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興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

映画評|『侍タイムスリッパー』安田淳一監督(2024年)

安田淳一監督による時代劇コメディ『侍タイムスリッパー』の映画評です。コメディ時代劇じゃないですよ。時代劇を題材としたSFコメディ。時代劇愛が溢れている。

幕末の会津剣士(山口馬木也)がタイムスリップで京都の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまう。そこで「切られ役」として第二の人生を歩むのだが…という話。とにかく脚本が面白くて劇場内で声を出して何回も笑ってしまいました。

「切られ役」という裏方と監督を目指す助監督(沙倉ゆうの)という関係はデヴィッド・リーチ監督『フォールガイ』(2024年)にも通じるものがありました。あちらも裏方であるスタントマンへの愛が溢れていましたが、こちらも愛が溢れて大洪水。剣友会の師匠役には切られ役の大御所である東映剣会の福本清三が予定されていたけど、急逝してしまう。そこで白羽の矢が当たったのが峰蘭太郎。すごいキャスティングですね。


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そして最後の殺陣の緊張感がすごい。時代劇について少しでも触れてきた人だったら、どうしても勝新太郎の息子、奥村雄大の件が頭によぎってしまう。おそらくそこも計算ずくだったでしょう。こういう新しい作品がまだまだ出てくるところに邦画の底力を感じる。

全然関係ないけど「侍タイムストリッパー」って言っちゃいません?