「カタパルトスープレックスデザイン」の一環としてイギリス政府の「デザイン原則 "Design Principles"」を日本語に翻訳したので、デザイン原則について。
ボクは白洲次郎が大好きで、彼に関する本をたくさん読みました。そんな中で印象に強く残っている本が『プリンシプルのない日本』です。白洲次郎ご本人が実際にそういったかどうかは定かではないのですが、この本のおかげでプリンシプルが重要なコンセプトとしてボクの中に刷り込まれることになります。
プリンシプルのない日本 電子増補版 デジタルならではの28篇を増補収載
- 作者: 白洲次郎
- 出版社/メーカー: メディア総合研究所
- 発売日: 2014/08/15
- メディア: Kindle版
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イギリスのGOV.UKの歴史を紐解くと、かなり初期段階から「デザイン原則」つまりデザインのプリンシプルができていたことが分かります。以下がアルファ版の写真です。現在のデザイン原則でもまだ残っているのが当時でもあります。例えば"Consistent not uniform"(統一性ではなく一貫性)とか"Do Less"(より少なく)なんて今でもそのまま残ってます。
デザイン原則はまさにプロダクトやサービスを作る上でのプリンシプルとなるものです。これがないとチームは何に従うべきなのかわからなくなります。いちいちマネージャーに指示を仰がないといけない、たくさんの無駄な会議もやらなければいけません。プリンシプルがなければアジャイルにはなりません。
プリンシプルの重要性は白洲次郎の時代から変わらないどころか、現代になり更に増しています。例えば「自律型組織」には人が従うべきプリンシプルがしっかりと組織に根付いている必要があります。マネージャーという人間ではなく、その組織のプリンシプルに従うのが次世代の「自律型組織」です。人に従うのが従来の階層型組織。
よく考えてください、GDSがよくある官僚組織だったらGOV.UKなんて一年でローンチできますか?いろんな資料を調べましたが当時のGDSがここまで自由に動けたのは内閣府の大臣だったフランシス・モードの役割は大きかったはずです。
デザイン原則は各プロジェクトごとに作られるべきなので、GOV.UKのプリンシプルをそのままコピペできません。デザインに限らずプリンシプルとはそういうものです。それでも、GOV.UKのデザイン原則はよくできたプリンシプルなので、自分が作ったプリンシプルと比べる良いベンチマークになると思います。
ここで紹介されている『GOV.UKデザイン原則』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。
実際のデザイン原則の作り方は同じくカタパルトスープレックスデザインに収録されているアメリカ政府機関18Fが作った『18Fメソッドカード』が参考になると思います。
カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。