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ティム・オライリーが語るプラットフォームの未来

Tim O'Reilly (3)

 ティム・オライリーは技術系の人なら必ず一冊は持っているオライリーメディアの創始者で、現在でもその発言は大きな影響力を持っています。彼が新しい本『WTF!』を発売するのに合わせてa16z*1のポッドキャストでベネディクト・エヴァンスと対談をしていました。

 非常に示唆にともよい対談でしたので、要点だけ書き起こしました。英語の聞き取りに自信がある人は実際のポッドキャストを聞いてみてください。

  • プラットフォームはうまく行くこともあれば、いかないこともある。ビジネスモデルも同じ。既存のタクシー会社はアプリを使っただけでUberやLyftとの競合に勝つことはできない。アプリはビジネスモデルの構成要素の一つでしかない。基本的なビジネスモデルとそのプラットフォームを変えなければ勝てない。
  • アルゴリズムエコシステムは現在のプラットフォームの中心。アルゴリズムは何かを最適化する。Googleなら関連性を最適化するし、Facebookならエンゲージメントを最適化する。そしてフェイクニュースの論争を見てもわかるようにアルゴリズムは間違った方向に行くこともある。
  • エコシステムがどこで間違ったかといえば、IBMやマイクロソフトの独禁法違反が思い浮かぶ。両方ともテクノロジーエコシステムの企業だがいつのまにかエコシステム自体と競合するようになった。
  • 利益の最大化のために動くのが企業のロジックだが、偉大な企業が必ずしもそれがそのロジックで大きくなったわけではない。例えば初期の広告に対するGoogleの姿勢。自分たちの利益とエコシステムのための利益が相反することがあり、多くの場合はエコシステムの利益を優先した方が中長期的に結果が出る。
  • その企業にとって本当のビジネスモデルとはなんなのか。Googleの競合も移り変わっている。その結果としてエコシステムからでなくGoogle独自のコンテンツを提供するようになってきている。それによりむしろFacebookに対して持っていた優位性(関連性の最適化)を失いかけている。Google自体が目的地にしようとしている。本来の戦略的な強みは目的地にたどり着くための強力な中継地点であったのに。
  • ソフトウェアで儲ける仕組みは二つしかなく(バンドリングとアンバンドリング)、その意味においてモバイルは2000年のPCの位置付けにある。エコシステムは成熟して、次を探している。しかしスマートフォンではUberやLyftのような新しいホワイトスペースが常に発見されている。モバイルバンキングは前から言われてたが、モバイルタクシーを予見する人はいなかった。
  • ノースクリーンの可能性。これまでのインターフェースより摩擦が少ない。Amazon Echoや一部の成功しているスマートウォッチの成功要因の一つはスクリーンがないことを前提に開発されていること。これから複数のデバイスをまたがる水平プラットフォームが出てくるか興味深い。そのための標準化もあるだろうが、必要最低限になるのではないか。
  • フェイクニュースやスパムなどプラットフォーム自体に問題を抱えていて、いまはそれをデバッグするときに来ていると考えている。経済はハードサイエンスというよりもゲームデザインに似ている。ゲームのルールをもう一度見直す大きな機会がある。
  • 自由経済は実験の基盤。2つの実験を一つの大企業でやるよりも数百の実験を数百の小さな企業で行うのがシリコンバレー。昔はスタートアップを立ち上げる目的はビジネスを立ち上げることだった。いまはエグジットすることが前提となっている。彼らのプロダクトはむしろ金融商品に見える。

翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

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*1:ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ - Andreessen Horowitzの最初のAと最後のZの間に16のアルファベットがあるのでa16zと表記している。技術でよく使う表記法。例えばローカライゼーションならi10nだし、インターナショナリゼーションならi18nとなる。