一言で言えばイギリス版『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』な『ポライト・ソサエティ』の映画評です。舞台がアメリカではなくイギリス、中国移民家族ではなく、パキスタン移民家族。カンフーは共通点。
ロンドンに暮らすパキスタン系イギリス人高校生リア・カーンはスタントを目指している。姉のリーナが大好きなのだが、姉が結婚してシンガポールに行ってしまうという。なんとかそれを阻止したいのだが……という話です。
いろんな要素を突っ込むドラマ増えましたよね。『バービー』もその一つでした。ボクはちょっと苦手なジャンル。いろんな要素をまとめるためにストーリーをシンプルにすることが多いのですが、本作はあえてストーリーも複雑にしてきた。
そのせいで、ただでさえ感情移入しにくいキャラクター設定なのに、さらに共感しにくくなっています。行動としては明らかにアカンことやってるのに、なんとなくそれが正当化されてしまう流れはなんなん?と思ってしまった。
テーマもよくわからなかったです。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』は根底にあるのはアジアの伝統的なホームドラマなので、「家族」が明確なテーマでした。本作の場合はパキスタン移民の家族ですが、あれがパキスタン家族のスタンダードなのかどうか、よく分からん。
初監督作品としてチャレンジするのはいいのですが、着地はうまくいかなかったような。