カタパルトスープレックス

興味がない人は無理して読まなくていいんだぜ。

AI

書評|人間と機械の利害は合致できるのか|"The Alignment Problem" by Brian Christian

グーグルで人工知能(AI)の倫理を研究していたティムニット・ゲブルが解雇されたニュースは2020年の終わりのニュースとしてはかなり衝撃的に受け止められました。なぜか。職場における差別の要素もあるのですが、AI倫理の重要性がかなり大きくなってきてい…

書評|ルービック・キューブ考案者が語る創造性とデザイン|"Cubed" by Ernő Rubik

ルービック・キューブの考案者エルノ・ルービックの初書籍が今回紹介する"Cubed"です。ルービック・キューブが世に出てから40年以上経過しています。これまでに自伝とか出ていそうなものですが、この本がエルノ・ルービックが初めて書くの書籍。自分とその発…

書評|人間の「仕事」消滅後の世界|"A World Without Work" by Daniel Susskind

人工知能によって人は仕事が奪われる!この手の話はすでにクリシェですよね。今さら真面目に語ってどうするの?今回紹介する"A World Without Work"はまさに語り尽くされた感のあるこのネタを改めて大真面目に検証する本です。 本書を書いたダニエル・サスキ…

書評|60年前のケンブリッジ・アナリティカはダメなスタートアップの典型だった?|"If Then" by Jill Lepore

フェイスブックなどから個人情報を集め、データ分析をして、投票行動に影響を与えるキャンペーンを行ったケンブリッジ・アナリティカは多くの人にとって民主主義への脅威に映りました。しかし、ケンブリッジ・アナリティカのような会社は最初ではありません…

書評|「頭で考えたらモノが動く」はすぐそこにある現実|"The NeuroGeneration" by Tan Le

映画『アベンジャーズ』でロバート・ダウニー・ジュニア扮するトニー・スタークが浮かんでいる画面を手でササっと操作したり、やはり映画『ドクター・ストレンジ』でベネディクト・カンバーバッチが光の魔法陣をバッと手から出して防御したりカッコいいです…

書評|アシモフ的なAI三原則|"Human Compatible" by Stuart Russell

人工知能(AI)に関して大きく分けて二つの派閥があります。人間のに脳を超えるとき、人間にとって脅威になると主張する派閥と、人間にとって脅威にならないと主張する派閥です。スチュワート・ラッセルは人工知能は人間にとって脅威になると主張する派閥の…

書評|人工知能はパロディではなくオリジナルを作れるか?|"The Creativity Code" by Marcus du Sautoy

前回紹介した"Possible Minds"では「人工知能は人間の知能を超えるのか?(技術的にはAGIまたは強いAI)」を様々な観点から考察していました。インテリジェンス(知能)とはどういうことなのか?具体的にどのような状態になればシンギュラリティに到達したと…

書評|知的好奇心を刺激する触媒としての人工知能|"Possible Minds" by John Brockman

宇宙旅行に空飛ぶ自動車。昔から未来予想は夢がありますが、実現するかどうかはわかりません。ある種の思考実験ですよね。人口知能がどこまで人間に近づくのか、人間を超える存在になるのか。人工知能に関する議論も同じです。昔の少年雑誌の未来予想と現在…

書評|天才は回り道をしながら遅れてやってくる|"Range" by David Epstein

幼年期からの英才教育。タイガー・ウッズやチェスのポルガー姉妹のように特定の分野を小さなころから徹底的にやりこんだ天才たちを例にとって、専門教育に取り組むケースがあるようです。さらに、マルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則(原…

書評|GoogleやFacebookをみる新しいレンズとしての監視資本主義|"The Age of Surveillance Capitalism" by Shoshana Zuboff

ここ数年、AIの危険性やGAFAの過度の影響を警戒する書籍がベストセラーに増えてきました。例えばキャシー・オニールによる"Weapons of Math Destruction"(邦題『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』)は現場で実際にプロジェクトに携わ…

世界をリードする中国のAI企業:アイフライテック

MIT Technology Reviewが2017年に発表した最もスマートな企業には多くの中国企業がランクインしました。ちなみにアメリカ企業がトップのNvidiaを含む最多で31社。中国企業は7社で2位でした。残念ながら日本企業はランクインしていません。 そして、中国企業…

書評|OMOの生みの親が至るAIと愛の境地|"AI Superpowers" by Kai-Fu Lee

頭のいい人はフレームワークで考えて整理整頓するのが非常に上手です。今回紹介する"AI Superpowers"の著者であるカイ=フー・リーもその例に漏れず、AIを中国とシリコンバレーで比較するという入り組んだ題材をうまく整理しています。OMOというキーワードが…

インターネットのビジネス再入門|後編:消えるデジタルとリアルの境界線

これまでのおさらい 第一回の『インターネットの広告をちゃんと理解する』ではインターネットのビジネスの側面を支える広告について改めて振り返りました。インターネットが「道」であれば、情報やサービスは「クルマ」、そして広告はその「燃料」であり「石…

インターネットのビジネス再入門|前編:インターネットの広告をちゃんと理解する

インターネットが道路だとしたら、広告は燃料です。GoogleもFacebookもYouTubeも広告がなければ存在できません。インターネットはマグロのようなもので、動いていないと死んでしまいます。それを動かしているのが広告です。この意味においてAppleやAmazonの…

Amazon Goに代表されるレジなし店舗の現状|2018年リテールテック

Amazonがレジに並ばずに自動的に支払いを完了できるAmazon Goのベータを社内にオープンしたのは2016年12月でした。そして、一般顧客を対象とした一般公開を2018年1月におこないました。2018年はレジなし店舗元年となりました。 レジなし店舗の特徴 チェック…

イノベーションとディスラプションの違い|アメリカの有名ベンチャーキャピタリストの考えるトレンド

アメリカには多くのベンチャーキャピタルがあり、有望なスタートアップに投資をして、IPOやM&Aなどで投資で得た株式などを売却することで多くの利益を出しています。ベンチャーキャピタル自身が大きな資金を持っているわけではなく、機関投資家などから資金…

スタートアップの最後のフロンティア?|2018年建設関連コンストラクションテック

スタートアップでよく言われるのは地味な産業の地味な問題を解決しろです。競争相手が少ないのが一つ、本当に困っているからお金を払ってもらえるのが二つ目の理由です。以前に通っていた歯医者さんに「歯科向けのソフト開発しなよ、絶対売れるから」と言わ…

人工知能で裁判できる?|2018年法律関連リーガルテック

法律関連は資料や書類が多くて大変なイメージがありますよね。すごく紙が多いイメージ。実際に多いんですけどね。そういう分野こそ本来ならテクノロジーが解決できる課題が多いはず。そう考えるう人はやはり多く、法律に関するスタートアップも少なくありま…

イーロン・マスクのマリファナインタビューが(内容は)素晴らしすぎる

イーロン・マスク といえばテスラやスペースXが有名ですが、他にもボーリングカンパニーやニューラリンクといった面白いことをやっています。そのイーロン・マスクがマリファナを吸ったということでジョー・ローガンのポッドキャストが注目を浴びましたが、…

書評|AIとハサミは使いよう「あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠」|"Weapons of Math Destruction" by Cathy O'Neil

AIに関しては人間の役に立つと考える「肯定派」と人間をダメにする「否定派」があり、多くの人は態度を決めている「様子見派」なんじゃないかと思います。AIは所詮はツールなので使いようで、人に役立つこともできれば、人に危害を加えることもあります。包…

書評|統計ではわからない「なぜ」の科学|"The Book of Why" by Judea Pearl【2018年夏休み読書週間】

ビジネスの現場ではデータを読み取って「なぜそうなるのか?」を考えたり、話し合ったりする場面は多くあります。知りたいのは「広告を出せば売上が伸びる」とか「この薬を飲めば風邪が治る」といった単純なことです。でも、これまでの統計学ではなかなかそ…

書評|機械学習の考え方を理解する|The Master Algorithm by Pedro Domingos【2018年夏休み読書週間】

人工知能(AI)とかディープラーニングとか機械学習とか、自分なりの理解のもとに色々と自分の意見や考え方を持っている方が多いかと思います。そして、正しい認識を持つには正しい理解が必要となります。機械学習でよく言われるガベージ・イン/ガベージ・…

Tik Tokのトウティアオ(头条)から学ぶ中国コンテンツビジネス

アメリカの影響力のある大手テクノロジー会社をまとめてGAFA (Google/Apple/Facebook/Amazon)と言います。ドットコムバブルを生き残ってプラットフォーマーとなった世代ですね。これに続くのがリーマンショック以降に生まれたUber、Airbnb、WeWorkなどの…

書評|世界最大のヘッジファンドが提唱するAIによる「意味のある仕事と意味のある関係」|Principles by Ray Dalio

今回の書評はレイ・ダリオの"Principles"です。レイ・ダリオは世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者です。この本はいろんな意味で注目されています。一つは多くのファンドが損出を出したリーマンショックでも利益を出し…

シリコンバレーから見たクルマの自動運転

ソース:a16z Podcast: Self-Driving Cars — Where Are We, Really? by a16z ざっくり言うと a16z Summitsの自動運転のセッションサマリー。モデレーター:Frank Chen(a16z)、パネル:Qasar Younis, CEO of Applied Intuition、James Wu, CEO and co-found…

子供にやさしいクルマの自動運転をデザインする

今年6月に神奈川県の東名高速道路で夫婦が亡くなった事故は人間が運転するクルマは本当に安全なのかを考えるきっかけにもなったとても悲しい事故でした。危険運転でヒヤっとしたドライバーも少なくないのではないでしょうか。自動運転のクルマではこのような…

電気自動車とビットコイン共通点の問題|カタパルト式アンリーディング

最近、このカタパルト式スープレックスで集中的に取り上げているのが電気自動車とブロックチェーンです。この二つを調べていくと共通点があります。それはビットコインも電気自動車も電気を食うということです。

スマートマシン(IoTとAI)が顧客になる時 – マシンのためのデザイン

この記事は人間中心デザインからマシン中心デザインを予見させる「スマートマシンが顧客になる時 – マシンのためのデザイン」"When a Machine is the Customer – Designing for Machines"の翻訳です。 ボク自身は人間中心のサービスデザインを専門としている…