カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

映画評|『KCIA 南山の部長たち』ウ・ミンホ監督(2018年)

韓国で実際に起きた大統領暗殺を題材にした歴史ドラマです。

1979年10月26日、韓国の中央情報部(通称:KCIA)部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領を射殺した。KCIAは「南山」とよばれ、強大な権力と情報を握っていた。そのトップである部長はなぜそのような行動に至ったのか……という話です。

『ソウルの春』(2024年)を観て韓国の現代史に興味を持ち、その前日譚とも言える本作に挑戦。今回は歴史を学んでからの鑑賞なので、大筋は理解しながら、その背景の描写を楽しみました。

主人公のKCIA部長キム・ギュピョンを演じるのがイ・ビョンホン。対立軸は大統領警護室長クァク・サンチョン。その中心にいるのがパク大統領。そして第三軸として隠れている国軍保安司令官チョン・トヒョク。

おそらく、本作を本当に理解するには朴正煕が台頭するきっかけとなった「5・16軍事クーデター」や本作で描かれる事件の直接的なきっかけとなった「コリアゲート」を理解する必要があるんだろうなあ。そのような背景理解がないので、KCIA部長キム・ギュピョンの苦悩が浅いレベルでしか分からない。だからカタルシスに完全にはのれない。そういう意味では見る人を選ぶ作品だと思う。

ただ、わからないなら、わからないないなりに楽しめる作品だとも思う。だって、戦前だったらともかく、戦後の日本では考えられない世界だから。いやあ、大変だったんだな、韓国。