ジョナサン・グレイザー監督によるアウシュビッツを題材とした作品『関心領域』の映画評です。アウシュビッツ強制収容所の隣に住んでいた所長一家の話。
ホロコーストと普通の人々を描いた作品としてはNetflixで配信されているドキュメンタリー『普通の人びと: 彼らを駆り立てる狂気』(2023年)がありますが、テーマとしては通じるものがあります。本作はドラマであり、ホロコースト自体は全く出てこないというのがユニークなところ。
本作の主人公は「音」ですね。アウシュビッツ強制収容所の様子は全く出てこない。出てくるのは「音」だけ。その隣で暮らす幸せな家族。理想の家庭。しかし、そこには違和感がある。違和感に耐えられない人もいる。その「耐えられない違和感」の描き方がとても上手いですね。
ただ、ストーリーはとても単調。カタルシスもない。これをどう受け止めるかが評価の分かれ目になるのではないでしょうか。色んな意味で面白い映画ですが、正直に言えば途中で飽きてしまう。オッケー、わかった。そろそろドラマをくれ。そう思ってしまう。一回は観ることをお勧めしますが、自分は何回も繰り返して観ないと思う。