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興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

映画評|『ソウルの春』キム・ソンス監督(2023年)

キム・ソンス監督韓国で実際に起きた軍事クーデターを題材にした歴史ドラマ『ソウルの春』の映画評。まず、自分は韓国の歴史についてよく知りませんでした。これが今回は功を奏したと思います。知らないって素晴らしい!結末がわからないから、ずっと緊張しっぱなし。

フィクションとはいえ、これが歴史的事実に基づいてることに衝撃。時系列で言えば『KCIA 南山の部長たち』(2020年)の直後から話がはじまる。そして、『タクシー運転手』(2017年)が本作後の話になる。

題名の『ソウルの春』とは朴正煕暗殺事件以降に韓国で一時的に勃興した民主化ムードを指す言葉ですが、本作では『ソウルの春』自体は簡潔に触れられるだけ。むしろそれが頓挫する要因となった粛軍クーデターを主軸に描いています。反乱軍と鎮圧軍の9時間におよぶ攻防なのですが、常に状況が変化してどちらに転ぶか最後まで分からない。


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キャラクター造形はクーデターを起こす保安司令官チョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)とそれを阻止すべく立ち上がるる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)が中心となっている。ファン・ジョンミンによるチョン・ドゥグァンの演技は狂気は北野武やホアキン・フェニックスに比肩する。一方でチョン・ウソンによるイ・テシンは小野寺昭や神田正輝のような地味だけど実直さが素直に出ている。

ソウルの春(字幕/吹替)

ソウルの春(字幕/吹替)

  • ファン・ジョンミン
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