ニア・ダコスタ監督によるMCUのマッチョイズムを覆す意欲的な作品です。キャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)、モニカ・ランボー( テヨナ・パリス)とミズ・マーベルことカマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)が一緒に戦う話。
スーパーヒーローの宿命か、MCUのヒーローは男っぽいマッチョが多い。アイアンマンもキャプテン・アメリカもソーもハルクも。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーでさえも、その魅力であるコメディー要素は男性的だったと思います。『ブラック・ウィドー』も女性ヒーローですが、中身はマッチョですものね。たまたま女性だったけど、女性である必然性はない。スカーレット・ウィッチはヒーローというよりヴィランだし。前作の『キャプテン・マーベル』はあまり評判が良くないのですが、それはヒーローのマッチョイズムにとらわれている部分もあると思います。
キャプテン・マーベルはものすごいパワーを持ってるけど、可愛らしさがある。おそらく、パワーだけならアヴェンジャーズの中でも一番かもしれない。でも、本作では3人である必要があった。「強さはパワーだけではない」が本作のテーマだったと思います。それはMCUのマッチョイズムから脱却でもあったと思います。
主役のキャプテン・マーベルを演じるブリー・ラーソンはゲームオタクで特に『あつまれどうぶつの森』の大ファンとして知られています。ゲームについて語るときのブリー・ラーソンはホントにかわいい。本作ではそんなブリー・ラーソンのかわいい部分がかなり出ていましたよね。なわとびのシーンとか特に。
あと、『ミズ・マーベル』から参加したイマン・ヴェラーニ。彼女もとってもかわいい。かわいい×かわいいで、本作のトーンは決まったものです。そこにスパイスとしてアクセントを効かせていた『ワンダヴィジョン』から参加のモニカ(テヨナ・パリス)もクールにはなりきれない人なつっこさがある。本作はキャラクター造形がとてもうまくかみ合ってます。
ストーリーはキャプテン・マーベルがなぜ地球に戻れなかったかを解き明かす話。「最強だから色々と頼られて忙しかった」が表向きの理由なんですが……。最強だからといって問題が解決できるわけではない。パワーが最適解じゃないこともある。キャッチコピー「一人ではたどり着けない、最強へ」はそういう意味だと思います。このテーマもマッチョイズムへのアンチテーゼですよね。
ストーリーもとてもシンプルで、長くなりがちなMCU作品としては短め。これもとても好感が持てます。これでいいんですよ。