『ミッション・インポッシブル』シリーズは、アメリカのスパイアクション映画の代表的な作品の一つです。もともとは1966年に放送開始されたテレビシリーズを原作としており、1996年にトム・クルーズ主演で映画化されました。以降、シリーズは長きにわたって続いており、2023年までに7作品が公開され、2025年には第8作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の公開されました。
シリーズの中心となるのは、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントと、彼が所属するスパイ組織「IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)」です。IMFは世界規模の危機に対処するために極秘の任務を遂行するエリートチームで、イーサン・ハントはその中でも卓越した能力を持つエージェントとして、数々の困難なミッションに挑みます。

「ミッション・インポッシブル」シリーズの魅力
トム・クルーズの体を張ったアクション
「ミッション・インポッシブル」シリーズが長年にわたって高い評価を受けている要因の一つは、トム・クルーズ自身が危険なスタントを実際にこなしている点にあります。彼はシリーズを通じて、映画史に残るようなアクションを次々と披露し、その度にスケールとリスクを増してきました。ここでは、シリーズの中でも特に象徴的なスタントを紹介します。
ブルジュ・ハリファの壁面をよじ登る(『ゴースト・プロトコル』, 2011年)

『ゴースト・プロトコル』では、世界一高いビルであるブルジュ・ハリファ(828m)の外壁を登るという驚愕のスタントに挑戦しました。トム・クルーズは特殊な吸着グローブを用いて超高層ビルの外壁を駆け回り、ビルの内部と外部を自在に行き来するシーンを撮影。この撮影は、猛暑や強風との戦いでもあり、安全確保のために取り付けられた細いワイヤーは、ポストプロダクションでデジタル処理により削除されました。このシーンは、シリーズの中でも特に象徴的な瞬間の一つとなっています。
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離陸した飛行機にしがみつく(『ローグ・ネイション』, 2015年)

『ローグ・ネイション』では、トム・クルーズは離陸するエアバスA400Mの外部にしがみつくというスタントを行いました。このシーンでは、彼は高度約300メートルまで上昇し、時速約260kmに及ぶ強風に耐えながら撮影を敢行。CGを極力排除するため、ワイヤーとフルボディハーネスのみで安全を確保し、なんとこのスタントを8回も繰り返したそうです。リアルな映像表現のために、自らの身を危険にさらすという彼の姿勢が際立ったシーンの一つです。
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6分間の息止め(『ローグ・ネイション』, 2015年)

『ローグ・ネイション』の水中ミッションでは、トム・クルーズは6分間もの間、息を止め続けるシーンを撮影しました。この撮影のために、フリーダイビングの専門家とともにトレーニングを行い、心拍数を極端に下げる技術を習得。通常の俳優であればCGや編集で処理されるようなシーンでも、彼はリアルな映像のために身体を極限まで追い込み、実際に水中で長時間の息止めを成功させました。
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ビル間ジャンプで足を骨折(『フォールアウト』, 2018年)

『フォールアウト』では、ロンドンのビルからビルへとジャンプするシーンで、トム・クルーズは実際に足首を骨折する事故に見舞われました。このシーンでは、特殊なハーネスが用意されていたものの、着地の際に足を強く打ちつけてしまい、骨折というアクシデントが発生。しかし、驚くべきことに、彼はそのままシーンを演じ続け、結果としてそのままの映像が映画に使用されました。
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バイクでの崖からのダイブ(『デッドレコニング PART ONE』, 2023年)

『デッドレコニング PART ONE』で、トム・クルーズはノルウェーの断崖絶壁からバイクでジャンプしするというスタントに挑みました。このシーンのために、彼は500回以上のスカイダイビングと13,000回以上のモトクロスジャンプのトレーニングを積み、スタント中は一切のハーネスを使用せずに撮影が行われました。
複葉機での危険なスタント(『ファイナル・レコニング』, 2025年)
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』で、トム・クルーズは南アフリカ上空1万フィートの高度で、複葉機を単独で操縦しながら、カメラワークや照明の調整まで自ら行い、さらには機体の翼の上を歩くという危険な撮影に臨みました。このスタントは風速約225キロの中で行われ、無線が使えない状況では手信号で監督と意思疎通を図るなど、極限の環境下での撮影となっていました。

スタント中、クルーズは身体の限界に達して翼の上で動けなくなる場面もありましたが、最終的には意識を取り戻して機内に戻り、燃料が残り3分という状況で無事に着陸させました。マッカリー監督はこの一連の行動を振り返り、「地上の誰にも真似できないこと」と述べ、クルーズの職人としての姿勢と身体能力に改めて驚嘆していました。
魅力的なチームメンバー

「ミッション・インポッシブル」シリーズと「007」シリーズとの最大の違いはチームプレーと個人プレーの差です。「007」シリーズはジェームズ・ボンドという孤高のスパイが中心ですが、「ミッション・インポッシブル」はイーサン・ハントだけでなく「IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)」との連係プレーが重要な要素となっています。
イーサン・ハント(トム・クルーズ)

シリーズを通じて主人公を務めるイーサン・ハントは、IMFのトップエージェントであり、数々の不可能とも思えるミッションを遂行してきました。卓越した身体能力と戦闘スキルを持ち、また高度な戦略的思考力を活かして数多くの陰謀を阻止してきた彼は、チームの中心的存在です。何より、彼の最大の強みは仲間への深い信頼と忠誠心であり、どんな状況でもチームを守るために命を懸けることを厭いません。彼の存在なしに『ミッション・インポッシブル』シリーズは成り立たないと言えるでしょう。
ルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)

ルーサーはシリーズ初期から登場しているIMFの優秀なハッカーであり、イーサンの最も信頼できる仲間の一人です。技術面でのサポートを担当し、ハッキングによる情報収集や電子機器の操作を駆使してミッションを成功へと導きます。物静かで冷静な性格ながら、長年にわたる友情と経験によってイーサンを支える重要な存在です。シリーズが進むにつれて、彼の役割は単なるハッカーにとどまらず、作戦のアドバイザーとしての側面も強くなってきました。
ベンジー・ダン(サイモン・ペグ)

ベンジーは、シリーズ中盤から登場した技術専門のエージェントで、主に電子機器やコンピュータを駆使してミッションをサポートします。シリーズの初期ではラボ内での作業が中心でしたが、次第にフィールドエージェントとしての役割も増え、直接的な潜入や戦闘にも関与するようになりました。コミカルな性格と機転の利いた行動が特徴で、シリーズの中でもユーモアを担当するキャラクターでもあります。イーサンとのコンビネーションも抜群であり、シリーズを通じて欠かせない存在となっています。
ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)

『ゴースト・プロトコル』と『ローグ・ネイション』に登場したIMFのフィールドエージェント。かつては政府の要人警護を担当していましたが、ある事件をきっかけにIMFに参加。戦闘能力も高く、イーサンのミッション遂行を陰ながらサポートしました。物語の中では彼自身の過去や苦悩も描かれ、より人間味のあるキャラクターとして印象に残る存在です。
イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)

『ローグ・ネイション』から登場したイルサ・ファウストは、MI6(イギリスの諜報機関)のスパイでありながら、IMFと協力する形でイーサンたちのミッションに関与するようになります。スパイとしての高度な戦闘スキルを持ち、時にはイーサンと対立しながらも、最終的にはチームの重要なメンバーとなりました。ミステリアスでありながら信念を持つ彼女のキャラクターは、シリーズの魅力を一層引き立てています。
作品リスト
| 制作年 | タイトル | 全世界興行収入 |
|---|---|---|
| 1996 | ミッション:インポッシブル | 約4.57億ドル |
| 2000 | ミッション:インポッシブル2 | 約5.46億ドル |
| 2006 | ミッション:インポッシブル3 | 約3.97億ドル |
| 2011 | ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル | 約6.94億ドル |
| 2015 | ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション | 約6.82億ドル |
| 2018 | ミッション:インポッシブル/フォールアウト | 約7.91億ドル |
| 2023 | ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE | 約5.67億ドル |
| 2025 | ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング |