カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

スタンフォード大学でも使われている『共感マップ』のアップデート

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原文:"Updated Empathy Map Canvas" by Dave Gray

 何年も前にXPLANEで共感マップをデザインしました。私たちがゲームストーミングと名付けた人間中心デザインツールキットの一部でした。

 共感マップは多くのチームが共感による人に対する深い理解を共有することに役立っています。顧客のエクスペリエンスを向上、社内政治の理解、より良い仕事環境など多くのプロジェクトで活用されています。

 共感マップは私たちのワイルドドリームを超えて成功しました。スタンフォード大学d.schoolのカリキュラムで採用され、ハーバードビジネスレビューでも掲載されました。IDEOの創設者であるDavid KelleyとビジネスパートナーTom Kelleyが「IDEOのリーダーからの3つの創造的チャレンジ」の一つにも選ばれました。

なんでアップデート?

 共感マップが作られ数年経ちますが、その間に多くのバージョンが現れました。共感マップは共感を育むためのエクササイズを補完するフレームワークとして特定のアイデアを元にデザインされています。共感マップの成功はエキサイティングであり、非常に喜ばしいことですが、数年に渡る様々な解釈の中で失われたものもあります。また、Webで展開されているいくつかのバージョンはオリジナルからダウングレードされています。

 最近では、ビジネスモデル・キャンバスのデザイナーのAlex Osterwalderと協力してCulture Mapという組織文化をマッピングするための新しいツールを開発しました。その過程で私はキャンバスデザインについて多くのことを学びました。

そこで『共感マップ』の新しいバージョンを作ることにしました。Alexから学んだことを活かしてより使いやすく、より良いエクスペリエンスと成果を目指しました。

アップデートの内容

  1. チームが活動のコンテキストと目的を明確にするためゴールを組み入れました。このゴールはWhoDoのエクササイズでも明確にすることができます。
  2. 活動の流れをより明示的にするためにセクションに番号を加えました。 流れの説明は後ほど説明します。
  3. 「考えると感じる」のセクションを頭の中心に置きました。これのより観察できる外の現象と 観察が難しい内面を区別しやすくなります。また外側にあった「痛みとメリット」も頭の中に移動しました。
  4. チームがエクササイズに入りやすくするためのいくつかの思考準備の質問を追加しました。

使い方

  1. ゴールからはじめましょう。「誰」が共感マップの主人公で、あなたは「何」をしてほしいのか。これは新しい観察可能な行動から形作られる必要があります。
  2. ゴールを明確にしたら、キャンバスを時計回りで作業していきましょう。「見る」「言う」「やる」「聞く」の順番です。観察可能な現象(目に見えるもの、聞くもの)に集中することによりその対象に深く共感できるようになります。彼らの経験がどのようなものか想像する機会となり、「彼らのように感じる」感覚に近づきます。
  3. 外側の要素を埋めてから、頭の中の動きにフォーカスしはじめます。多くの共感マップは頭の外側に「考えてること、感じていること」を置いて、あまり書き込む余地がないことに気づきました。真ん中の大きな頭はこのマップデザインの最も重要な側面の1つです。実際に最初の名前は「The Big Head」でした。なぜなら、もともとのコンセプトはその人が何を感じて何を考えているか知ることだからです。そして、それは今も変わりません。
  4. もしプロダクト、サービス、またはカスタマーエクスペリエンスをデザインしている立場であれば、共感マップは価値のデザインにとても良いインプットになります。価値のデザインはAlexのもうひとつのツールであるValue Proposition Canvasが使えます。

 この新しい『共感マップ』テンプレートを使用すると何が起こるかについてフィードバックを聞きたいと思っています。このようなツールは、ユーザーのフィードバックの共有からのみ改善されます。このツールを試して、どのように機能しているのか、どのように改善できるか教えてください。 コメントであなたの考えやフィードバックを共有してください。

 このアップデートされた『共感マップ』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

 カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

 『共感マップ』日本語版はXPLANE社の許可を得て配布しています。この記事はXPLANE創業者Dave Gray氏による"Updated Empathy Map Canvas"の翻訳です。