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映画評『スノーデン』|エドワード・スノーデンから学ぶ自由

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社会人になって読書や映画鑑賞から離れていた時期もありました。音楽もそう。CDをケースから出して、プレーヤーに入れる。ちょっとしたことなんだけど、億劫になってしまう。でも、インターネットとサブスクリプションモデルのおかげで、音楽や映画がまた身近なものになりました。これは良い知らせ(Good News)です。

でも、良い知らせの裏には悪い知らせ(Bad News)もあります。多くの人は悪い知らせに気がついてませんでした。そのバッドニュースを目の前に出してくれたのがエドワード・スノーデンです。映画『スノーデン』は彼がどうやって(全てを失ってまで)私たちに悪い知らせを届けてくれたのかを描いています。

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選択の自由とプライバシー

この映画を観て改めて考えるのは「自由ってなんだろう?」ということです。エドワード・スノーデン本人はアメリカ政府の盗聴プログラムの善悪を判断していません。悪いとも言ってないし、いいとも言ってない。でも、人々はそれを知る権利があると考えました。自由というのは知った上で選択できることなのです。それが自由の全てではないにしても、自由であることの条件の一つではある。

FacebookやGoogleを使うのはプライバシーの観点から確かに安全とは言えない。エンドトゥーエンドの暗号化が実装されているSignalの方がずっと安全です。メールとか最悪ですよね。安全に使おうと思ったらPGPを使うしかない(スノーデンた使っていたLavabitは2017年に再開したもののほぼ利用できず)。それでもFacebookやGmailを使うのは選択です。

これが自由なんじゃないですかね。サイファーパンク宣言にもあるように「プライバシーは秘密主義とは違う。プライベートなことというのは世間に知られたくないことで、秘密というのは誰にも知られたくないことだ。プライバシーというのは選択的に自己開示する力のことをいう」ということなんだと思います。選択する自由。

知ることで自由になる

誰に覗き見されても構わない会話は普通のメールやFacebook Messenger、プライバシーが必要な会話はSignalという選択肢もあります。でも、それはFacebook Messengerはプライバシーに問題があるとか、Signalは他のチャットサービスと比較して安全という知識が必要になります。そもそも、会話が見られて分析されているという知識も。

エドワード・スノーデンは人々には知る権利があると考えました。知った上で選択すればいい。スノーデンは悪いニュースを届けたのかもしれない。しかし、そのおかげで選択ができるようになった。選択の自由が生まれた。知らなかったら選べない。

「悪いことをしているから隠したいんだ」と考える人もいるかと思います。確かにそういう面もあるでしょう。しかし、選択の自由を無くしていいことにはなりません。「正しい」か「正しくない」か判断するのは政治家や企業役員だけが決めることではないからです。「全体主義にとって都合のいいのはナチスや共産党の信者ではなく、事実と作り話の差がわからない人」ですし、エリザベス・ホームズが「正しい」企業もやはり立ちいかなくなるわけですから。