『チチカット・フォーリーズ』はドキュメンタリーの名手フレデリック・ワイズマンの初監督作品。友人から韓国で発売されているDVDをお借りして初めて観ました。
精神異常犯罪者を収容する病院の日常を描いたドキュメンタリー作品。フレデリック・ワイズマン作品の特徴はとにかくありのままの姿を観客に提示する。そこには何の主張もない。その精神はこの初期の作品からあまりにも明確なのにびっくり。
人間だったら色々と主義主張とかあるじゃないですか。訴えかけたいことが。フレデリック・ワイズマンの作品にはそれが全くない。何の説明もないから、最初はこれが刑務所だということもわからなかった。なんか、頭のおかしい人がたくさんいるなーって感じ。
そこにいる人たちはひどい扱いを受けてると思いますよ。今だったら虐待だって言われると思う。当時もそうだったのかな。たぶん、そうなんでしょう。それだけ。
ボクはそもそもドキュメンタリー映画が苦手だったりする。長いドキュメンタリーが苦手。『ゆきゆきて、神軍』とか評判いいけど、どうしても触手が動かない。今でも記憶に残ってるのって『子供たちをよろしく』くらいかなあ。あれはポッパーズMTVという昔のテレビ番組でピーター・バラカンがオススメしてたから観た。トム・ウェイツが主題歌歌ってたし。それくらいしか思い浮かばないくらい、ドキュメンタリー映画は観ていない。疲れちゃうんです。
ドキュメンタリーのテレビ番組は好きなんですよ。90分くらいに収まってくれているといい。多分なんですが、熱量にやられちゃうんでしょうね。重くって観てられない。そんなボクでもフレデリック・ワイズマンは最後まで観れてしまう。それは熱量がないからなんでしょうね。
2019年3月〜5月までに観た映画のひとこと評(あいうえお順)
- アヴェンジャーズ/エンドゲーム(最高の節目)
- イコライザー(デンゼル・ワシントン版のボーン・アイデンティティ)
- 黄金のアデーレ(クリムト展の予習として)
- キャプテン・マーベル(最初の10秒で泣いた)
- グリーンブック(まあ、アカデミー賞を取るだけありますね)
- ジョン・ウィック(キアヌ・リーブ版のイコライザー)
- ジョン・ウィック:チャプター2(今年10月公開のジョン・ウィック:パラベラムが楽しみ)
- シング・ストリート(ラストが青春)
- チチカット・フォーリーズ(記事本文参照)
- 手遅れの過去(オチが途中でわかっちゃったけど、面白かった)
- ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(死ぬときはこんな感じがいい)
- 麥秋(黒髪の笠智衆の違和感)
- 晩春(原節子の怒った顔が良い)
- ブラック・クランズマン(久しぶりのスパイク・リーっぽいスパイク・リー映画)
- ミッドナイト・イン・パリ(オーウェン・ウィルソンは個人的には『ナイトミュージアム』のカウボーイハットのイメージ強すぎて)
- メッセージ(嫌いじゃないけど、SFとして地味すぎるだろ)
- 羅生門(その前に雨月物語を観て、京マチ子に惚れた後だけに)
- 流転の地球(中国のSFもすごくなったなあ)