはライブストリーミングではモモ(陌陌)と対峙して、ゲームストリーミングではドーユーと対峙するという二面作戦ですね。

これまで、ライブストリーミングは中国国内市場に閉じた展開でしたが、YYは2019年5月にBIGOを買収して海外展開への足がかりを築きました。

参考文献

斗鱼CEO陈少杰是什么来历 陈少杰个人资料介绍_忒有料

是什么,让腾讯再投给斗鱼这两位年轻人6.3亿美元?

每日人物 | 虎牙赴美IPO,李学凌的顺势而为

李学凌:亏2.39亿换来490亿,成就大量网红,更成就了自己的事业