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興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

人工知能で裁判できる?|2018年法律関連リーガルテック

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法律関連は資料や書類が多くて大変なイメージがありますよね。すごく紙が多いイメージ。実際に多いんですけどね。そういう分野こそ本来ならテクノロジーが解決できる課題が多いはず。そう考えるう人はやはり多く、法律に関するスタートアップも少なくありません。老舗だとLegalZoomRocketLawyerが有名です。

スタンフォード大学のCodeX Techindexでは法律関連のテクノロジーをカタログ化していて、2018年9月現在で1061のスタートアップが登録されています。今回はそんなリーガルテックで注目のスタートアップを集めてみました。

人工知能で裁判できちゃったりするんでしょうか?

 

 

リーガルテックの分類と特徴

リーガルテックは大きくは以下の三つに分類することができます。

業務のデジタル化:法律関連データのデジタル化

プロセス改善:業務管理や文書管理など、既存の法務業務のプロセスを効率化する

既存のサービスのオンライン化:既存の法務サービスをオンラインサービスへ置き換え

そうはいっても、法律はとても大きな範囲で、スケールしにくい分野です。第一に、国によって法律が異なります。アメリカのリーガルテックが日本やヨーロッパに展開するのは相当難しいでしょう。

次に、専門分野がたくさんあります。個人で必要になる法律と法人で必要となる法律も違います。慰謝料請求や離婚調停も法律関連ですし、セクハラで訴えるのだって法律関連です。民間の文書を公証人が認める公証もそうですね。

最後に、業務範囲も広いです。例えば、ユーザーが法律の専門家を見つけるマーケットプレイスはB2BとB2Cで違います。弁護士だって業務管理や文書管理が必要ですよね。そういうわけで、様々なニッチ分野に様々なスタートアップが存在しているというのがリーガルテックの特徴でしょう。

テクノロジースタートアップとしての法律事務所

Atriumは法務文書をデータに変換して資金調達、契約書作成や株式分配といった法務プロセスを効率的にすることを掲げるスタートアップ。テクノロジー企業というより、テクノロジーを基盤とした法律事務所です。最近、a16zから6500万ドルの資金調達をして話題になりました。

Y Combinatorの卒業生なんですが、法律事務所もY Combinatorに選ばれるんですね。確かに、テックカンパニーだけがスタートアップじゃないですからね。

注目されるe-Discovery

e-Discoveryは裁判や捜査に必要な電子情報を発見、収集してドキュメントとしてまとめる仕組みです。電子情報は電子メールや文書ファイル、データベースにボイスメールなど多岐に渡ります。また、タイムスタンプなどのメタデータも扱います。これらを人の手で管理するのは非常に大変なのは想像に難しくないですよね。

収取されたデータはデータベースに格納されます。証拠として扱うので、改変ができないようにしないといけません。そして、弁護士やパラリーガルがレビューできる状態にします。ドキュメントの量は膨大になるので、CAR / TAR (Computer Assisted Review / Technology Assisted Review) のようなレビューを支援する仕組みがあります。

このe-Discoveryは年間で70から100億円の市場と言われていて、関連スタートアップに投資が集まっています。代表的なe-DiscoveryのスタートアップはCS Disco2000万ドルをシリーズDで調達)、Everlaw2500万ドルをシリーズBで調達)、Logikcull2500万ドルをシリーズBで調達)が今年に入って大きな資金調達をしました。

法律分野での人工知能活用

AIも法律での活用が期待されている技術です。将来的には裁判もAIでできてしまうのではないかと言われたりしますよね。しかし、法律分野でのAIの利用はまだはじまったばかりです。

リーガルリサーチ

法律分野でのAIの活用で有名なのは最近(2017年10月)にシリーズAで870万ドルを調達したROSSでしょうね。分野としては現在取り掛かっている裁判に近い判例を探すリーガルサーチですが、この分野はLexisNexisThomson Reutersが既存の主なプレーヤーです。自然言語解析にAIを使うことで判例を探すスピードを早くするそうです。結果的に法律のサービスのコストを下げることになり、これまで弁護士を雇うことができなかった層の人たちにも法律サービスが提供できるようになるというのがビジョンだそうです。IBMワトソンを使っているからか、TEDのIBM枠でプレゼンしています。

ドキュメント管理

Kiraは契約書のデータを収集して分析してレポートを出すツールです。創業者のノア・ワイスバーグは元々M&Aに携わっていた弁護士で、AIを使うことでまだ慣れていない弁護士がデューデリジェンスで間違いを犯すことを防げると考えているそうです。ドイツのLevertonも文書をAIを使って構造化データに変換するサービスです。e-Discoveryの延長線上としてのAIなんですかね。

リーガルアシスタント

ユーザーに直接的に法律サービスを提供するAIも出はじめています。簡単に言えば法律サービスを提供するチャットボットです。AIはチャットボットによく使われていますからね。

DoNotPayはAIを使った法律サービスの代表例です。駐車違反の異議申し立てを手伝ってくれたり、予約した旅行料金より安いサービスを見つけた時の返金申請を手伝ってくれたりします。こちらは機械学習というよりはルールベースっぽいですね。

Lee & Alleyもチャットを使ったリーガルアシスタントで、こちらは自然言語で応対してくれるようです。まだサービスははじまってないので、実際どこまでAIなのかはわからないですが。