1990年公開の『プレデター2』は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の前作『プレデター』から舞台を都市部に移し、シリーズの新たな方向性を示した作品です。今回はダニー・グローヴァーが主演を務め、ロサンゼルスを舞台に異星生命体「プレデター」との戦いが繰り広げられます。前作に比べ、プレデターの背景や特性が掘り下げられたことが、シリーズ全体に影響を与えました。
- あらすじ|コンクリートジャングルでの死闘
- テーマ|都市の混沌と異星生命体の侵入
- キャラクター造形|暴走するダニー・グローヴァーの魅力
- 映画技法|プレデターの詳細な描写と都市の緊張感
- まとめ|続編としての意義とシリーズへの影響
あらすじ|コンクリートジャングルでの死闘
舞台は1997年、未来のロサンゼルス。ギャング犯罪が横行し、警察と麻薬組織の抗争が激化する中、ロサンゼルス市警の刑事ハリガン(ダニー・グローヴァー)は、奇妙な殺人事件に遭遇します。犯行現場に残された証拠は、地球の技術を超えた武器や非人間的な痕跡。
次第に、ハリガンはこの事件が地球外生命体「プレデター」の仕業であることを突き止めます。やがて彼はFBIを含む政府の極秘プロジェクトに巻き込まれつつ、プレデターと直接対決することになります。
テーマ|都市の混沌と異星生命体の侵入
『プレデター2』のテーマの一つは、自然と文明の対比です。前作では自然豊かなジャングルを舞台にしていましたが、本作ではコンクリートジャングルである都市が舞台。人間同士の抗争や犯罪の混沌とした環境に、外部からの脅威であるプレデターが加わる。
また、本作はプレデターの行動原理や文化に踏み込む描写が多く、彼らがただの殺戮者ではなく、名誉を重んじる狩人であることが示されます。この設定が後のシリーズ展開や、『エイリアンVSプレデター』などのクロスオーバー作品への伏線となりました。
キャラクター造形|暴走するダニー・グローヴァーの魅力
本作の主人公ハリガンを演じるダニー・グローヴァーは、前作のシュワルツェネッガーとは異なるタイプのリーダー像を見せます。ロサンゼルス市警の刑事としてギャング相手に日々奮闘している彼は、規則にとらわれない無鉄砲な一面があり、時に上層部やFBIと衝突します。
興味深いのは、ダニー・グローヴァーが出演していた『リーサル・ウェポン』シリーズでは、メル・ギブソン演じる無鉄砲な相棒を抑える冷静な役割を担っていたのに対し、本作では彼自身が暴走するキャラクターになっている点です。このギャップが、彼の演技に新鮮さを与えています。
映画技法|プレデターの詳細な描写と都市の緊張感
『プレデター2』は、プレデターの詳細な描写が加わったことで、SF映画としての深みが増しました。プレデターの武器、技術、行動規範、さらには異星文化が明らかにされることで、彼らが単なる殺戮者ではなく、名誉を重んじる種族であることが観客に伝わります。
また、都市という密閉的な舞台設定は、プレデターとの戦いに新たな緊張感をもたらします。ジャングルでのオープンな戦闘とは異なり、都市では視界が遮られた閉塞感や、犯罪との絡みがドラマを複雑にしています。ただし、前作のスリリングなサバイバル感に比べると、やや娯楽性が強調された仕上がりとなっています。
まとめ|続編としての意義とシリーズへの影響
『プレデター2』は、前作に比べてストーリーの緊張感や完成度で劣る部分もありますが、プレデターというキャラクターの掘り下げや、新しい舞台設定によってシリーズの可能性を広げました。特に、異星生命体としての文化的側面が描かれたことは、後のシリーズやスピンオフ作品への大きな影響を与えています。
ダニー・グローヴァーの存在感と都市を舞台にした新たな視点が、続編としての価値を高めています。前作を楽しんだ方や、プレデターというキャラクターの進化に興味がある方にとって、一見の価値がある作品です。