今回は優良作品を連発しているスタジオA24の最近の作品の中でもまだ日本未公開の"mid90s"の紹介です。監督は今回が初監督作品となるジョナ・ヒル(写真)です。A24って『へレディタリー/継承』で初監督を務めたアリ・アスターといい、経験が少ないけどいいセンスを持っている新しい監督を起用するのがうまいですよね。
『トレインスポッティング』との類似点
ネタバレにならない程度に"mid90s"を説明すれば「アメリカ版低学年の『トレインスポッティング』」です。
『トレインスポッティング』の舞台はスコットランドで小道具はヘロイン、"mid90s"の舞台はロス・アンジェルスで小道具はスケボーという違いはありますが、低所得者層の子供たちの日常を描くという意味では同じテーマです。『トレインスポッティング』ではイケてるジャンキーのシック・ボーイ(Sick Boy:YouTube)という登場人物が出てきますが、"mid90s"でそれに該当するのはイケてるボーダーのファック・シット(Fuck Shit:YouTube - 左から二番目)ですね。なんとなく共通点が見えてきました?
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『トレインスポッティング』との相違点
ボク個人は『トレインスポッティング』の陰鬱な部分が好きじゃなくて、あまり何回も観る気が起きません。しかし、"mid90s"は13歳の男の子が主人公ということもあり、『トレインスポッティング』のような暗さはありません。もちろん、低所得者層の暮らしは楽なはずはなく、"mid90s"でもその影を落としています。でも、生活の影の部分への抗い方がどこか微笑ましい。どことなく 80年代の映画『グーニーズ』を彷彿とさせるくらいです。子供が頑張るのってかわいいですよね。
あと、『トレインスポッティング』はミュージックビデオ風に編集が凝っていました。"mid90s"はその要素はほぼなくて、淡々と日常が進んでいきます。これは1990年代の映画と2010年代の映画の違いなのかもしれません。最近の映画は自然体の演出が多いですよね。個人的に凝りすぎた映像演出は好きではないので、自然体の演出が増えるのは喜ばしい傾向です。
2019年2月に観た映画のひとこと評
- 逆噴射家族(若く、荒削りだが倍賞美津子が嫁だなんて小林克也が羨ましい)
- クレイジー・リッチ!(シンガポール映画に見慣れていると感動が薄い)
- Laissez Bronzer les Cadavres(マカロニウェスタンなフレンチアート映画:邦題は『デス・バレット』- YouTubeでの予告編 - らしい)
- mid90s(本記事参照)
- ムーンライト(色々と複雑で悲しい映画)
- 黒い罠 完全修復版(フィルムノワールは国境が似合う)
- 東京暮色(有馬稲子が超可愛い)
- チワワちゃん(長いプロモーションビデオ)