モノのインターネット(IoT)については色々と記事を見かけたりする機会もありますよね。でも、実際に見たことがないのでいまひとつピンとこなかったりしませんか?そこで、すでにモノのインターネットを実現させてしまったオランダのスタートアップ、ザ・シングス・ネットワーク(The Things Network)にモノのインターネットについて聞いてきましたよ!
インタビューを受けてくれたのはザ・シングス・ネットワーク創設者のWienke GiezemanさんとJohan Stokkingさんです!
−−ザ・シングス・ネットワークはすでにアムステルダム全域をカバーしてモノのインターネット(IoT)が実現されています。いくつか例を紹介していただけますか?
「アムステルダムは町中に運河が張り巡らされていて、たくさんボートが停泊しています。そしてアムステルダムは雨が多く降ります。そして雨が降り続けるとボートに水が溜まって沈んだりするんですよ。ボートにセンサーを付けて水が一定量溜まったらSMSで連絡するような仕組みを個人が簡単に作れたりします。*1
実は日本でもすでにザ・シングス・ネットワークは使われているんですよ。福島第一原発事故を機に放射線データ収集の必要性を感じ、セーフキャスト(Safecast)というプロジェクトがセンサーネットワークを作ってデータ収集をしています。ここでザ・シングス・ネットワークが使われています」
−−日本でもすでに使われているんですね!ザ・シングス・ネットワークは今どれくらい世界で普及しているんですか?
「アムステルダムは6週間で街全体をカバーしました。今は世界中の200都市でモノのネットワークがザ・シングス・ネットワークで実現しています」
−−ザ・シングス・ネットワークのKickstarterキャンペーンが始まったのが去年ですので、一年で随分と広がりましたね!
「モノのインターネットっていろいろとニュースになったりはするんですが、実際に個人が簡単に実現できるものってなかったんですよ。ザ・シングス・ネットワークはその壁をすごく下げたというのが大きいですね。
あとザ・シングス・ネットワークはオープンな仕組みです。コミュニティーによるモノのネットワークだというのが支持されている利用の一つだと思います」
−−ザ・シングス・ネットワークは具体的には何なのでしょうか?
「簡単に言えばクラウドソースによるモノのネットワークです。グローバルでオープンで無料というのが特徴ですね。
モノのインターネットを実現するため三つ必要なものがあります。1) インターネットにつなげるためのゲートウェイ、2) つなぐデバイス(センサー)、3) アプリケーションですね。ザ・シングス・ネットワークはこのうちの1) インターネットにつなげるためのゲートウェイと2)、3)のアプリケーションを作るために必要なSDKなどのツールの提供をしています。
例えばアムステルダムではザ・シングス・ネットワークのゲートウェイが10か所に設置されてアムステルダム全体をカバーしています。これはコミュニティーが設置したものなんですよ。例えばアムステルダム港にもザ・シングス・ネットワークのゲートウェイが設置されていますが、これはアムステルダム港が自分たちのセンサーネットワークを構築するために自ら設置したものです」
−−通信事業者もモノのインターネットのサービスを開始しはじめています
「オランダの最大手の通信事業者のKPNもザ・シングス・ネットワークと同じLoRaWanを使ったネットワーク構築を発表しました*2。日本でもソラコムのようなモノのインターネット事業会社が出てきましたよね。このような商業ベースの取り組みも増えています。QoSや最初からセキュリティー対策が施されたネットワークが必要な場合は通信事業者のネットワークを有償で使うという選択肢はあると思います。
ザ・シングス・ネットワークはネットワークの帯域が欲しかったら自分でゲートウェイを設置しないといけないですし、セキュリティーも自分で対策を講じないといけません。その代わりグローバルなコミュニティーがあり、オープンで無償です。どうしても必要であればザ・シングス・ネットワークの有償のサービスも受けられますよ」
−−すでに日本でも事例が出てきていますが、今後はどのような展開を予定していますか?
「ザ・シングス・ネットワークはコミュニティーですので、日本のコミュニティーももっと活性化したいですよね。文化や言葉の壁もあるので特にコミュニティーの力が必要だと感じています。日本のザ・シングス・ネットワークのコミュニティー活動を活性化するお手伝いいたしますので、ぜひ私たちにご連絡ください(Wienke GiezemanさんとJohan StokkingさんのLinkedInプロファイル)」