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GoogleでGmailを作り、Facebookの「いいね」を作ったポール・ブックハイトが語るスタートアップ

Paul Buchheit, Fueled by Brawndo

 ポール・ブックハイトはGoogleの23番目の社員でGmailを作ったり、AdSenseのプロトタイプを作った人。Googleの有名なスローガン“Don’t be evil.”も彼の発案。Googleの後、2007年にブレット・テイラー達とFriendfeedを起業。2009年にFacebookに買収される。これがFacebookの「いいね」ボタンとなる。

 すげー!GoogleとFacebookの両方で重要なイノベーションに貢献した人ですよ!

 そんな彼の貴重なインタビューがTwenty Minute VCのポッドキャストで上げられてましたので、要点だけまとめてご紹介します。

GoogleからY Combinatorへの関わり

  • 学生時代の90年代オハイオにはスタートアップはなかった。だからカリフォルニアに行った。カレッジを卒業してインテルに入った。でもあまり面白くなかった。全てのシステムをLinuxで作っているスタートアップがあったから、そこに入った。そこがGoogleになった。23番目の社員。
  • Googleが大きくなってもスタートアップに興味を持ち続けた。Y Combinatorのやっていることにとても興味があってメールを送った。「なんか手伝えない?」って(笑)
  • Y Combinatorのセカンドバッチから参加した。6回目のバッチで初めてエンジェル投資家としてWufooに投資した。Y Combinatorのポール・グラハムやジェシカ・リビングストンは常に起業家の側に立って考えて行動する。これはずっと変わっていない。そして小さなプロダクトに見えてもその将来のポテンシャルを見極める力がすごい。

Gmail誕生秘話(プロダクトとカスタマー)

  • すでに既存プレイヤーがいる分野は一見するとすごく大変。Gmailの時もすでにHotmailやYahoo Mailが先行していた。ラリー・ペイジにメールシステムを作ってくれと言われた時も「マイクロソフトなんて数百人がメールシステム作ってるんだよ?マジで?」と答えた。そしたら「だから勝てるんだよ!」だって(笑)
  • 実際にローンチの時ですらGmailのチームは十二人くらい。スタートアップのようにリソースに限りがあるチームはどこかに集中しなければいけない。例え小さな規模のユーザーでもめっちゃくちゃ愛してくれるようなプロダクトにしないといけない。これが「ディープアピール」の意味。ユーザーの深くまでアピールできれば時間をかけてその輪を広げ、もっと多くのユーザーにアピールができるようになる。
  • 多くの失敗は全ての人にアピールしようとすること。ゼロから作り上げる場合、それは不可能。Gmailの最初のゴールは100人のハッピーユーザーを獲得することだった。使ってる人に電話したよ。「Gmail使ってハッピーですか?」って。そしてハッピーじゃないユーザーのところに行ってその原因を知ろうとした。
  • ある人はOutlookの機能が全部欲しいと言った。君をすぐにハッピーにできそうもないなあとあきらめる。でも、ある人は一つか二つの機能を追加すればハッピーになってくれる。それならできる。そういうのを積み上げていった。もちろん、ローンチの時に全てのユーザーがハッピーだったわけではない。それでもそれなりの数のユーザーが興奮してくれて、eBayでGmail招待状が取引されたりした。

マーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジが持つ起業家としての資質

  • 発明をすることはハックすることと同義であることが多い。その時は悪いアイデアだと思うことも、時代が変われば正しいことになる。振り返ってみれば自然な選択でも、当時はそうではない。例えばGmailは全てをJavaScriptで作ると決めた。当時は反対する人がたくさんいた。ブラウザーが落ちるからと。実際にJavaScriptが原因でよくブラウザーは落ちた。でも十分なハッキングと実験で落ちないようになった。ブラウザーも成熟して今では当たり前になった。
  • 成功する起業家を見極めるのは難しい。でも、マーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジに共通しているのは普通の人には持ち得ない強烈な信念。普通の人にとってはほとんど現実的ではない世界観を持っている。これはイーロン・マスクもそうだよね。彼ら以外の全てが「お前は間違ってる」と言っても、彼らは「いや、間違ってないね」と言える。普通の人はこう言った社会的な圧力に屈してしまう。
  • 信念を持つのは頑迷なこととは違う。戦術や手段に執着するのは頑迷さの表れ。正面玄関が開かない、勝手口も開かない。なら窓を破ってしまえばいい。やり方は見つければいい。一つのやり方に固執するのは頑迷さ。

スタートアップへのアドバイス

  • メンターとしてスタートアップにアドバイスをする時はバカみたいに単純な解決策を提案する。これちょっとやってみない?って。大抵それって最悪の解決策なんだ。それでもやってみれば何かを学べる。大抵の人はすごく複雑な解決策があると思っている。でもそうじゃない。直近の課題を解決するシンプルな解決策が必要なんだ。
  • 一番危険なのはマーケットから離れること。必ずマーケットからフィードバックを受けなければいけない。
  • 一番最近にエンジェル投資家として投資したのは「害毒のないソーシャルネットワーク」と言えるもの。FrendFeedでFacebookの「いいね」ボタンとなるものをブレット達と開発したけど(ほとんどブレットだけど)、それがいい発明だったのかはまだわかってない。もちろん悪いものではないけど、ソーシャルネットワークの根本を変えるには至っていない。今のソーシャルネットワークでは他人を攻撃をした方が役に立つことを言うより目立つしクレジットが上がる。

翻訳:カタパルトスープレックスなかむらかずや

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