カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

映画評|インドの実験的映像作家アミット・ダッタ|"Wittgenstein Plays Chess With Marcel Duchamp or How Not To Do Philosophy" by Amit Dutta

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ボクはシネフィルと言えるほどは映画に詳しくないですが、それでもMubiに登録するくらいは映画を愛しています。Mubiは映画のサブスク(英語圏)で、ネットフリックスやアマプラにはないマニアックな映画を得意としています。あまりにマニアックなので、時としてFilmarksにすら登録されていない作品があります。つまり、日本未公開作品を紹介する趣旨のこのブログのネタ探しにはぴったりのサービスです。

今回紹介するのはインドの実験的映像作家のアミット・ダッタです。インド映画といえばボリウッドのミュージカルが有名ですが、当然ながら前衛的な作品もあります。インド人的にいえば「そうじゃない映画」です。

アミット・ダッタはアニメーションと実写の両方を作品としては作っています。ボクは彼の実写作品はアヴァンギャルドすぎて苦手なのですが、アニメーション作品は好きです。今回紹介するのは彼のアニメーション作品の最新作となる"Wittgenstein Plays Chess With Marcel Duchamp or How Not To Do Philosophy"です。つまり、哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインとアーティストのマルセル・デュシャンがチェスをする話です。途中でマックス・エルンストも乱入してきます。

ウィトゲンシュタインといえば『論理哲学論考』ですね。「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」です。ボクもよくわかりません。すみません。マルセル・デュシャンは『泉』でアートの常識をぶち壊して、デュシャン以前と以後を明確に分けた人ですね。モノの意味は超越することができる。そう考えるとウィトゲンシュタインとデュシャンのチェスを通じた会話は楽しそうです。実際にボクは楽しみました。じゃあ、理解できたか?理解できませんでした。でも、それでいいんだと思います。

「世界はそうであるモノの全てである」とウィトゲンシュタインは言いました。でも、「そうであるモノって何ですかね?」とデュシャンは問いかけるわけですよ。